ねこのフレンズ

楠乃小玉

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四十九話 大丈夫、すべての道は繋がっているんだ

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 石ヶ谷公園の北側の道を左折して、そこを北上する。しばらくいくと
 大きな墓園があった。

 「うわー!なんか大きな鳥の石像があるー!」
 チカンちゃんが驚いて叫んだ。
 その他にも巨大なお地蔵さんもあった。
 「すごいねー、これを見ただけでも来たかいがあったよ」
 ドカンちゃんが目を輝かせた。

 すごい大きな宮殿みたいな墓園を通り抜けてしばらく行くと、
 立派な神社があった。
 
 そこの神社の石版には玉津姫という姫様の伝説が書いてあった。

 玉津姫は顔に巨大なイボがあり、周囲から虐められていたので
 引きこもっていた。
 ある日神様のお告げをうけて、
 勇気を出して冒険旅行に行った。
 四国に渡り、九州に渡り、
 旅を続けている途中で、炭焼き小屋でススだらけの男の人の家に
 泊めてもらうことになった。
 親切にしてくれた男の人に、玉津姫は金塊を渡した。
 男の人はさして喜びもせず、それを持って外に行き、
 金塊を捨てて帰ってきた。

 驚いた玉津姫が事情を聞くと、鳥が飛んでいたから、
 狩ろうと思って金塊を投げたが、当たらず、金塊は
 どこかに行ってしまったという。

 呆れた玉津姫が、それを売れば大金持ちになると告げると、
 その男の人は、そんな石ころ、この辺りにはいくらでもあると言った。
 驚いた玉津姫が男の人についていくと、そこには大量の金塊が
 転がっていた。
 玉津姫はそれを男の人と一緒に拾い集め、
 売ったので、大変大金持ちになった。
 喜んだ男の人は玉津姫に求婚し、二人は幸せに暮しましたとさ。
 めでたし、めでたし。

 「うわー素敵な話しだなあ、ああ、だから金姫神社っていうのか。
  って事は、あの玉津地区の名前の由来になったのは
 この姫様なんだなあ、知らなかった」

 「すごいね!すごいね!」
 チカンちゃんも感心した。

 「玉津姫様も一生懸命冒険旅行して幸せになったんだから
 ドカンちゃんも幸せにならないとダメなんだよ!」

 チカンちゃんが言った。
 「そうだね」
 ドカンちゃんが微笑んだ。
 「じゃあ、帰ろうか」
 ドカンちゃんはスマホのマップで帰り道をチェックする。
 しばらく北上して、そこから右折する。
 右折してからは、ひたすら下り道だった。

 風を受けて、自転車が爽快にかけぬけていく。
 「うわーすごい、自分が風になったみたいだ~」
 ドカンちゃんはすごく気持ちよくなった。
 「見て!」
 チカンちゃんが叫んだ。
 すると、ママの自転車から青い羽根がはえて、
 大きな翼になった。
 そして自転車の前カゴの前から長い鳳凰の首が出てきた。
 「私の真の姿は世界に幸せをもたらす水色の火の鳥なのですよ」
 そう言って、自転車の火の鳥は、巨大な翼をひろげる。
 ふわっ、とドカンちゃんの体が浮く。
 「しゅごーい!しゅごーい!」
 興奮したチカンちゃんが買い物かごをユサユサゆすった。
 
 キキッとブレーキを踏んで、自転車が止まった。
 「あれ?」
 怪訝な表情でチカンちゃんがドカンちゃんを見る。
 ドカンちゃんはニッコリ笑う。
 
 「赤信号は止まりましょう」
 ドカンちゃんが前を見ると、信号が赤だ。

 「あっ、いっけねー!」
 チカンちゃんはテヘペロした。

 そこから右折して進路を南にとる。

 しばらく行くと、道が二つに分かれた。
 「このまままっすぐ南に行くと大久保のほうだから、
 左折して東に行こうよ!」
 
 チカンちゃんが言った。
 「そうだね」
 ドカンちゃんが自転車を東に向けた。

 そのまま行くと、道は上り坂になった。
 どんどん歩道が狭くなって、ついには歩道がなくなってしまった。
 道はどんどん山の中に入っていく。
 
 「うううっ、ごめんねドカンちゃん、へんな処に入っちゃった」
 チカンちゃんが涙目になる。
 「大丈夫、すべての道は繋がっているんだ。南に出る道に行き当たったら
 きっと明石に帰れるよ」
 ドカンちゃんはニッコリと笑った。
 「ど、ドカンちゃん頼もしい、さすが勇者ドカンだよ!」
 チカンちゃんが目を丸くして驚いた。
 しばらくいくと道はどんどん山の中に入っていく。

 そして、その坂を登り切ると、下り坂になった。
 下り坂を下りていくと、向かって左側に小さな神社の祠があった。
 ドカンちゃんはその前で止まって手を合わせる。

 その時である。

 「大変だよ、ドカンちゃん!」
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