105 / 113
三章
二十一話 隼人塚
しおりを挟む
ズリッ、ズリッ、ズリッ、
棒を引きずる音がする。
「さて、あんオナゴもフェリーに乗せたことだし、天文館でも案内してやろうかのお」
薩摩黒足が帰ってきた。
「え?プラネタリウムとかですか?」
ドカンちゃんは首をかしげる。
「何ば言うとっとか、天文館ちゅーたら商店街に決まっておろうが!」
何かよく分からないが薩摩黒足がプリプリ怒っている。
「こいつ、頭おかしい」
チカンちゃんがつぶやいた。
「そげんこつ、褒めんでよか」
薩摩黒足が真顔で言った。
「あいつ、貶されて喜んでいるわよ、マゾかしら」
「ああみえて、そうかもね~」
シアンちゃんとサバンちゃんがコソコソ話す。
シアンちゃんが薩摩黒足の前に立ちふさがる。
「何か?」
「この腰抜け」
「チェストーッ!」
薩摩黒足はシアンちゃんを棒で滅多打ちにする。
しかし、シアンちゃんは炎なのでスカスカ空振りする。
「ははは、こいつ喜んでるわ」
「喜んでなかっ!」
薩摩黒足は目を血走らせて叫んだ。
「すいません、薩摩黒足さん、この人もちょっとおかしい人なので
我慢してあげてください」
ドカンちゃんが頭を下げる。
「誰がおかしい人よ!ブチ殺すわよ!」
シアンちゃんが激怒して怒鳴った。
「ははは、よろこんどる、よろこんどる」
薩摩黒足が笑った。
「喜んでないわよ!」
シアンちゃんが突っ込みを入れた。
最初に薩摩黒足が紹介してくれたのは、商店街の二階にある
喫茶店だった。
そこで大きなみたらし団子みたいな「ジャンボ」を紹介してくれた。
薩摩黒足はジャンボとシロクマかき氷を食べた。
そのあと、かるかんとアクマキを食べた。
そのあと、駅前にあるラーメン。
無茶苦茶食べる。
「さて、前菜はこの辺にしといて、食事にでも行くか、
さつま黒豚のしゃぶしゃぶ」
「もう、たべきれません~」
ドカンちゃんは降参した。
「なんか、もう降参か、弱かねえ。まあいいわ。お土産に
つけあげでも持っていきなさい」
薩摩黒足はドカンちゃんのお金で薩摩揚げを買ってドカンちゃんにプレゼントした。
おいしそうだったので、ドカンちゃんはちょっとだけ食べてみる。
「あ、鹿児島の薩摩揚げってちょっと甘いんですね」
「おいしかろう。薩摩のつけあげは天下一品よ」
薩摩黒足はご満悦だった。
「まず、薩摩に来たからには、これより隼人のほうに行って
鹿児山神宮にご挨拶に行きなさい。それから霧山神宮。
本来であればセンダイの新帝神社も行くべきだが、今回は鹿児山神宮と霧山神宮だけでもよかろう」
どうも薩摩黒足は礼儀に厳しい子のようだった。
「分かりました、行ってきます」
「霧山神宮にお参りに行ったらお鉢を回って天野逆鉾を見てきなさい」
「あ!」
薩摩黒足の言葉にドカンちゃんは目を見張った。
「天野逆鉾って、あの日本三奇の?」
「ああ、そうだが?」
「うわー!一生に一度は絶対見たかったんです!ありがとうございます!
もうすこしで見逃すところでした!」
ドカンちゃんは何度も頭をさげた。
「おお、それはよか、心がけじゃ、行ってきなさい」
ドカンちゃんの言葉を聞いて薩摩黒足はご満悦のようだった。
「それでは、気をつけてのお」
薩摩黒足はドカンちゃんに手を振った。
「ありがとうございます~」
ドカンちゃんは手を振りながら、まずは隼人を目指した。
鹿児島から加治木に向かう海沿いの道は歩道がすごく細くて怖かった。
加治木を過ぎると、普通の道があった。
加治木から隼人までは平坦で、わりと簡単に行けた。
浜沿いの道から内陸に入って、県道473号線を走っていると、隼人塚という
表示があった。
ドカンちゃんはどうしてもそこに行きたくなって、
その公園に入っていった。
目の前に塚があり、鎧を着た石像や供養塔があた。
そこに行くと、なぜか、とても心が温かくなった。
ドカンちゃんの目には隼人の人達の幻影が映った。
「よう来たなあ、ここまで来たんなら、どうぞ
我らの長に会っていかれよ」
そんな声が聞こえた気がした。
「長って誰ですか?」
「霧島のお山におわす」
「あ、はい分かりました!」
ドカンちゃんは深々と頭をさげた。
ドカンちゃんはそこを出ると、まず
鹿児山神宮に行った。
ご本社にお参りしたあと、その裏山に登った。
そこには、屋久島でおじさんが教えてくれた
稲荷神社があるはずだった。
戦国時代、島津家久が熱心に崇拝していた
鹿児山神宮。
裏山に稲荷神社あがあることを屋久島のおじさんに
教えてもらっていたので、そちらにも参拝してから
霧山神宮に向かった。
棒を引きずる音がする。
「さて、あんオナゴもフェリーに乗せたことだし、天文館でも案内してやろうかのお」
薩摩黒足が帰ってきた。
「え?プラネタリウムとかですか?」
ドカンちゃんは首をかしげる。
「何ば言うとっとか、天文館ちゅーたら商店街に決まっておろうが!」
何かよく分からないが薩摩黒足がプリプリ怒っている。
「こいつ、頭おかしい」
チカンちゃんがつぶやいた。
「そげんこつ、褒めんでよか」
薩摩黒足が真顔で言った。
「あいつ、貶されて喜んでいるわよ、マゾかしら」
「ああみえて、そうかもね~」
シアンちゃんとサバンちゃんがコソコソ話す。
シアンちゃんが薩摩黒足の前に立ちふさがる。
「何か?」
「この腰抜け」
「チェストーッ!」
薩摩黒足はシアンちゃんを棒で滅多打ちにする。
しかし、シアンちゃんは炎なのでスカスカ空振りする。
「ははは、こいつ喜んでるわ」
「喜んでなかっ!」
薩摩黒足は目を血走らせて叫んだ。
「すいません、薩摩黒足さん、この人もちょっとおかしい人なので
我慢してあげてください」
ドカンちゃんが頭を下げる。
「誰がおかしい人よ!ブチ殺すわよ!」
シアンちゃんが激怒して怒鳴った。
「ははは、よろこんどる、よろこんどる」
薩摩黒足が笑った。
「喜んでないわよ!」
シアンちゃんが突っ込みを入れた。
最初に薩摩黒足が紹介してくれたのは、商店街の二階にある
喫茶店だった。
そこで大きなみたらし団子みたいな「ジャンボ」を紹介してくれた。
薩摩黒足はジャンボとシロクマかき氷を食べた。
そのあと、かるかんとアクマキを食べた。
そのあと、駅前にあるラーメン。
無茶苦茶食べる。
「さて、前菜はこの辺にしといて、食事にでも行くか、
さつま黒豚のしゃぶしゃぶ」
「もう、たべきれません~」
ドカンちゃんは降参した。
「なんか、もう降参か、弱かねえ。まあいいわ。お土産に
つけあげでも持っていきなさい」
薩摩黒足はドカンちゃんのお金で薩摩揚げを買ってドカンちゃんにプレゼントした。
おいしそうだったので、ドカンちゃんはちょっとだけ食べてみる。
「あ、鹿児島の薩摩揚げってちょっと甘いんですね」
「おいしかろう。薩摩のつけあげは天下一品よ」
薩摩黒足はご満悦だった。
「まず、薩摩に来たからには、これより隼人のほうに行って
鹿児山神宮にご挨拶に行きなさい。それから霧山神宮。
本来であればセンダイの新帝神社も行くべきだが、今回は鹿児山神宮と霧山神宮だけでもよかろう」
どうも薩摩黒足は礼儀に厳しい子のようだった。
「分かりました、行ってきます」
「霧山神宮にお参りに行ったらお鉢を回って天野逆鉾を見てきなさい」
「あ!」
薩摩黒足の言葉にドカンちゃんは目を見張った。
「天野逆鉾って、あの日本三奇の?」
「ああ、そうだが?」
「うわー!一生に一度は絶対見たかったんです!ありがとうございます!
もうすこしで見逃すところでした!」
ドカンちゃんは何度も頭をさげた。
「おお、それはよか、心がけじゃ、行ってきなさい」
ドカンちゃんの言葉を聞いて薩摩黒足はご満悦のようだった。
「それでは、気をつけてのお」
薩摩黒足はドカンちゃんに手を振った。
「ありがとうございます~」
ドカンちゃんは手を振りながら、まずは隼人を目指した。
鹿児島から加治木に向かう海沿いの道は歩道がすごく細くて怖かった。
加治木を過ぎると、普通の道があった。
加治木から隼人までは平坦で、わりと簡単に行けた。
浜沿いの道から内陸に入って、県道473号線を走っていると、隼人塚という
表示があった。
ドカンちゃんはどうしてもそこに行きたくなって、
その公園に入っていった。
目の前に塚があり、鎧を着た石像や供養塔があた。
そこに行くと、なぜか、とても心が温かくなった。
ドカンちゃんの目には隼人の人達の幻影が映った。
「よう来たなあ、ここまで来たんなら、どうぞ
我らの長に会っていかれよ」
そんな声が聞こえた気がした。
「長って誰ですか?」
「霧島のお山におわす」
「あ、はい分かりました!」
ドカンちゃんは深々と頭をさげた。
ドカンちゃんはそこを出ると、まず
鹿児山神宮に行った。
ご本社にお参りしたあと、その裏山に登った。
そこには、屋久島でおじさんが教えてくれた
稲荷神社があるはずだった。
戦国時代、島津家久が熱心に崇拝していた
鹿児山神宮。
裏山に稲荷神社あがあることを屋久島のおじさんに
教えてもらっていたので、そちらにも参拝してから
霧山神宮に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる