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三十八話 河津桜
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ホームセンターを出たあと、お腹が減ったので、
ドカンちゃんはご飯屋さんに入ることにした。
目の前にイタリア料理のお店サイダリアがある。
一度入ってみたかったんだ。でも入るのには勇気がいる。
いや、入ることはできる。注文に来た人に注文するのが怖い。
「おら、早く決めろよ!あ?そんなちょっとしか頼まねえのかよ」
とか怖い不良のお兄さんに言われたどうしよう。
そう思うとドカンちゃんの胸はドキドキと高鳴った。
『勇気を出すのだ、ドカンちゃん、ドカンちゃんは勇者だから出来る!
きっと出来るよ!」
チカンちゃんが励ましてくれる。
「そ、そうだね」
ドカンちゃんは勇気を振り絞り、目をつぶって店の中に入った。
お店の人が近づいてくる。
「禁煙席ですか喫煙席ですか?」
「え?あの、あの、その」
「失礼しました、喫煙席にご案内します」
お店のお姉さんがニッコリ笑って席に案内してくれた。
すごく感じが良い。
不良のお兄さんじゃなかった。
ドカンちゃんは待つ、待つ、待つ、来ない。
待つ!
「あ、ここのボタンを押すんだよ!」
チカンちゃんが丸いボタンを指さした。
今なら帰れる。まだ注文してないから、
走って帰れる。
「どったの?」
チカンちゃんがつぶらな瞳でドカンちゃんを見つめる。
ダメだ、チカンちゃんが楽しみにしてるのに、逃げ出すわけにはいかない。
「ど、ど、どれにする」
「どれにしようか~」
チカンちゃんがメニューを食い入るように見る。
「このエビのがオシャレ!」
チカンちゃんはシュリンプサラダを指さした。
どれだけ高いんだろう。
ドキドキしながら値段をみたら、400円くらいだった。
案外安い。
「これんしようか」
「うん!」
ドカンちゃんは震える手でボタンを押す。
すぐに女の店員の人が来た。
「ご注文はお決まりですか?」
ドカンちゃんは下を見て、指でシュリンプサラダを指した。
「シュリンプサラダでよろしいでしょうか」
ドカンちゃんは無言で頷く。
店員は帰っていった。
「ぷはーっ、息がつまって窒息するところだったよ」
ドカンちゃんは身震いした。
「ド、ドカンちゃん!」
気がつくとチカンちゃんがドリンクバーに行っている。
「だめだよ、そのドリンクバーはお金払わないとタダじゃないから」
「でも、氷と水はタダみたいだよ、さっきのサラダキャンセルしてこれ飲もうよ!」
「ダメだって、何か注文しないとお水もタダじゃないの!」
「そうなの?じゃあ、飲まなきゃ損だから飲んじゃお~」
そう言ってチカンちゃんはドカンちゃんのほうを見る。
「もちあげて!」
「はいはい」
ドカンちゃんがチカンちゃんを持ち上げると、
チカンちゃんは器用にガラスのコップに氷を入れて、
水も入れた。
チカンちゃんはもう一度、コップに氷と水を入れた。
「あぶないよ、一つだけにしときなよ」
「いいの!ドカンちゃんのお水もないと可哀想でしょ!」
そういってコップを二つもった。
下におろしてあげると、チカンちゃんはトコトコ歩いて、テーブルに
ガラスコップ二つを置いた。
そして水を飲んだ。
「つめたくておいし~」
そうしているウチにシュリンプサラダが来た。
「うわ~これオレンジ色の美味しいドレッシングがかかってる~」
チカンちゃんはフォークでエビを突き刺し、チカンちゃんにさしだす。
「はい、あーん」
「はい、あむっ」
「おいしい?」
「うん、おいしい!」
「ねえねえ、チカンちゃんも、チカンちゃんもおいしいしたい!」
「はいはい、わかりましたよ」
ドカンちゃんはフォークで小エビを刺してチカンちゃんの口のところにもってゆく。
「あーん、はむっ、おいし~!」
チカンちゃんはピョンピョン跳ねた。
「次はレタスだ、はいアーン」
「はい、パリパリ」
「じゃあチカンちゃんね、はいアーン」
「はい、アムアム、パリパリ、おいちー!オレンジ色のドレッシングおいちー!」
チカンちゃんは体をゆっさゆっさゆさぶった。
お店の中はキレイでオシャレだし、ここまで来てよかったとドカンちゃんは思った。
サラダを食べ終わると、お会計を済ませて、ドカンちゃんは自転車に乗った。
「あの、カオマニーさん、七剣神社っていってたね。どこかな?」
「スマホに乗ってない?東山遺跡の辺りだと思う」
「行ってみよう」
ドカンちゃんは自転車で坂を下ったが、帰りはあっという間だった。
川沿いの道路まで出ると、そこから南に降った。
大歳山遺跡に行く前の道を西に曲がる。
そこから、ちょと道を上って朝霧駅の前に繋がる道に出るが、
そこからまた西に行って、すこし山を登る。
そして、住宅街のほうに入っていった。
しばらく探していたが分からない。
仕方ないので、明石SNSの明石市東部掲示板という処を
探して情報提供をお願いしてみた。
するとすぐに返事が返ってきた。
朝霧駅の北西、地図で階段のマークがある処の下だという書込みがあった。
早速、スマホで調べて、階段のところにいった。
小さいけれど、すごく古い小さな神社があった。
そこに行ってドカンちゃんは手を合わせた。
「どうか、猫が好きなお花が見つかりますように」
すると、フワッと神社の中から白いベールをかぶった天女様のような人が
現れた。
「私のお使いを探しているのかい」
「はい、猫が好きなお花を知っているお使い様とお会いしたくて」
「そうかい、私のお使いは、ここを熱心に拝みに来た人に
全部ついていかせてしまったよ。
あの子ははねえ、たしかお花のお店の明宝園についていかせたね」
「その明宝園ってどこにあるんですか?」
「すぐ近くだよ、ここから北に行って大きな道沿いの坂の中腹にある」
「ありがとうございます!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは急いで、坂道の大きな道路に出た。
しかし、そこはカラオケと本屋さんとレンタルDVD屋さんになっていた。
「なかったね~」
「そうだね~」
ドカンちゃんとチカンちゃんはがっかりして家路についた。
途中で稲妻神社の前を通りかかったので、
ご本社で猫が好きなお花が見つかりますようにとお願いに行った。
「これ、これこれ」
ご本社に向かおうとする時、横から声がする。
見ると、ご本社の向かって右側に拙者がずらりと並んでいる。その一番左側にある
立派な稲荷神社から声がする。
「あ、はい何でしょう」
「稲妻神社は一願成就の霊験あらたかな神社。その願いを猫が好きな草を見つけるのに
使うなど、もったいないではないか」
「じゃあ、お稲荷様がかなえてくださるのですか」
ドカンちゃんは言った。
「かなえてやらぬではないが、代償は高いぞ」
「お稲荷様って代償が高いっていいますもんね」
「左様であるぞ、だが近所のよしみでヒントを教えてやってもいいぞ」
「ご近所といいますと?」
「我はもともと、朝霧丘を守っていた神社の神であるが、
住宅開発で立ち退きとなって、こちらに来たのだ。」
「ああ、だからこの祠だけ二つのお稲荷様が祀っておられるんですね」
「左様。お前が探している神様のお使いがいる明宝園は、山奥のほうに引っ越していったぞ」
「あ!明宝園って引っ越していたんですね!」
「そうだ、そのお使いに会いたければ明宝園を探すがよい」
「分かりました!ありがとうございます!」
ドカンちゃんは何度も何度も頭をだげた。
「左様に恐縮することはない、門出の祝いじゃ、うけとるがよい」
その声とともに、稲荷神社の前にある桜の木が一瞬にして満開になった。
「うわっ!すごーい!ものすごくキレイ!こんな桜見たことないです!」
ドカンちゃんは興奮した。
「うむ、河津桜という早咲きの桜じゃ。花が三週間ほど持つ特別な桜だぞ」
「素晴らしいものを見せていただきました。本当に、本当に元気がでました!
ありがとうございます!」
ドカンちゃんは何度も頭をさげた。
ドカンちゃんはご飯屋さんに入ることにした。
目の前にイタリア料理のお店サイダリアがある。
一度入ってみたかったんだ。でも入るのには勇気がいる。
いや、入ることはできる。注文に来た人に注文するのが怖い。
「おら、早く決めろよ!あ?そんなちょっとしか頼まねえのかよ」
とか怖い不良のお兄さんに言われたどうしよう。
そう思うとドカンちゃんの胸はドキドキと高鳴った。
『勇気を出すのだ、ドカンちゃん、ドカンちゃんは勇者だから出来る!
きっと出来るよ!」
チカンちゃんが励ましてくれる。
「そ、そうだね」
ドカンちゃんは勇気を振り絞り、目をつぶって店の中に入った。
お店の人が近づいてくる。
「禁煙席ですか喫煙席ですか?」
「え?あの、あの、その」
「失礼しました、喫煙席にご案内します」
お店のお姉さんがニッコリ笑って席に案内してくれた。
すごく感じが良い。
不良のお兄さんじゃなかった。
ドカンちゃんは待つ、待つ、待つ、来ない。
待つ!
「あ、ここのボタンを押すんだよ!」
チカンちゃんが丸いボタンを指さした。
今なら帰れる。まだ注文してないから、
走って帰れる。
「どったの?」
チカンちゃんがつぶらな瞳でドカンちゃんを見つめる。
ダメだ、チカンちゃんが楽しみにしてるのに、逃げ出すわけにはいかない。
「ど、ど、どれにする」
「どれにしようか~」
チカンちゃんがメニューを食い入るように見る。
「このエビのがオシャレ!」
チカンちゃんはシュリンプサラダを指さした。
どれだけ高いんだろう。
ドキドキしながら値段をみたら、400円くらいだった。
案外安い。
「これんしようか」
「うん!」
ドカンちゃんは震える手でボタンを押す。
すぐに女の店員の人が来た。
「ご注文はお決まりですか?」
ドカンちゃんは下を見て、指でシュリンプサラダを指した。
「シュリンプサラダでよろしいでしょうか」
ドカンちゃんは無言で頷く。
店員は帰っていった。
「ぷはーっ、息がつまって窒息するところだったよ」
ドカンちゃんは身震いした。
「ド、ドカンちゃん!」
気がつくとチカンちゃんがドリンクバーに行っている。
「だめだよ、そのドリンクバーはお金払わないとタダじゃないから」
「でも、氷と水はタダみたいだよ、さっきのサラダキャンセルしてこれ飲もうよ!」
「ダメだって、何か注文しないとお水もタダじゃないの!」
「そうなの?じゃあ、飲まなきゃ損だから飲んじゃお~」
そう言ってチカンちゃんはドカンちゃんのほうを見る。
「もちあげて!」
「はいはい」
ドカンちゃんがチカンちゃんを持ち上げると、
チカンちゃんは器用にガラスのコップに氷を入れて、
水も入れた。
チカンちゃんはもう一度、コップに氷と水を入れた。
「あぶないよ、一つだけにしときなよ」
「いいの!ドカンちゃんのお水もないと可哀想でしょ!」
そういってコップを二つもった。
下におろしてあげると、チカンちゃんはトコトコ歩いて、テーブルに
ガラスコップ二つを置いた。
そして水を飲んだ。
「つめたくておいし~」
そうしているウチにシュリンプサラダが来た。
「うわ~これオレンジ色の美味しいドレッシングがかかってる~」
チカンちゃんはフォークでエビを突き刺し、チカンちゃんにさしだす。
「はい、あーん」
「はい、あむっ」
「おいしい?」
「うん、おいしい!」
「ねえねえ、チカンちゃんも、チカンちゃんもおいしいしたい!」
「はいはい、わかりましたよ」
ドカンちゃんはフォークで小エビを刺してチカンちゃんの口のところにもってゆく。
「あーん、はむっ、おいし~!」
チカンちゃんはピョンピョン跳ねた。
「次はレタスだ、はいアーン」
「はい、パリパリ」
「じゃあチカンちゃんね、はいアーン」
「はい、アムアム、パリパリ、おいちー!オレンジ色のドレッシングおいちー!」
チカンちゃんは体をゆっさゆっさゆさぶった。
お店の中はキレイでオシャレだし、ここまで来てよかったとドカンちゃんは思った。
サラダを食べ終わると、お会計を済ませて、ドカンちゃんは自転車に乗った。
「あの、カオマニーさん、七剣神社っていってたね。どこかな?」
「スマホに乗ってない?東山遺跡の辺りだと思う」
「行ってみよう」
ドカンちゃんは自転車で坂を下ったが、帰りはあっという間だった。
川沿いの道路まで出ると、そこから南に降った。
大歳山遺跡に行く前の道を西に曲がる。
そこから、ちょと道を上って朝霧駅の前に繋がる道に出るが、
そこからまた西に行って、すこし山を登る。
そして、住宅街のほうに入っていった。
しばらく探していたが分からない。
仕方ないので、明石SNSの明石市東部掲示板という処を
探して情報提供をお願いしてみた。
するとすぐに返事が返ってきた。
朝霧駅の北西、地図で階段のマークがある処の下だという書込みがあった。
早速、スマホで調べて、階段のところにいった。
小さいけれど、すごく古い小さな神社があった。
そこに行ってドカンちゃんは手を合わせた。
「どうか、猫が好きなお花が見つかりますように」
すると、フワッと神社の中から白いベールをかぶった天女様のような人が
現れた。
「私のお使いを探しているのかい」
「はい、猫が好きなお花を知っているお使い様とお会いしたくて」
「そうかい、私のお使いは、ここを熱心に拝みに来た人に
全部ついていかせてしまったよ。
あの子ははねえ、たしかお花のお店の明宝園についていかせたね」
「その明宝園ってどこにあるんですか?」
「すぐ近くだよ、ここから北に行って大きな道沿いの坂の中腹にある」
「ありがとうございます!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは急いで、坂道の大きな道路に出た。
しかし、そこはカラオケと本屋さんとレンタルDVD屋さんになっていた。
「なかったね~」
「そうだね~」
ドカンちゃんとチカンちゃんはがっかりして家路についた。
途中で稲妻神社の前を通りかかったので、
ご本社で猫が好きなお花が見つかりますようにとお願いに行った。
「これ、これこれ」
ご本社に向かおうとする時、横から声がする。
見ると、ご本社の向かって右側に拙者がずらりと並んでいる。その一番左側にある
立派な稲荷神社から声がする。
「あ、はい何でしょう」
「稲妻神社は一願成就の霊験あらたかな神社。その願いを猫が好きな草を見つけるのに
使うなど、もったいないではないか」
「じゃあ、お稲荷様がかなえてくださるのですか」
ドカンちゃんは言った。
「かなえてやらぬではないが、代償は高いぞ」
「お稲荷様って代償が高いっていいますもんね」
「左様であるぞ、だが近所のよしみでヒントを教えてやってもいいぞ」
「ご近所といいますと?」
「我はもともと、朝霧丘を守っていた神社の神であるが、
住宅開発で立ち退きとなって、こちらに来たのだ。」
「ああ、だからこの祠だけ二つのお稲荷様が祀っておられるんですね」
「左様。お前が探している神様のお使いがいる明宝園は、山奥のほうに引っ越していったぞ」
「あ!明宝園って引っ越していたんですね!」
「そうだ、そのお使いに会いたければ明宝園を探すがよい」
「分かりました!ありがとうございます!」
ドカンちゃんは何度も何度も頭をだげた。
「左様に恐縮することはない、門出の祝いじゃ、うけとるがよい」
その声とともに、稲荷神社の前にある桜の木が一瞬にして満開になった。
「うわっ!すごーい!ものすごくキレイ!こんな桜見たことないです!」
ドカンちゃんは興奮した。
「うむ、河津桜という早咲きの桜じゃ。花が三週間ほど持つ特別な桜だぞ」
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