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数十年前の出来事
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「どこから話せばいいか……」
執務室に入り、メイドにお茶を淹れてもらうと父がポツリと呟いた。
それに対し母は視線だけで殺せるんじゃないかというくらい鋭い目で父を見据える。
「別に序盤から話そうとも結末から話そうとも事実というのは変わることはありません。物語を作るわけでもないのですからお好きにお話しなさいませ」
暗に“いいからさっさと話せ”と伝えているのだろう。
それは父にも伝わったようで、小動物かというくらいぶるぶる震えながら「……はい」と返事をした。
「昔……私には幼馴染の女性がいたんだ。伯爵家の令嬢でな、領地が近いからよく一緒に遊んだよ」
「へえ……? そうなのですか……」
そう相槌を返したものの、この父の発言に私は疑問を覚えた。
近隣の領地に伯爵家なんてあったかな?
ここら辺は男爵家や子爵家しか無かったはずなのだけど……。
「私は…………今から数十年前、その幼馴染の伯爵令嬢を…………」
ごくり、と父の喉から音が鳴る。
一呼吸置いた後、だらだらと大量の冷や汗を流し……父は耳を疑うような言葉を吐いた。
「幼馴染を……私は……私のせいで………………」
“死なせてしまった”
絞り出すようなその声に、私と母は息を飲んだ……。
「あなた、それはどういうことですの?」
母がそう詰め寄ると、父は俯いたままぽつりと自分の過去にあったことを語り始めた。
「数十年前、私には一つ年下の幼馴染がいた。名前はサラ・ヘブンズ。少し世間知らずだが大人しくて可愛らしい令嬢だったよ」
私はお茶を口にしながら黙って耳を傾けた。
「彼女には婚約者がいたのだが、自分勝手な理由で婚約破棄をされてしまった。それで彼女はひどく落ち込んでな……部屋に閉じこもり社交にも出なくなってしまったよ。彼女の両親……ヘブンズ伯爵夫妻も気落ちする娘をひどく心配していたよ」
……ん? ヘブンズ伯爵? この辺にそういう名前の貴族家なんてあったかな?
それについて聞こうと思ったが話のコシを折るわけにもいかない。
私は黙ってそのまま話の続きに耳を傾けた。
「当時は女性の扱いが今以上に低くてな。一度婚約破棄されると“傷物”扱いされてしまい、まともな縁談も来なくなる。案の定サラのもとには老貴族の後妻やら没落貴族のボンクラ当主の妻だのとろくでもない縁談が次々に舞い込んでいた」
「え? そのサラさんの元婚約者有責での婚約破棄なのですよね? なのに“傷物”扱いされて他家からそこまで見下されてしまうのですか?」
しまった。さっき黙ってようと決めたばかりなのについ口を挟んでしまった。
だってそんな理不尽な扱いは今の時代じゃ考えられない。昔は女性の地位が低かったと聞いたことはあるが、たかが婚約を破棄したくらいで“傷物”扱いされるなんて信じられない。
「今は大分女性の権利や扱いも改善されたが、当時は酷いものだった。いくら男側の有責といえども一度婚約破棄となれば女性は“傷物”と見なされまともな家には嫁げなくなる。しかも貴族の女性は何処かに嫁ぐ以外生きていく術がない。だからサラも未来を悲観して閉じこもってしまったのだよ」
「ああ……それはそうでしょうね………」
婚約破棄の理由は知らないが、たった一度の婚約破棄で未来が閉ざされてしまうとなれば悲観するのは当然だろう。なんともお気の毒に……。
「だから……私はサラに友人を紹介した。遠い異国の地から留学してきたさる貴族家の子息をな。国外の人間ならばこの国でサラが婚約破棄をされていようと関係ない。友人も丁度この国で婚約相手を探していたし、丁度良かったと思ったんだ」
私はふとその発言に違和感を覚えた。
どうして父の友人は自分の国ではなくこの国で婚約相手を探していたのだろう?
国内で探せない理由でもあったのだろうか?
「サラは私の友人を気に入り、とんとん拍子で婚約も纏まった。友人は大層な色男だったし、ヘブンズ夫妻も彼を気にいってな。娘を異国の地へ嫁に出すのは多少抵抗があったものの、このまま国内にいても幸せにはなれないと笑顔で送りだした」
ここまで聞くと父はとても良い事をしたと思うのだが……どうにも違和感が拭えない。その友人は見目もよいというのにどうして自国に婚約者がいないの?
「そしてサラが友人の国へ嫁いで一年後……ヘブンズ夫妻のもとに彼女の訃報が届いた。サラは……彼の国で、自ら身を投げたと……」
「自ら? 自殺をなさったということですか? まだ新婚なのにどうしてそんな……」
ここで父は再び滝のような冷や汗をだらだらと流した。
おそらくこの先はかなり言い辛いことなのだと分かる。
しかし一体何をしたら好いた人のもとへと嫁いだ女性を自殺に追い込めるのだろう……。
「……実は、その友人には……恋人がいたんだ。妻には迎えられない身分の、平民の恋人が……」
「は? 恋人? ……お父様は恋人がいる男を結婚相手として紹介したんですか!?」
小さく頷く父を私は信じられないと目を開いて驚いた。
普通、傷心の幼馴染にそんな地雷物件を傷心の幼馴染に紹介する?
何? 幼馴染に憎しみでもあったの? なんでそんな悪意に満ちた行動をしたの?
ふと、黙ったままの母を見ると射殺さんばかりの目で父を見据えている。
目だけで人が殺せそうだ。普通に怖い。
「悪意は無かった! 友人は見目もいいし身分も高い。結婚相手としては申し分のない男だった……!」
「いやいや……いくら見た目が良くて身分が高くても恋人がいる時点で紹介しては駄目な相手でしょう? 何の理由があってそのような真似をなさったのですか……」
「いや……その、サラは私から見ても愛らしく淑やかな令嬢だったから……。結婚さえしてしまえば友人も恋人を捨ててサラを選ぶだろうと……」
「何ですかその希望的観測は……。ちなみにそれ、事前にサラさんには伝えてあったのですか?」
聞いておいてなんだが多分父はそれを黙っていたと思う。
父はそういう伝えておくべき情報を教えておかないというだらしなさがある。
「いや……伝えてしまうと結婚しないだろうと思って……」
「でしょうね。恋人がいる男に嫁ぎたがる女性はそうそういないと思いますよ」
「で、でも……サラの結婚適齢期も迫っていたし、国内にはまともな相手がいなかったから……よかれと思って私は……」
「よかれというか余計なお世話になっていますね。せめて事前に情報を伝えて納得したうえで嫁いだならばまだいいでしょうけど、そんな騙し討ちのような方法で嫁いで実は夫に恋人がいました、でショックを受けないと思います? で、そのご友人は結婚後に恋人と別れたのですか?」
「いや……別れていなかったようだ。私もまさか友人が邸の中に恋人を囲うような真似をするとは思わなくて……」
「はい? ご友人は邸内に恋人を招き入れていたのですか? 外で囲うのではなく?」
また力なく頷く父に軽蔑の目を向けた。
邸内に恋人……いや、妻がいるなら愛人か。愛人がいる家に嫁ぐなんて普通に嫌だと思うのだけど?
「とんでもない下衆ですね、お父様のご友人は。愛人を邸内に入れるなんて非常識な行いを平然と行う家に嫁いで幸せになれるとでも?」
「いや……私もまさかあいつが邸内に恋人を招き入れているとは思ってもいなかった。普通は外で囲うものだろう? まさか妻と恋人を同じ邸に住まわせるような愚か者だとは想像もしていなくて……」
「詰めが甘くてよ……お父様」
どうも父は性善説を信じているフシがある。
世の中には想像も出来ないほどの下衆というのは確かに存在するのだから、相手の身辺調査くらいちゃんとすればよかったのに。
父とその友人がどういう関係だったかは知らないが、おそらく父はいいように騙されていたのだろう。娘の目から見ても父ほど騙しやすい人はいないというほど単純だ。
「サラさんはそれを苦に身投げをなさったのですか……?」
「……ああ、そうだ。サラはそんな状況でも健気に妻として努力を続けていたのだが……あいつはそんなサラの献身に目を向けず、恋人ばかりを優遇していたらしい。そしてとうとう耐えられなくなり、バルコニーから自らその身を……」
そこまで言うと父は「すまない、サラ……」と嗚咽交じりで泣き崩れた。
私と母はそんな父を冷めた目で眺めていた。
泣きたいのはあんたじゃなくてサラさんだろうと。
「……あなたの過去の愚行はよく分かりました。それで? どうして陛下がアリッサをそのサラさんと同じ目に遭わせようとなさるのです? バーティ侯爵はまさにあなたの屑な友人と同じ条件をお持ちですよね」
母の言葉に私は自分に向けられた王命がそのサラさんを同じ境遇にさせるものだと今更ながら気づいた。
「それは……サラの両親、ヘブンズ夫妻は私の事を未だに恨んでいるからだろう……」
「でしょうね、親として娘の死の原因となったあなたを許せない気持ちは分かります。でも、それでどうして王家が介入してくるのです? サラさんが陛下の血縁者ならばそれも納得できますけど、そうではないのでしょう? 伯爵家とあなたとの問題に陛下が介入し、さらにアリッサをサラさんと同じような目に遭わせる意味が分かりませんわ」
確かに母の言う通りだ。ヘブンズ夫妻と父の問題にどうして陛下が介入してくるのか……しかも何十年も経った今。
先程サラさんの結婚適齢期が~と言っていた部分から推測するにそれが起こったのは今から三十年は昔になる。父は現在四十八、そしてこの国の結婚適齢期が16~20くらいなのでだいたいそのくらいだと推測される。
三十年も前の出来事のツケを今更払えというのだろうか?
…………なんで?
執務室に入り、メイドにお茶を淹れてもらうと父がポツリと呟いた。
それに対し母は視線だけで殺せるんじゃないかというくらい鋭い目で父を見据える。
「別に序盤から話そうとも結末から話そうとも事実というのは変わることはありません。物語を作るわけでもないのですからお好きにお話しなさいませ」
暗に“いいからさっさと話せ”と伝えているのだろう。
それは父にも伝わったようで、小動物かというくらいぶるぶる震えながら「……はい」と返事をした。
「昔……私には幼馴染の女性がいたんだ。伯爵家の令嬢でな、領地が近いからよく一緒に遊んだよ」
「へえ……? そうなのですか……」
そう相槌を返したものの、この父の発言に私は疑問を覚えた。
近隣の領地に伯爵家なんてあったかな?
ここら辺は男爵家や子爵家しか無かったはずなのだけど……。
「私は…………今から数十年前、その幼馴染の伯爵令嬢を…………」
ごくり、と父の喉から音が鳴る。
一呼吸置いた後、だらだらと大量の冷や汗を流し……父は耳を疑うような言葉を吐いた。
「幼馴染を……私は……私のせいで………………」
“死なせてしまった”
絞り出すようなその声に、私と母は息を飲んだ……。
「あなた、それはどういうことですの?」
母がそう詰め寄ると、父は俯いたままぽつりと自分の過去にあったことを語り始めた。
「数十年前、私には一つ年下の幼馴染がいた。名前はサラ・ヘブンズ。少し世間知らずだが大人しくて可愛らしい令嬢だったよ」
私はお茶を口にしながら黙って耳を傾けた。
「彼女には婚約者がいたのだが、自分勝手な理由で婚約破棄をされてしまった。それで彼女はひどく落ち込んでな……部屋に閉じこもり社交にも出なくなってしまったよ。彼女の両親……ヘブンズ伯爵夫妻も気落ちする娘をひどく心配していたよ」
……ん? ヘブンズ伯爵? この辺にそういう名前の貴族家なんてあったかな?
それについて聞こうと思ったが話のコシを折るわけにもいかない。
私は黙ってそのまま話の続きに耳を傾けた。
「当時は女性の扱いが今以上に低くてな。一度婚約破棄されると“傷物”扱いされてしまい、まともな縁談も来なくなる。案の定サラのもとには老貴族の後妻やら没落貴族のボンクラ当主の妻だのとろくでもない縁談が次々に舞い込んでいた」
「え? そのサラさんの元婚約者有責での婚約破棄なのですよね? なのに“傷物”扱いされて他家からそこまで見下されてしまうのですか?」
しまった。さっき黙ってようと決めたばかりなのについ口を挟んでしまった。
だってそんな理不尽な扱いは今の時代じゃ考えられない。昔は女性の地位が低かったと聞いたことはあるが、たかが婚約を破棄したくらいで“傷物”扱いされるなんて信じられない。
「今は大分女性の権利や扱いも改善されたが、当時は酷いものだった。いくら男側の有責といえども一度婚約破棄となれば女性は“傷物”と見なされまともな家には嫁げなくなる。しかも貴族の女性は何処かに嫁ぐ以外生きていく術がない。だからサラも未来を悲観して閉じこもってしまったのだよ」
「ああ……それはそうでしょうね………」
婚約破棄の理由は知らないが、たった一度の婚約破棄で未来が閉ざされてしまうとなれば悲観するのは当然だろう。なんともお気の毒に……。
「だから……私はサラに友人を紹介した。遠い異国の地から留学してきたさる貴族家の子息をな。国外の人間ならばこの国でサラが婚約破棄をされていようと関係ない。友人も丁度この国で婚約相手を探していたし、丁度良かったと思ったんだ」
私はふとその発言に違和感を覚えた。
どうして父の友人は自分の国ではなくこの国で婚約相手を探していたのだろう?
国内で探せない理由でもあったのだろうか?
「サラは私の友人を気に入り、とんとん拍子で婚約も纏まった。友人は大層な色男だったし、ヘブンズ夫妻も彼を気にいってな。娘を異国の地へ嫁に出すのは多少抵抗があったものの、このまま国内にいても幸せにはなれないと笑顔で送りだした」
ここまで聞くと父はとても良い事をしたと思うのだが……どうにも違和感が拭えない。その友人は見目もよいというのにどうして自国に婚約者がいないの?
「そしてサラが友人の国へ嫁いで一年後……ヘブンズ夫妻のもとに彼女の訃報が届いた。サラは……彼の国で、自ら身を投げたと……」
「自ら? 自殺をなさったということですか? まだ新婚なのにどうしてそんな……」
ここで父は再び滝のような冷や汗をだらだらと流した。
おそらくこの先はかなり言い辛いことなのだと分かる。
しかし一体何をしたら好いた人のもとへと嫁いだ女性を自殺に追い込めるのだろう……。
「……実は、その友人には……恋人がいたんだ。妻には迎えられない身分の、平民の恋人が……」
「は? 恋人? ……お父様は恋人がいる男を結婚相手として紹介したんですか!?」
小さく頷く父を私は信じられないと目を開いて驚いた。
普通、傷心の幼馴染にそんな地雷物件を傷心の幼馴染に紹介する?
何? 幼馴染に憎しみでもあったの? なんでそんな悪意に満ちた行動をしたの?
ふと、黙ったままの母を見ると射殺さんばかりの目で父を見据えている。
目だけで人が殺せそうだ。普通に怖い。
「悪意は無かった! 友人は見目もいいし身分も高い。結婚相手としては申し分のない男だった……!」
「いやいや……いくら見た目が良くて身分が高くても恋人がいる時点で紹介しては駄目な相手でしょう? 何の理由があってそのような真似をなさったのですか……」
「いや……その、サラは私から見ても愛らしく淑やかな令嬢だったから……。結婚さえしてしまえば友人も恋人を捨ててサラを選ぶだろうと……」
「何ですかその希望的観測は……。ちなみにそれ、事前にサラさんには伝えてあったのですか?」
聞いておいてなんだが多分父はそれを黙っていたと思う。
父はそういう伝えておくべき情報を教えておかないというだらしなさがある。
「いや……伝えてしまうと結婚しないだろうと思って……」
「でしょうね。恋人がいる男に嫁ぎたがる女性はそうそういないと思いますよ」
「で、でも……サラの結婚適齢期も迫っていたし、国内にはまともな相手がいなかったから……よかれと思って私は……」
「よかれというか余計なお世話になっていますね。せめて事前に情報を伝えて納得したうえで嫁いだならばまだいいでしょうけど、そんな騙し討ちのような方法で嫁いで実は夫に恋人がいました、でショックを受けないと思います? で、そのご友人は結婚後に恋人と別れたのですか?」
「いや……別れていなかったようだ。私もまさか友人が邸の中に恋人を囲うような真似をするとは思わなくて……」
「はい? ご友人は邸内に恋人を招き入れていたのですか? 外で囲うのではなく?」
また力なく頷く父に軽蔑の目を向けた。
邸内に恋人……いや、妻がいるなら愛人か。愛人がいる家に嫁ぐなんて普通に嫌だと思うのだけど?
「とんでもない下衆ですね、お父様のご友人は。愛人を邸内に入れるなんて非常識な行いを平然と行う家に嫁いで幸せになれるとでも?」
「いや……私もまさかあいつが邸内に恋人を招き入れているとは思ってもいなかった。普通は外で囲うものだろう? まさか妻と恋人を同じ邸に住まわせるような愚か者だとは想像もしていなくて……」
「詰めが甘くてよ……お父様」
どうも父は性善説を信じているフシがある。
世の中には想像も出来ないほどの下衆というのは確かに存在するのだから、相手の身辺調査くらいちゃんとすればよかったのに。
父とその友人がどういう関係だったかは知らないが、おそらく父はいいように騙されていたのだろう。娘の目から見ても父ほど騙しやすい人はいないというほど単純だ。
「サラさんはそれを苦に身投げをなさったのですか……?」
「……ああ、そうだ。サラはそんな状況でも健気に妻として努力を続けていたのだが……あいつはそんなサラの献身に目を向けず、恋人ばかりを優遇していたらしい。そしてとうとう耐えられなくなり、バルコニーから自らその身を……」
そこまで言うと父は「すまない、サラ……」と嗚咽交じりで泣き崩れた。
私と母はそんな父を冷めた目で眺めていた。
泣きたいのはあんたじゃなくてサラさんだろうと。
「……あなたの過去の愚行はよく分かりました。それで? どうして陛下がアリッサをそのサラさんと同じ目に遭わせようとなさるのです? バーティ侯爵はまさにあなたの屑な友人と同じ条件をお持ちですよね」
母の言葉に私は自分に向けられた王命がそのサラさんを同じ境遇にさせるものだと今更ながら気づいた。
「それは……サラの両親、ヘブンズ夫妻は私の事を未だに恨んでいるからだろう……」
「でしょうね、親として娘の死の原因となったあなたを許せない気持ちは分かります。でも、それでどうして王家が介入してくるのです? サラさんが陛下の血縁者ならばそれも納得できますけど、そうではないのでしょう? 伯爵家とあなたとの問題に陛下が介入し、さらにアリッサをサラさんと同じような目に遭わせる意味が分かりませんわ」
確かに母の言う通りだ。ヘブンズ夫妻と父の問題にどうして陛下が介入してくるのか……しかも何十年も経った今。
先程サラさんの結婚適齢期が~と言っていた部分から推測するにそれが起こったのは今から三十年は昔になる。父は現在四十八、そしてこの国の結婚適齢期が16~20くらいなのでだいたいそのくらいだと推測される。
三十年も前の出来事のツケを今更払えというのだろうか?
…………なんで?
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