どうして許されると思ったの?

わらびもち

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侯爵とレイモンド

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 システィーナがサリバン夫人から王妃の昔話を聞かされている頃、レイモンドは義理の父親であるベロア侯爵と鉱山の麓にいた。

「いやあ、発掘状況も良好で何よりだな! なあ、レイモンド君?」

 念願の希少鉱石の利権を手中に収めたのも同然の侯爵は上機嫌でレイモンドに話しかける。

「はい、喜ばしい限りですね義父上」

「うんうん……。ところで、娘との仲はどうかね?」

「ええ、仲睦まじく過ごさせて頂いております。ご息女は若いのに聡明で芯の強い素敵な女性ですね。あのように素晴らしい女性は私には勿体ないほどです」

「はっはっは……それは何よりだ。そんなにも気に入ってもらえているなら縁談を勧めた甲斐があったというものだな」

「はい……システィーナは本当に私には勿体ないほど出来た妻です。ですが……その、よろしかったのでしょうか、ご息女を私のような二回も妻に逃げられている男になど嫁がせてしまって……。システィーナほどの淑女であれば王太子殿下の婚約者にもなれたのではと……」

 しがない貧乏伯爵、しかも初婚でない年上の男にあのように若く美しく聡明な妻は分不相応なのではないかとレイモンドは引け目を感じていた。

「王太子殿下の婚約者? ああ、昔陛下がそのような話をしたこともあったが……当の本人が嫌がったので流れたな」

「え……? ほ、本当にあったのですか? 婚約話が? それに嫌がったとは……システィーナがですか?」

 自分で言っておいて何だが本当に王太子との婚約の話が出ていたことにレイモンドはひどく驚いた。しかし、そんな彼の驚きをよそに侯爵はなんてことなく答えた。

「いや、王太子殿下だ」

「殿下が!? え? 何故ですか?」

 あんなにも美しい淑女を嫌がるなど信じられないとレイモンドは目を丸くした。

「いや……システィーナは雰囲気が我が妹……つまりは殿下の母君である王妃様にそっくりだからな。だからだろう、幼いながらに頑なな態度で嫌がっておられたよ」

「え? 王妃様に似ていると嫌なのですか……?」

 男は母親に似ている女性を好きになる、とも聞くしそれは別にそこまで嫌がることではないのではとレイモンドは首を傾げた。
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