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三章
十四話 言わぬが花
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ずっと坂道だった道路が川沿いになって平地になる。
川には土砂流出防止の水杭がいっぱい設置されていた。
ドカンちゃんはその川の流れを目で追う。
「また何か考えてるの?」
チカンちゃんが聞く。
「うーん、何かね、思ったほど感動がないんだ。
もっと旅行しているうちに胸が熱くなるとか、
そういう事があるかと思ったんだけど、そういうのもないだ」
「それでも、それは思い出になったとき、きっと
すごく懐かしくて大切な思い出になると思うよ。
今は前に進むんだ」
チカンちゃんがそう言った。
「そうだね」
ドカンちゃんは小さい頃、両親にカナダ旅行につれていってもらった事がある。
その時、ナイアガラの滝を見せられて、「すごいだろう」と言われたけど、
ドカンちゃんはそれほど感動しなかった。
こんなものかと思った。
それより、その後で見たカナダの町の街灯、カナディアンクリスタルのウサギ、
甘いメイプルシロップのほうが印象に残っていた。
その時はそれほど何も感じなかったけど、今では本当に大切な思い出になっている。
もう、引きこもりの自分には自力であそこに行けることはないんだろうとも思った。
今回の旅行も、もう、自力で行けることはないかもしれない。
それは金銭面かもしれないし、時間面かもしれないし、両親が
年老いて、おいていけないくなってしまうかもしれない。
だから、いまは、思う存分、この状況を楽しもうとドカンちゃんは思った。
「あ~あ~ああああ~あ~あああ~あ~ああああ~あ~あ~」
チカンちゃんが買い物かごの中でアニメの銀河戦艦トマトが目的地のイスジンダルに
到着するときにかかったBGMを口ずさんだ。
ドカンちゃんはその音色にすこし切ない気持ちになった。
「よーしいくぞー!」
その気持ちを振り払うように、
ドカンちゃんは自転車のスピードをあげる。
「ちょっ、待ちなさいよ!」
シアンちゃんが慌てて後を追う。
「だんだだだんだーだんだだーん、たらら、だだだだだーん、たらららーん、
サラバーヒキコよー旅だーつドカン~、宇宙勇者の~ど~か~ん~!」
ドカンちゃんが歌うと、チカンちゃんがよろこで、パンパン手拍子を打った。
喜びいさんで延岡の待ちに入ると、商店街の前で少し体の大きくて
ぼろ布のマントを身にまとい、茶色の髪の毛がボサボサの女の子が待っていた。
「や~まってたよ~よくきたね~」
すごく穏やかそうな子だった。
頭にはネコ耳が生えている。
「あなたは誰ですか」
ドカンちゃんが聞いた。
「私はラガマフィンのラガだよ~」
ラガは答えた。
「ねえねえ、私たちは悪い奴らをやっつけるためにここに来たんだ!
誰か悪い奴いない?」
買い物かごをユッサユッサ揺すってチカンちゃんが言った。
「ここにはいないよ~」
ニッコリ笑ってラガは言った。
「ほんとに?ほんとに、ほんとに?」
「あ、いた!」
そう言ってラガはドカンちゃんに歩み寄った。
そして、その背中に手を伸ばして何かをひょいとつまみあげる。
真っ黒な小鬼がギョロリとみんなを睨み付けた。
「くそっ!世の中は腐っている。みんな汚いんだ!ボクはあんな汚い
大人になんかならないんだ!ボクたちの世代は特別なんだ!
時代遅れの大人なんかと違うんだ!」
小鬼は大声でまくし立てた。
「よし、悪者め!やっつけてやる!」
チカンちゃんが戦闘ポーズを取った。
「あーん」
ラガは大口を開けて、自分の口の中に小鬼を放り込んだ。
「バキ、ゴキ、グチャ」
鈍い音が口の中で響く。
ゴクン!
ラガは飲み込んだ。
「あー!私たちの活躍の場が無くなっちゃったじゃんか!」
チカンちゃんが怒る。
「いいじゃん、誰が倒したって。それにこの小鬼、細戦嘆
は、自分が常に流行の最先端で、時代を先取りしていて、常に新しくて、
しかも、新しい概念は常に正しいと人に思い込ませる困った妖怪なんだ。
逃げられる前に食べちゃって正解だったよ」
それを聞いてドカンちゃんは顔をカーッと赤くした。
「あらあら、どうしたの」
ラガはドカンちゃんの顔を覗き込んだ。
「だ、だって、なんか自分がすごくイキッていたんじゃないかと思って、
すごく恥ずかしくなってしまいました」
「大丈夫だよ~君は、とても素直で思いやりがあって、素敵な子だよ~」
そう言ってラガはぎゅっとドカンちゃんを抱きしめる。
「あー!私のドカンちゃんを勝手に抱きしめるな!」
むぎゅっ
ラガは怒っているチカンちゃんを抱きしめる。
「ぴょーっ!」
むきゅ
チカンちゃんも抱きかえす。
「ふん、なによ、あなたたち、
私はべつにそんな事してほしいわけじゃないですからね!」
シアンちゃんは自転車をその場に止めて、ダイヤル式のカギをかけて
ラガの前の進み出してそっぽを向いた。
「ふん!ふんだったら、ふん!」
「はいはい」
ガラはぎゅっとシアンちゃんを抱きしめた。
「ひゅあーっ!」
シアンちゃんは顔を真っ赤にして頭から火が立ち上った。
「ボクも!ボクも!」
サバンちゃんがガラに走り寄ってくる。
「いいですよ」
ラガはサバンちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「きゅ~う」
サバンちゃんはそう言ってその場にへたり込んで倒れてしまった。
「あ、いけない、水の子だったんですね、天然水、天然水」
ラガは慌ててサバンちゃんを離した。
「この子を居間山八幡宮まで連れてきてくださいな」
ラガがそう言うので、ドカンちゃんはフラフラするサバンちゃんを
居間山八幡宮まで連れてきた。
ガラは居間山八幡宮の手水鉢の水を柄杓ですくってサバンちゃんに差し出す。
「あ、待ってください、サバンちゃんは水道水じゃ元気は出ませんから」
「ここの水は全部井戸水だよ」
ガラはすんなり答えた。
「あ、そうなんですね、すいません」
水を飲ませると、サバンちゃんはすぐに元気になった。
「あの、せっかくここまで来たので、お願いがあるんですが……」
ラガが少し申し訳なさそうに後ろを振り返る。
そこには居間山八幡稲荷神社があり、おばあさんが熱心に草取りをしていいた。
「あのおばあさんはいつも熱心に草取りをしておられ、稲荷大明神から
お褒めの言葉とこの扇子を給うように言われていたのですが、
どうにもおばあさんは地霊の私が見えないらしくて、声をかけても
気づいてもらえなかったんですよ」
そういってラガは自分の背中から扇子を出してきた。
「そうなんですね、それならお安いご用です」
ドカンちゃんは扇子を受け取っておばあさんのところに言った。
「あの、おばさま、いつも草取りお疲れ様です。
この扇子は神様からおばさまへのご褒美だそうです。どうか受け取ってください」
「それは、ありがたいこって」
そう言っておばあさんは受け取ろうとしたが、
おばあさんの手は土でよごれていた。
「いや、こんな汚い手で扇子をうけとっちゃ、神様に申し訳ない」
困ったどかんちゃんは周囲を見回した。
すると、少し離れたところにおばあさんのものと思われる手押し車があった。
「あの、おばさま、あの手押し車はおばさまのものですか?」
「そうだよ」
「じゃあ、あそこにおいておきますね」
「ああ、ありがたいこって」
おばあさんは手を合わせた。
ドカンちゃんはおばあさんの手押し車の上に扇子を置く。
すると、おばあさんの表情が一変した。
「うっひゃー!こんなに一杯お稲荷様がいらっしゃったとは、
しらなんだ!しらなんだ!ありがたいこった」
おばあさんたちの目に一斉にラガやチカンちゃん、シアンちゃん、サバンちゃんの
姿が見えるようになったようだった。
特に、ふんぞり返っているシアンちゃんが一番偉いお稲荷さんだと思ったか、
そちらを最も熱心に拝んでいた。
「あ、あの、私達狐じゃな……」
言いかけたチカンちゃんの口をサバンちゃんがそっとふさぐ。
「言わぬが花って言葉もあるじゃないか」
そう言ってサバンちゃんがニヤリと笑った。
川には土砂流出防止の水杭がいっぱい設置されていた。
ドカンちゃんはその川の流れを目で追う。
「また何か考えてるの?」
チカンちゃんが聞く。
「うーん、何かね、思ったほど感動がないんだ。
もっと旅行しているうちに胸が熱くなるとか、
そういう事があるかと思ったんだけど、そういうのもないだ」
「それでも、それは思い出になったとき、きっと
すごく懐かしくて大切な思い出になると思うよ。
今は前に進むんだ」
チカンちゃんがそう言った。
「そうだね」
ドカンちゃんは小さい頃、両親にカナダ旅行につれていってもらった事がある。
その時、ナイアガラの滝を見せられて、「すごいだろう」と言われたけど、
ドカンちゃんはそれほど感動しなかった。
こんなものかと思った。
それより、その後で見たカナダの町の街灯、カナディアンクリスタルのウサギ、
甘いメイプルシロップのほうが印象に残っていた。
その時はそれほど何も感じなかったけど、今では本当に大切な思い出になっている。
もう、引きこもりの自分には自力であそこに行けることはないんだろうとも思った。
今回の旅行も、もう、自力で行けることはないかもしれない。
それは金銭面かもしれないし、時間面かもしれないし、両親が
年老いて、おいていけないくなってしまうかもしれない。
だから、いまは、思う存分、この状況を楽しもうとドカンちゃんは思った。
「あ~あ~ああああ~あ~あああ~あ~ああああ~あ~あ~」
チカンちゃんが買い物かごの中でアニメの銀河戦艦トマトが目的地のイスジンダルに
到着するときにかかったBGMを口ずさんだ。
ドカンちゃんはその音色にすこし切ない気持ちになった。
「よーしいくぞー!」
その気持ちを振り払うように、
ドカンちゃんは自転車のスピードをあげる。
「ちょっ、待ちなさいよ!」
シアンちゃんが慌てて後を追う。
「だんだだだんだーだんだだーん、たらら、だだだだだーん、たらららーん、
サラバーヒキコよー旅だーつドカン~、宇宙勇者の~ど~か~ん~!」
ドカンちゃんが歌うと、チカンちゃんがよろこで、パンパン手拍子を打った。
喜びいさんで延岡の待ちに入ると、商店街の前で少し体の大きくて
ぼろ布のマントを身にまとい、茶色の髪の毛がボサボサの女の子が待っていた。
「や~まってたよ~よくきたね~」
すごく穏やかそうな子だった。
頭にはネコ耳が生えている。
「あなたは誰ですか」
ドカンちゃんが聞いた。
「私はラガマフィンのラガだよ~」
ラガは答えた。
「ねえねえ、私たちは悪い奴らをやっつけるためにここに来たんだ!
誰か悪い奴いない?」
買い物かごをユッサユッサ揺すってチカンちゃんが言った。
「ここにはいないよ~」
ニッコリ笑ってラガは言った。
「ほんとに?ほんとに、ほんとに?」
「あ、いた!」
そう言ってラガはドカンちゃんに歩み寄った。
そして、その背中に手を伸ばして何かをひょいとつまみあげる。
真っ黒な小鬼がギョロリとみんなを睨み付けた。
「くそっ!世の中は腐っている。みんな汚いんだ!ボクはあんな汚い
大人になんかならないんだ!ボクたちの世代は特別なんだ!
時代遅れの大人なんかと違うんだ!」
小鬼は大声でまくし立てた。
「よし、悪者め!やっつけてやる!」
チカンちゃんが戦闘ポーズを取った。
「あーん」
ラガは大口を開けて、自分の口の中に小鬼を放り込んだ。
「バキ、ゴキ、グチャ」
鈍い音が口の中で響く。
ゴクン!
ラガは飲み込んだ。
「あー!私たちの活躍の場が無くなっちゃったじゃんか!」
チカンちゃんが怒る。
「いいじゃん、誰が倒したって。それにこの小鬼、細戦嘆
は、自分が常に流行の最先端で、時代を先取りしていて、常に新しくて、
しかも、新しい概念は常に正しいと人に思い込ませる困った妖怪なんだ。
逃げられる前に食べちゃって正解だったよ」
それを聞いてドカンちゃんは顔をカーッと赤くした。
「あらあら、どうしたの」
ラガはドカンちゃんの顔を覗き込んだ。
「だ、だって、なんか自分がすごくイキッていたんじゃないかと思って、
すごく恥ずかしくなってしまいました」
「大丈夫だよ~君は、とても素直で思いやりがあって、素敵な子だよ~」
そう言ってラガはぎゅっとドカンちゃんを抱きしめる。
「あー!私のドカンちゃんを勝手に抱きしめるな!」
むぎゅっ
ラガは怒っているチカンちゃんを抱きしめる。
「ぴょーっ!」
むきゅ
チカンちゃんも抱きかえす。
「ふん、なによ、あなたたち、
私はべつにそんな事してほしいわけじゃないですからね!」
シアンちゃんは自転車をその場に止めて、ダイヤル式のカギをかけて
ラガの前の進み出してそっぽを向いた。
「ふん!ふんだったら、ふん!」
「はいはい」
ガラはぎゅっとシアンちゃんを抱きしめた。
「ひゅあーっ!」
シアンちゃんは顔を真っ赤にして頭から火が立ち上った。
「ボクも!ボクも!」
サバンちゃんがガラに走り寄ってくる。
「いいですよ」
ラガはサバンちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「きゅ~う」
サバンちゃんはそう言ってその場にへたり込んで倒れてしまった。
「あ、いけない、水の子だったんですね、天然水、天然水」
ラガは慌ててサバンちゃんを離した。
「この子を居間山八幡宮まで連れてきてくださいな」
ラガがそう言うので、ドカンちゃんはフラフラするサバンちゃんを
居間山八幡宮まで連れてきた。
ガラは居間山八幡宮の手水鉢の水を柄杓ですくってサバンちゃんに差し出す。
「あ、待ってください、サバンちゃんは水道水じゃ元気は出ませんから」
「ここの水は全部井戸水だよ」
ガラはすんなり答えた。
「あ、そうなんですね、すいません」
水を飲ませると、サバンちゃんはすぐに元気になった。
「あの、せっかくここまで来たので、お願いがあるんですが……」
ラガが少し申し訳なさそうに後ろを振り返る。
そこには居間山八幡稲荷神社があり、おばあさんが熱心に草取りをしていいた。
「あのおばあさんはいつも熱心に草取りをしておられ、稲荷大明神から
お褒めの言葉とこの扇子を給うように言われていたのですが、
どうにもおばあさんは地霊の私が見えないらしくて、声をかけても
気づいてもらえなかったんですよ」
そういってラガは自分の背中から扇子を出してきた。
「そうなんですね、それならお安いご用です」
ドカンちゃんは扇子を受け取っておばあさんのところに言った。
「あの、おばさま、いつも草取りお疲れ様です。
この扇子は神様からおばさまへのご褒美だそうです。どうか受け取ってください」
「それは、ありがたいこって」
そう言っておばあさんは受け取ろうとしたが、
おばあさんの手は土でよごれていた。
「いや、こんな汚い手で扇子をうけとっちゃ、神様に申し訳ない」
困ったどかんちゃんは周囲を見回した。
すると、少し離れたところにおばあさんのものと思われる手押し車があった。
「あの、おばさま、あの手押し車はおばさまのものですか?」
「そうだよ」
「じゃあ、あそこにおいておきますね」
「ああ、ありがたいこって」
おばあさんは手を合わせた。
ドカンちゃんはおばあさんの手押し車の上に扇子を置く。
すると、おばあさんの表情が一変した。
「うっひゃー!こんなに一杯お稲荷様がいらっしゃったとは、
しらなんだ!しらなんだ!ありがたいこった」
おばあさんたちの目に一斉にラガやチカンちゃん、シアンちゃん、サバンちゃんの
姿が見えるようになったようだった。
特に、ふんぞり返っているシアンちゃんが一番偉いお稲荷さんだと思ったか、
そちらを最も熱心に拝んでいた。
「あ、あの、私達狐じゃな……」
言いかけたチカンちゃんの口をサバンちゃんがそっとふさぐ。
「言わぬが花って言葉もあるじゃないか」
そう言ってサバンちゃんがニヤリと笑った。
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