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三章
十二話 ホモサピエンス
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「楽しかったね~」
ドカンちゃんはチカンちゃんにほほえみかける。
「そうだね~」
チカンちゃんもドカンちゃんにほほえみかける。
「どう、来てよかったでしょ。高千穂に来て雲海を見ないなんて、
高千穂の楽しみの半分を失ったようなものよ」
チー子は言った。
「ありがとうございます!本当に、素晴らしかったです」
「どう?これで神様は本当にいるんだって確信できたでしょ」
「あ……え、はい」
ドカンちゃんが答えた。
チー子はチラリとチカンちゃんの方を見る。
「ねえ、この子にもう人類の成り立ちは教えた?」
「何それ?」
「なぜ、ホモサピエンスがこの地球の支配者になれたかって話よ」
「……」
チカンちゃんはチー子を凝視したあと、右手の薬指を口に入れてツバでぬらした。
それを鼻の中に入れて、鼻くそをほじった。
薬指に大きな鼻くそがくっついてくる。
「鼻くそ喰うか?」
「食べないわよ」
真顔でチー子は言った。
「耳くそのほうがいいいのか?」
「あんたが全然この子にこの世の成り立ちを教えてないことだけはわかったわ」
チー子はあきれ顔でそう言いつつ、ドカンちゃんを見た。
「まあいいわ、旅館に帰る道すがら、色々おしえてあげる。
帰りは自転車に乗らず、歩いて帰りましょ」
「はい」
その横をシアンちゃんとサバンちゃんが二人乗り自転車に乗って通り過ぎる。
「ばっはは~い!」
サバンちゃんが笑顔で通り過ぎていった。
「さてどうしてホモサピエンスは世界を征服できたでしょうか?」
「それは、他の動物より頭がよくて手先が器用だからだと思います」
「あら、サピエンスよりもネアンデルタールのほうが頭がよくて、
運動能力が高くて、手先が器用だったのよ」
「でも、ネアンデルタール人が進化して今の人類になったんでしょ」
「違うわ。ネアンデルタールはサピエンスに皆殺しにされたのよ」
「え?だって教科書には猿人から人間は進化して……」
「それは嘘っぱちね。ネアンデルタールは、サピエンスより優秀で
清潔好きで、火も使えて、勇気があって、勤勉だった」
「じゃあ、どうして自分達より劣った人間に負けちゃったんですか?」
「ネアンデルタールはね、神を信じなかったの」
「え?」
「サピエンスはネアンデルタールより無能で、力が弱く、
嘘つきで、噂話が大好きで、怠惰だった。ただ、唯一、
違っていたことは神を信仰していたこと」
「もしかして、神の奇跡で人間が勝利したとか言いたいですか?」
「そうではないわ。人間は、弱く愚かな自分達を助けてくれるよう
神に祈り、秋の収穫祭のあとには盛大な祭りを行い、
神に供物をささげて、大々的に資材を浪費したのよ。
それに比べてネアンデルタールは、個人主義で、
神を信じず、自分だけを信じて、資材をため込み、
質素倹約し、ため込んで浪費しなかった。
結果、ネアンデルタールの勢力はどんどん衰亡し、
サピエンスはどんどん栄え、ネアンデルタールは、
見下して、みくびっていたサピエンスによって皆殺しにされて
滅びたのよ」
「言ってることがまったくわかりません」
「動物は、一つの群れとして集結できるのはせいぜい二十一匹までなのよ。
ネアンデルタールの集落もそんなものよ。村同士の交流はあったものの、
力を合わせる事ができるのはせいぜい二十人程度、
それに対して、サピエンスは同じ信仰というつながりによって何百人、
何千人単位で団結し、たった二十一人のネアンデルタールの村を一つずつ
襲っていったの。ネアンデルタールは個人主義。他人のために
戦うなんてまっぴらだと思っているから戦わずに逃げたわ。
そして、逃げて、逃げて、最終的に散りじりバラバラになって、
結局皆殺しにされたのよ」
「ごめんなさい、何が言いたいか分からないです」
チー子はドカンちゃんに手のひらを向けた。
「指の一本一本は弱くて細い。しかし、握り拳となって
一つにまとまれば、拳となって敵を討つ。
一本の指を鍛えて、一本の指で戦うものはいずれ滅びる。
弱くとも一つにまとまった者は勝つ」
「あ!」
ドカンちゃんは包帯を巻いた、自分の右手を見た。
「厳しい事ばかり言ってごめんね」
チー子が微笑んだ。
「いいえ、とても勉強になりました」
ドカンちゃんは頭をさげた。
ドカンちゃんはチカンちゃんにほほえみかける。
「そうだね~」
チカンちゃんもドカンちゃんにほほえみかける。
「どう、来てよかったでしょ。高千穂に来て雲海を見ないなんて、
高千穂の楽しみの半分を失ったようなものよ」
チー子は言った。
「ありがとうございます!本当に、素晴らしかったです」
「どう?これで神様は本当にいるんだって確信できたでしょ」
「あ……え、はい」
ドカンちゃんが答えた。
チー子はチラリとチカンちゃんの方を見る。
「ねえ、この子にもう人類の成り立ちは教えた?」
「何それ?」
「なぜ、ホモサピエンスがこの地球の支配者になれたかって話よ」
「……」
チカンちゃんはチー子を凝視したあと、右手の薬指を口に入れてツバでぬらした。
それを鼻の中に入れて、鼻くそをほじった。
薬指に大きな鼻くそがくっついてくる。
「鼻くそ喰うか?」
「食べないわよ」
真顔でチー子は言った。
「耳くそのほうがいいいのか?」
「あんたが全然この子にこの世の成り立ちを教えてないことだけはわかったわ」
チー子はあきれ顔でそう言いつつ、ドカンちゃんを見た。
「まあいいわ、旅館に帰る道すがら、色々おしえてあげる。
帰りは自転車に乗らず、歩いて帰りましょ」
「はい」
その横をシアンちゃんとサバンちゃんが二人乗り自転車に乗って通り過ぎる。
「ばっはは~い!」
サバンちゃんが笑顔で通り過ぎていった。
「さてどうしてホモサピエンスは世界を征服できたでしょうか?」
「それは、他の動物より頭がよくて手先が器用だからだと思います」
「あら、サピエンスよりもネアンデルタールのほうが頭がよくて、
運動能力が高くて、手先が器用だったのよ」
「でも、ネアンデルタール人が進化して今の人類になったんでしょ」
「違うわ。ネアンデルタールはサピエンスに皆殺しにされたのよ」
「え?だって教科書には猿人から人間は進化して……」
「それは嘘っぱちね。ネアンデルタールは、サピエンスより優秀で
清潔好きで、火も使えて、勇気があって、勤勉だった」
「じゃあ、どうして自分達より劣った人間に負けちゃったんですか?」
「ネアンデルタールはね、神を信じなかったの」
「え?」
「サピエンスはネアンデルタールより無能で、力が弱く、
嘘つきで、噂話が大好きで、怠惰だった。ただ、唯一、
違っていたことは神を信仰していたこと」
「もしかして、神の奇跡で人間が勝利したとか言いたいですか?」
「そうではないわ。人間は、弱く愚かな自分達を助けてくれるよう
神に祈り、秋の収穫祭のあとには盛大な祭りを行い、
神に供物をささげて、大々的に資材を浪費したのよ。
それに比べてネアンデルタールは、個人主義で、
神を信じず、自分だけを信じて、資材をため込み、
質素倹約し、ため込んで浪費しなかった。
結果、ネアンデルタールの勢力はどんどん衰亡し、
サピエンスはどんどん栄え、ネアンデルタールは、
見下して、みくびっていたサピエンスによって皆殺しにされて
滅びたのよ」
「言ってることがまったくわかりません」
「動物は、一つの群れとして集結できるのはせいぜい二十一匹までなのよ。
ネアンデルタールの集落もそんなものよ。村同士の交流はあったものの、
力を合わせる事ができるのはせいぜい二十人程度、
それに対して、サピエンスは同じ信仰というつながりによって何百人、
何千人単位で団結し、たった二十一人のネアンデルタールの村を一つずつ
襲っていったの。ネアンデルタールは個人主義。他人のために
戦うなんてまっぴらだと思っているから戦わずに逃げたわ。
そして、逃げて、逃げて、最終的に散りじりバラバラになって、
結局皆殺しにされたのよ」
「ごめんなさい、何が言いたいか分からないです」
チー子はドカンちゃんに手のひらを向けた。
「指の一本一本は弱くて細い。しかし、握り拳となって
一つにまとまれば、拳となって敵を討つ。
一本の指を鍛えて、一本の指で戦うものはいずれ滅びる。
弱くとも一つにまとまった者は勝つ」
「あ!」
ドカンちゃんは包帯を巻いた、自分の右手を見た。
「厳しい事ばかり言ってごめんね」
チー子が微笑んだ。
「いいえ、とても勉強になりました」
ドカンちゃんは頭をさげた。
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