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第二章
六話 南港トルネード!
しおりを挟む「あ!感じるドカンちゃんが何か変な霊に追いかけられてる」
シアンちゃんの髪の毛がピピピッと立つ。
「父さん、事件です!」
シアンちゃんはサバンちゃんに言った。
「父さんじゃないけどね~」
冷静な顔でサバンちゃんが帰す。
「これは大変だわ、ドカンちゃんに新たなる魔の手が!
早速助けにいかなきゃ!」
シアンちゃんは二人乗りの自転車に乗る。
「あいよ~、シアンちゃんのためならどこでもいくよ~」
サバンちゃんが二人乗り自転車の後ろに乗る。
「えいほ、えいほ」
シアンちゃんは東に進路を取る。
「あれれ~おかしいぞ~。前にドカンちゃんがお母さんと
お話してるの聞いたけどドカンちゃんは四国に渡って
西日本自転車の旅をするって言ってたよ~」
「あんた馬鹿ね、四国に渡るのは船で大阪から渡るか、瀬戸大橋を渡るしかないのよ」
「明石大橋を自転車で渡って、鳴門大橋を自転車で渡っても行けるんじゃないの?」
「明石大橋は自転車で渡れないわ。明石から出ている岩屋行きの船には
自転車は乗れるけど、鳴門から四国に行く船は無いわ。だから大阪から行くしかないのよ」
「うわ~シアンちゃん物知り~」
サバンちゃんは感心した。
注意※
実際は神戸から四国に渡る船もあります。
大阪からしか出ていない船は鹿児島県志布志行きの船です。
「えっほ、えっほ、ねえシアンちゃん、
大阪まですごく距離があるのに
すぐ来ちゃったね」
「そりゃそうよ、明石から大阪までは平坦だからね」
「ここから港まで行くんでしょ?」
「いいえ、大阪で一泊するわ」
「なんで?船の中で一泊すればいいじゃん」
「いまからじゃ、お船に間に合わないわ。
お船は朝速く出るから大阪で一泊して早朝に
行かなきゃ間に合わないのよ」
「そうなんだ~」
注意※
実際は夜出発です。
昔は朝出発便もありましたが規模縮小で夜出発便だけになりました。
「それにしても早く大阪に着きすぎたわね、
どこか泊まるところさがさないと」
「温泉のあるところがいいな」
「もうサバンちゃんは甘えんぼさんね、いい所があるから教えてあげる」
「わ~い」
サバンちゃんは大阪の北を抜け難波を抜け、日本橋を抜け
環状線新今宮の駅前まできた。
「は?大型雑貨量販店じゃん。何ここ?」
サバンちゃんが首をかしげる。
「見てらっしゃい!とおおおおおおおおおー!」
シアンちゃんが叫ぶと、
パチンコ屋や雑貨屋がひしめく複合施設の下から巨大遊園地が現れた。
「おおおおおおお!シアンちゃんすごいよ!」
「どう!ここが幻の幻想遊園地フェスティバルランドよ!」
「わーい!たっのしーっ!」
シアンちゃんが喜んでその中に入っていく。
その時である。
「トウ!」
かけ声と共に天空に舞う黒い影。
地上に降り立った女の子はスタイルの良い一メートル七十センチくらいの
大きな体。大きな胸。パッツンパッツンのぴっちりしたタイツ。
つっかけのサンダル。
上着はヒョウ柄のだぼだぼの服、首からは金色の金属ネックレスをジャラジャラつけていた。
まさに大阪のおばちゃんスタイルである。
目はちょっとキツメにつりあがり、頭の上から大きくて縦長の耳が二つ生えている。
「なんや、あんたら、ここは幻想世界の住人しか入ったらアカン場所やで」
「あんた誰よ!」
シアンちゃんが耳を後ろに伏せて戦闘態勢を取る。」
「ウチか?うちはサーバルキャットの……」
「サセバルちゃん!?」
サバンちゃんが叫ぶ。
「ちがうわ!だいだい何やおまえ、ウチとキャラかぶっとるやないか!
天丼か!」
サバンちゃんはシアンちゃんを見る。
「なんかこの人ワケのわかんない事いってる」
「いいのよ、大阪は何でもありなんだから」
「聞こえとるで、お前ら。
ウチはサーバルキャットのバルや!ふぉっふぉっふぉっ!」
「なんかガラが悪そうね」
「やかましわボケ。ガタガタぬかしとったら脳みそかち割って
ストローで中身チューチュー吸うたるぞ」
「やめてよ、そんなネタ、分かる人なんていないわよ」
「ウチがこんなに強いのも、当たり前だよクッキーよ!」
「いよいよ分からないから、やめなさい」
「お前が今までやってきたのは、仕事じゃねえ。ただのガキの遊びよ。」
「何ですって!ムキー!」
シアンちゃんが怒った。
「何怒ってんねん、お前がネタやれ言うたんやろが!」
「私はやめろって言ったのよ!」
「大阪で止めろて言うたら、もっとやれって事やろが!」
サバンちゃんがシアンちゃんのほうを見て言う。
「……わけがわからないよ」
「大阪だからね」
シアンちゃんが言葉をかえす。
「なんやねん、お前ら、嘗めやがって、大阪の恐ろしさを思い知れ!
南港トルネード!」
バルはいきなりジャンプして、回転しながら飛びかかってきた。
シアンちゃんは驚いて飛び退く。
「何やってんのよいきなり!」
「何って狩りゴッコやろが!」
「そんな事やってるから、ここの遊園地つぶれちゃって
雑貨屋になっちゃうのよ!」
「あうっ!」
シアンちゃんの言葉にバルはしょんぼりしてその場に座り込んでしまった。
「そうやねん、せっかく、みんなを喜ばそうと思うて
ここで上方プロレスやっててんけど、ここ、つぶれてしもてん。
一生懸命やってたのに」
「あら、あんたのせいじゃないわよ、あなたは悪くない。
上方プロレスは永遠に不滅よ!」
「そうか!」
シアンちゃんとバルはがっしりと抱き合う。
ブオーッ!と炎が燃え上がる。
「あ、同じ炎系だった」
横からサバンちゃんが冷静につぶやく。
「お前らええ奴やな、まあ温泉にでも入っていけや。
ここの横にあるスッポンワールドはまだ経営してるねん。楽しいで」
「私は温泉入れないけど、サバンちゃんは喜ぶわね、ご案内お願いするわ」
「おう!」
バルは、遊園地の横にある総合スパ施設にシアンちゃんたちを案内する。
バルたちは地霊なので、警備やゲート見えない人間をスルーして中に入っていった。
中には古代ギリシャの彫刻を模した巨大風呂やイスラム様式のお風呂、和風の釜風呂など
様々なお風呂があった。
「すごいわねー、満喫したわ。今日はここに宿泊することにするわ」
「ところで、どこまで行くねん」
「明日早朝に、南港から四国に行く船に乗るのよ」
「は?早朝の船はもう、ずっと前に廃止になって、
今は夜に出る船しかないで」
「まじで!?」
「それやったら、早くいけよ、今なら間に合うで!」
「それはいいこと聞いたわ!すぐに行かなきゃ!」
シアンちゃんたちは自転車にのって新世界の町を後にしたのだった。
「ばいばーい!また来いやー!」
後ろから笑顔でバルが手を振った。
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