ねこのフレンズ

楠乃小玉

文字の大きさ
上 下
104 / 113
三章

二十話 台湾基隆ー石垣間 航路

しおりを挟む
 ドカンちゃんたちはフェリーで鹿児島に帰ってきた。
 鹿児島港に虹がかかっていた。
 すごく綺麗だった。

 まるでドカンちゃんたちを歓迎しているかのように。

 ドカンちゃんたちは鹿児島港に降り立つ。

 「歓迎するぞ、ゴルァッ!」

 低音の戦士系の女の人の声がした。

 「え、どこですか?」

 ドカンちゃんが周囲を見回す。

 「ちゃんと挨拶せんか!弛んどる!精神注入!」

 バシン!
 ドカンちゃんはお尻を思いっきり叩かれる。
 
 「あいたたたた!誰ですかっ!」

 後ろを振り向くが誰もいない。
 
 「え?え?」

 「ここだ、ゴルァッ!」

 ドカンちゃんは下を見る。

 「うわっ、ちっちゃっ!かわいっ!」

 ドカンちゃんの半分くらいの大きさの猫娘さんが自分の体の倍くらいの
 大きさのクリケットバットを持って威嚇している。
 クリケットバットには「精神注入棒」と書かれている。

 「あなたは誰ですか?」

 「ふん!アタイは黒足猫の薩摩黒足サツマクロアシ!」

 スケバンみたいな一人称。しかも、むっちゃ小さい。

 見ると、黒の革靴にヒョウ柄のレザーシャツとパンツ、黒の革手袋。

 頭は茶色と黒の斑点でネコ耳もヒョウ柄だった。

 「貴様ら!日本で一番強い薩摩をスルーして屋久島に行くとはないごっじょ!」

 クリケットのバットをブンブン振り回して薩摩黒足が怒る。

 名前が薩摩黒足っていうのもすごい。

 「え?日本一強いっていうのが価値基準ですか?」

 「なに?アタイを侮とな?!かかってこい、決着つくっど!」
 薩摩黒足は戦闘態勢を取る。

 「いやいやいや、貴方が強いことは認めます。すいませんでした」

 

 ダダンダンダダン!ダダンダンダダン!たらら~ららら~、たらら~ららら~ら~。

 ドカンちゃんの額からタラリと冷や汗が流れる。

 ブウン!

 薩摩黒足の後ろから素早い拳が襲いかかる。
 それを薩摩黒足はすんでのところで避ける。

 さけながらクリケットバットを横殴りに振る。

 ブウン!

 セキコは後ろにジャンプした。
 
 「チェスト-!」
 
 薩摩黒足は飛び上がりざまクリケットバットを振りかざす。
 そこにセキコが正拳突きを食らわせる。
 
 ゴン!

 音がした。

 薩摩黒足はクリケットバットでセキコの正拳を殴りつけ、その反動で回転しながら
 セキコの脳天にクリケットバットを叩きつけた。

 ガツッ!

 確実にヒットした。

 セキコはヒョイとステップして後ろに下がり、ファイティングポーズを取る。
 
 「タマガッタぁ、あの一撃受けて生きとっとか」
 薩摩黒足はニタリと笑う。

 「…わかった! この戦いはやめよう
  ハイ!! やめやめ」

 ドカンちゃんが間に割って入る。

 「ところで、何をしに来たんですかセキコさん」

 「西瓜牛乳!」
 
 ずーん!とセキコが胸を張る。

 「西瓜牛乳て、あの台湾のか?」

 薩摩黒足が言った。

 「え?」
 
 全員、薩摩黒足を見る。

 「沖縄にフェリーで行った奴が、石垣島からフェリーで台湾に行ったって
 いっとったぞ」

 「なんだってーっ!」(全員)(天丼)

 「よかったわね、念願の台湾よ!はい、これ!(他人の金)」

 シアンちゃんはセキコに五万円渡した。

 「それじゃ、話しは決まった。沖縄行きフェリー乗り場まで連れてってやる」

 薩摩黒足は背中にクリケットバットを背負い、ズルズル引きずりならが
 セキコと手を繋いで、ヨチヨチ歩いていった。

 さよならセキコ!君のことは決して忘れないセキコ!

 注意※
 台湾基隆ー石垣間 航路は運行中止になりました。

 
 
しおりを挟む

処理中です...