ねこのフレンズ

楠乃小玉

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 二十七話 ドカンちゃんは勇者なんだ!

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 「いくぜ!いくぜい!ボクは勇者なんだー!」
 ドカンちゃんは勢いよく自転車を走らせた。
 そして赤信号で止まる。
 
 「あれ、白井、おめえ何やってんの?」
 
 男の声にドカンちゃんはドキッとする。
 
 恐る恐る振り返ると、それは中学校時代、
 ずっとドカンちゃんを小馬鹿にし続けてきた 
 男子の猿渡だった。
 
 「あれ?何のそボロボロの服、みんなちゃんと高校行ってんのに、
 お前、こんなところで何してんの?」
 
 「え?あの」
 
 「何だよ、ちゃんと言わなきゃわかんねえよ、コミュ障かよ、
 あ?なんか言えよ」
 
 ドカンちゃんの足がガクガクと震える。
 「あれ、お前、自転車の前カゴに何いれてんの、なにそれ?」
 
 「うわあああああー」
 ドカンちゃんは泣きながら逃げた。
  
 「ナイスだよドカンちゃん!よくぞ逃げたね!
 ああいう時は逃げるのが一番だよ!」
 チカンちゃんが言った。
 「本当にそう思うの?」
 ドカンちゃんがチカンちゃんをにらんだ。
 「え?」
 いままでドカンちゃんがそんな表情浮かべたことがなかったので
 チカンちゃんはちょっと不安な表情をする。
 
 「自分で自分を肯定してるだけじゃん、
 ほんとは、外に出るとか誰にでもできるんだよ、
 そんな事できるだけで勇者なんかじゃないよ!」

 「断じて違う!ドカンちゃんは勇者なんだ!
 ドカンちゃんが勇者止めちゃうんなら、私をここへ捨てていってよ!」
 
 必死の表情でチカンちゃんが叫んだ。
 ドカンちゃんが両手でチカンちゃんを掴む。
 「え?」

 チカンちゃんは一瞬不安な表情をする。
 目に涙が浮かぶ。
 でも、唇を噛んで、必死に我慢して、無理に笑顔を作った。
 「いままでありがと、たのしかったよ」
 ドカンちゃんの目からポロポロと涙が流れ出した。
 「ごめんなさい、こんな弱いボクでごめんなさい、
 たとえウソでもいい!チカンちゃんとの今までの楽しい思い出は
 ボクの宝物なんだ!」

 「ドカンちゃん!あああああああああ、わあああああああああああ!」
 チカンちゃんは大声で泣き出した。
 「大好きだよ、チカンちゃん!ああああああああああああああ」
 ドカンちゃんはチカンちゃんをぎゅっと抱きしめた。
 「私もドカンちゃんのこと、大、大、大すきだよー!」
 チカンちゃんはドカンちゃんにしがみついた。
 「ごめんねチカンちゃん、不安にさせちゃったね、
 そうだ、あんなクズなんてどうでもいいんだ、私にとって大切なのは
 チカンちゃんなんだからね」
 「そうだよ!あんなクズに心を傷つけられても、何もいいことないよ!
 あんなの無視すればいいんだ!私達の友情は無敵なんだからね!」
 チカンちゃんが言った。
 「そうだね!」
 ドカンちゃんがニッコリと笑った。
 「いっくぜ公園、こりゃたまらんわー!」
 チカンちゃんが叫んだ。
 「いくぜ、いくぜーい!」
 ドカンちゃんが満面の笑みで自転車をこいだ。

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