19 / 72
19話 バケモノの巣
しおりを挟む
「敵がまともに戦ってくれない。
まともに腕力対腕力で戦えば必ず勝てるのに!」
オレはミルセラに悩みを打ち明けた。
「そりゃ、弱い奴にしたらまともに戦って負ける相手とまともに戦うわけないだろ。
負けたくないんだから。しかし、私が知るかぎり、ヤマトの戦いで敵が我々を回避したのは
今回が初めてだと思うんだが、他になにか不条理な目にあったのかい」
「筆記試験とか」
「それはお前が勉強不足なだけじゃね?」
「そうですね」
理由は分かっていた。
本当であればもっとカリスマとか家柄とか環境とかにポイント振り分けときゃよかった。
そうしたら弱いNPC相手にドヤリながら周囲からチヤホヤされてた。
しかしオレはガチで最強を目指してしまった。
戦術級では勝利条件をクリアしたが、
作戦級で攻略目標を見誤った感じだ。
結果、口先では最強と言いながら実際は適当に格下をボコりながら周囲の女にキャーキャー
言われることだけが目的で転生してきた奴とかち合い、相手をボコボコにして
鼻をへし折ってしまった。
結果、相手の心がねじくれてしまい、訳のわからんナニワ民国とか作って、
チクチクオレの邪魔をしてくる。
手っ取り早く、ナニワ民国の本拠地に乗り込んで調子に乗っているカイトをボコりたいのだが、
傷ついた仲間を助けたりししないといけないし、
深入りしすぎて包囲され、仲間が殺されたりするのはイヤだ。
正直、自分一人で行けば楽勝で相手は倒せるんだろうけど、
軍は複数で行動するよう命令する。
オレは神様から最強の力を貰っているのだから、
一人で行ってもたぶん勝てるのだが、軍はそんな事言っても信用してくれない。
まあ、常識で考えたらそれが当たり前なんだけど。
オレは一人で行動できるように馬の練習をした。
たとえ軍の命令を無視しても自分一人で敵戦場に乗り込んでやる。
それで終わるのだ。
そして、何とか馬を乗りこなせるようになった頃である。
ドスエ軍の小隊がイコマーの警察犬育成場を襲った。
その部隊は次にタカヤマー郵便局、診療所、保育所を襲って放火した。
「ドスエめ!」
オレは激怒して命令を待たず、一人で馬を走らせた。
オレが現場に到着した頃、相手はオレの姿を見て逃げ出した。
全員騎馬隊だった。
オレはそれを馬に乗って追いかける。
「ヒヒーン!」
馬が悲鳴をあげて倒れそういなる。
オレは慌てて馬から飛び降りた。
ベチャ
鈍い音がした。
オレの足元に赤黒い強力な粘着物が塗りたくられた板が置いてあった。
「こんなもの!」
オレの強力な筋力をもってすればこんなもの簡単にとれる。
と、
敵のが大人数でその板を持ち上げて、放り投げた。
「あ!」
そこはクロンド池の上にかかる橋の上だった。
バシャン!
オレは池の中に落ちた。
板の裏には鉛のオモリが貼り付けてあり、どんどん体が沈んでゆく。
「くそがああああああ!」
オレは強力な脚力で足を動かすが、足にくっついた板は上下するだけでオレの足からは離れない。
地上ならまだしも、水の中だから踏ん張ることができない。
いくら地上最強の腕力、脚力があっても水の中ではただ、板がはげしく上下するだけだ。
体はどんどん沈んでゆく。
やばい、死ぬ。
戦わせてくれ!
マトモに戦わせてくれ!!!!!!
オレは心の中で叫びながら、必死で水面に手を伸ばす。
どんどん明かりが遠のいていく。
ギュッツ!
その手をだれかが強くつかんだ。
どんどん水面にひきあげられてゆく。
バシャッ!
水面に上がると、目を真っ赤に泣きはらしたオソロシアの姿があった。
「なんで一人で行っちゃうんだよお!!!!」
オソロシアが怒鳴った。
「うんしょ、うんしょ」
部隊の仲間が一生懸命、オソロシアの足に結ばれた綱をひっぱる。
オレとオソロシアの体はなんとか橋の上に引き上げられた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
オレは、思いっきり息を吸った。
いつもは当たり前と思っていた息を吸う事。そのありがたさを思い知った。
そして、自分一人で何でもできると増長していた自分の愚かしさ、思い上がりも自覚した。
もし、仲間が居なければ、オレはここで死んでいた。
「何やってんだよ!これがドスエの戦い方なんだよ!わかってんのかよ!」
オソロシアが目からポロポロ涙を流しながら叫んだ。
「う、うん、ゴメン」
オレは謝った。
オソロシアに、そしてみんなに。
ネチャネチャに服についた粘着物、
まず、粘着物の上に大量の砂をぶちまけてこれ以上くっ付かないようにする。
その上で粘着版を固定してもらって、そこからはい出す。
粘着物がついた服はタオルで押えながら体に粘着物が付かないようにしてはがす。
服は捨てて、魔法防具は魔法の火炎で粘着物を炭化させてはがした。
戦後、ドスエは、今回の攻撃は軍の行動ではなく、ただの逃亡兵による略奪だど
発表し、犯人を打ち首にして送ってきた。
送って来たのは七人で、調べてみると、すべて服役中の死刑囚だということが分かったが、
ドスエ側は、それはヤマト側の勘違いであると主張して譲らなかった。
明らかに三十人以上いた。
ドスエのやり方は狡猾だった。
オレは、単独行動の責任を取らされ、しばらく独房に監禁されていた。
どんな酷い場所かと思ったが、ナラーの中心地般若寺町にあり、
まるでロシアの巨大寺院みたいな玉ねぎ頭の双塔が立っている赤レンガ作りの刑務所だった。
居心地は悪くないが、風呂一週間に一回なのが参った。
ミルセラや生駒方面軍のみんなが嘆願書を送ってくれたおかげで二週間程度で出所できた。
一応、前科はつかないらしい。よかった。
このような家柄も血筋もない流れ者にここまでしていただいて、本当にありがたいと思った。
「感謝することはない、お前が今まで積み重ねてきたことの結果だ。良くも悪くもな」
ミルセラはそういった。
独房を出て早々、我々はチェリーブロッサムウイルの東にあるタッカークーラーに行かされた。
なんでも、ヤマト軍の岡口五條が敵の妖怪……というより魔人に向かって放った
エネルギー弾を小さな魔人が片手で跳ね返し、それがタッカークーラーに着弾したらしい。
行ってみると直系100メートルくらいの大穴が開いており、周囲はドロドロに溶けている。
オレが独房に入っている間、ずっと焼けただれて真っ赤だったらしい。
あの岡口五條というオッサン、実はすごいオッサンだったんだ。
ピチッ、何かが割れる音がした。
イギャーアアアアアアア!
大穴の黒いガラス質が砕け、そこから6メートルくらいの大ムカデがはい出してくる。
ザン!
オソロシアが真っ二つにした。
「こういうのがいっぱい出てくるんだとよ」
気だるい声でミルセラが言った。
オレが釈放された理由が分かった。
俺たちは、大穴から化け物が出てくるたびに退治していったが、
退治するたびに兵士たちにけが人が出た。
自然回復だけでは間に合わない。
「ヒールのポーションを調達しよう」
ミルセラが言った。
「どこに行くんですか?」
「ちょっと大量に調達しないといけないので、馬車で行こう」
ミルセラがそう言うので、オレはオソロシアに現場を任せて、
黒足猫とアメリカンカール、あとアメショを連れていった。
アメショは馬車の御者。
黒足猫とアメリカンカールは目を離すと何をするかわからないので、連れていった。
ニカイドーという場所にナラーヘルシー神殿というヒーラーの神殿があり、
その西側に四角い池があった。
その池に向かい、ミルセラは酒のツボのコルクをあげ、池に酒を注ぎこんで、一握りの塩を投げ込んだ。
「偉大なる癒しの精霊よ、泉の主よ、我らに加護を与えたまえ!」
そう言うと、最後に麻袋に入ったポイント硬貨を泉に投げ入れた。
すると泉の底から光が起こり、どんどん水面に近づいてくる。
どんな美しい女神様なんだろう。
サッボーン!
音がして裸で腰にバスタオルを巻いた太ったオッサンが水の中から飛び出して来る。
しかも両手を伸ばして「て」文字みたな変な恰好でとびだしてきた。
一緒に「な~ら~へるし~し~んでん」
というテーマソングが流れた。
「何このデブのおっさ……」
アメリカンカールが呟こうといたのをミルセラが必死で口を押えた。
「黙れ!男の神様のハートはガラスの10代なのだ!ちょっとでも変な事いうとテンションさがって
ヒール薬もらえなくなるから」
「ほほほ、よく来たの、今日は何のお願いかえ、ゴヒイキのミルセラちゃんの言うことなら
何でも聞いちゃうぞ」
「助かりますわ、精霊様、実はヒール薬を少し分けていただければ助かるのですが」
「そうか、よいよい、分かったぞ。あ、そうだ、せっかく来てくれたのだ、何か
もてなしをせねばならぬのお」
泉のオッサンは池の中からフナを掴みだし、その内臓を割いて泉の水で洗った。
そのフナを左手に持ち、右手を開くと、そこから炊き立てのご飯があふれ出す。
それをフナのお腹に詰めて、両手でぎゅっと握ると一瞬にして発酵し、なれ鮓が出来た。
なれ鮓とは寿司の原型で、魚の中に発酵したごはんを入れることによって長期保存できる
保存食である。
琵琶湖周辺や奈良ではよく食べられていたが、独特の匂いがあるので、最近では
発酵させず、酢で〆て柿の葉でくるんだ柿の葉寿司が奈良では主流である。
アメリカンカールがなれ鮓に顔を近づける。
「うわっ、これドブのにお……」
ガン!
ミルセラがアメリカンカールを殴り飛ばす。
「はい」
黒足猫が手を出す。
「おお、欲しいか」
泉のオッサンがなれ鮓を手渡す。
黒足猫はもしゃもしゃ食べる。
「美味しいかえ?」
「おいちー」
「ほほほ、そうかそうか」
泉のオッサンは上機嫌になった。
「ではヒーリング薬はいくらでも持っていくがよいぞ」
そう言って、オッサンは気前よく瀬戸物の瓶に入ったヒーリング薬を大量に泉から出してくれた。
それを馬車に乗せて、俺たちはタッカークーラーに向かった。
ちょうどチェリーブロッサムウイルの駅馬車の駅に到着したとき、そこに体が真っ赤に焼けただれた
オソロシアが運びこまれていた。
俺は、ヒーリング薬をオソロシアの体にぶちまけた。
体の火傷がすぐに完治する。
「あー、それ100倍に薄めて使うんだけど」
ミルセラが浮かぬ顔で言った。
しばらくして口と鼻から血を流したシャンティーリーが運ばれてきた。
「何があった!」
「ボンベイが……暴走した……オソロシアが……火に包まれるのを見て逆上して……」
「茶虎は?」
「暴走したボンベイを見て……逃げた……」
「よし、いい判断だ。SSRの手に余る状況だ。そこは逃げてくれて助かった」
「私も……そう思う……」
「それ以上話すな」
オレはヒーリング薬のところまで走っていってシャンティーリーにもヒーリング薬をかけてやった。
オレは馬に乗ってタッカークーラーに向かう。
「うおおおおおおおおおおお!」
大声で叫びながらボンベイが暴れていた。
背中の召喚符が燃え上がっている。
なんだあれは……
辺りには化け物の死体が無数に転がっている。
ブワッ
火トカゲが炎の玉を吐く。
ボンベイはそれを素早く避けると、飛び上がって火トカゲの頭に刀で一撃を加える。
火トカゲの脳髄が飛び散って息絶える。
次から次へと巨大蜘蛛や火トカゲや毒大ムカデが穴から湧いてくる。
「おい、ボンベイ!」
オレがボンベイに声をかけるとボンベイはオレのほうに振り向いた。
目が真っ赤になっている。
「うおおおおおおおおおー!」
オレに向かってくる。
なんだこりゃ。
「おい!待て!俺だ!」
ブウン!
刀の切っ先がとんでくる。
オレは素早くしたに避けた。
完全に殺しにきている。
「悪い!」
ボフン!
オレは平手でボンベイの腹に気を打ち込んだ。
「あふうあ、はうう」
ボンベイは息ができなくなったのか、
しばらくあがいたあとに気絶した。
おれは馬に気絶したボンベイを乗せ、自分も馬に乗って撤退した。
だが、うまく走れない。
後ろから大ムカデが追ってくる。
ヤバい、追いつかれる。
ガシン!
鉄がヘシャゲたような音がした。
黒足猫が金棒で大ムカデの頭を叩き割ったのだ。
後ろからオソロシアとシャンティーリーが駆けつける。
「わるい!オソロシアとシャンティーリーはボンベイを後方に運んでくれ」
「でも、オレは戦いたい。このままじゃ、納得できない!」
「仲間の命が大事なんだ!」
「……わかった」
オソロシアは気絶したボンベイを担いだ。
「私は行く!炎属性の敵には私が必要だ」
「お前は無防備なオソロシアを守ってくれ!」
「うっ、わ、わかった!」
オソロシアとシャンティーリーが撤退していく。
「茶虎を探しにいく」
「あい」
低いテンションで黒足猫が頷く。
「さて、私はオソロシアの護衛でもするかな」
アメリカンカールが帰ろうとする。
「お前も行くんだよ!」
「えー」
アメリカンカールはおびえてはいなさそうだが、明らかに面倒臭そうだった。
しかし、前線に近づくにつれ、大量にまき散らされたモンスターの臓物を見て、明らかに
テンションがあがってきた。
「うっわーい!、たのしー!君は火トカゲの臓物なんだね!」
腹が裂けて外に飛び出しているモンスターの臓物をさらに引きずり出して、それに話しかける
アメリカンカール。
「あそんでないで、ちゃんとついてこい!」
オレは怒鳴る。
「カイェゥ ナロ モラン‼」
アメリカンカールが叫ぶと、死んだモンスターたちの死体がビクンビクンと痙攣しはじめる。
そしておきあがった。
「モラン オンジョレ!」
アメリカンカールが声をかけると、ゾンビとなったモンスターたちは前のほうに突進していった。
「カジャ!カジャ!」
叫びながらアメリカンカールがピョンピョン飛び跳ねる。
そのゾンビたちが突進する方向にはまだ生きているモンスターたちがいて、ゾンビモンスターと
食い合いをはじめた。
その戦いで死んだモンスターはアメリカンカールがゾンビ化するので、どんどん仲間が増えて行った。
「オンジョレ!オンジョレ!』
アメリカンカールはテンションアゲアゲだった。
しばらく周囲を探索していると、
ハッセーという場所の教会の中に茶虎は隠れていた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
ボロボロと涙を流しながら茶虎は叫んだ。
「大丈夫、よく生き残ってくれた。いい判断だ」
オレは、ニッコリ笑った顔を茶虎に見せた後、茶虎をだきしめた。
「大丈夫、大丈夫だからね、さあみんなのところに帰ろう」
「帰れない、私帰れない」
「大丈夫、みんな茶虎の判断が正しいと言っていたよ。優秀な戦士だ。さあ行こう」
「ううう、ううう」
茶虎は泣きべそをかきながらオレに手を引かれて撤退していった。
これでみんな、回収することができた。
一度、仕切り直しだ。
黒足猫はお土産にもらったなれ鮓をムチャムチャ食べていた。
まともに腕力対腕力で戦えば必ず勝てるのに!」
オレはミルセラに悩みを打ち明けた。
「そりゃ、弱い奴にしたらまともに戦って負ける相手とまともに戦うわけないだろ。
負けたくないんだから。しかし、私が知るかぎり、ヤマトの戦いで敵が我々を回避したのは
今回が初めてだと思うんだが、他になにか不条理な目にあったのかい」
「筆記試験とか」
「それはお前が勉強不足なだけじゃね?」
「そうですね」
理由は分かっていた。
本当であればもっとカリスマとか家柄とか環境とかにポイント振り分けときゃよかった。
そうしたら弱いNPC相手にドヤリながら周囲からチヤホヤされてた。
しかしオレはガチで最強を目指してしまった。
戦術級では勝利条件をクリアしたが、
作戦級で攻略目標を見誤った感じだ。
結果、口先では最強と言いながら実際は適当に格下をボコりながら周囲の女にキャーキャー
言われることだけが目的で転生してきた奴とかち合い、相手をボコボコにして
鼻をへし折ってしまった。
結果、相手の心がねじくれてしまい、訳のわからんナニワ民国とか作って、
チクチクオレの邪魔をしてくる。
手っ取り早く、ナニワ民国の本拠地に乗り込んで調子に乗っているカイトをボコりたいのだが、
傷ついた仲間を助けたりししないといけないし、
深入りしすぎて包囲され、仲間が殺されたりするのはイヤだ。
正直、自分一人で行けば楽勝で相手は倒せるんだろうけど、
軍は複数で行動するよう命令する。
オレは神様から最強の力を貰っているのだから、
一人で行ってもたぶん勝てるのだが、軍はそんな事言っても信用してくれない。
まあ、常識で考えたらそれが当たり前なんだけど。
オレは一人で行動できるように馬の練習をした。
たとえ軍の命令を無視しても自分一人で敵戦場に乗り込んでやる。
それで終わるのだ。
そして、何とか馬を乗りこなせるようになった頃である。
ドスエ軍の小隊がイコマーの警察犬育成場を襲った。
その部隊は次にタカヤマー郵便局、診療所、保育所を襲って放火した。
「ドスエめ!」
オレは激怒して命令を待たず、一人で馬を走らせた。
オレが現場に到着した頃、相手はオレの姿を見て逃げ出した。
全員騎馬隊だった。
オレはそれを馬に乗って追いかける。
「ヒヒーン!」
馬が悲鳴をあげて倒れそういなる。
オレは慌てて馬から飛び降りた。
ベチャ
鈍い音がした。
オレの足元に赤黒い強力な粘着物が塗りたくられた板が置いてあった。
「こんなもの!」
オレの強力な筋力をもってすればこんなもの簡単にとれる。
と、
敵のが大人数でその板を持ち上げて、放り投げた。
「あ!」
そこはクロンド池の上にかかる橋の上だった。
バシャン!
オレは池の中に落ちた。
板の裏には鉛のオモリが貼り付けてあり、どんどん体が沈んでゆく。
「くそがああああああ!」
オレは強力な脚力で足を動かすが、足にくっついた板は上下するだけでオレの足からは離れない。
地上ならまだしも、水の中だから踏ん張ることができない。
いくら地上最強の腕力、脚力があっても水の中ではただ、板がはげしく上下するだけだ。
体はどんどん沈んでゆく。
やばい、死ぬ。
戦わせてくれ!
マトモに戦わせてくれ!!!!!!
オレは心の中で叫びながら、必死で水面に手を伸ばす。
どんどん明かりが遠のいていく。
ギュッツ!
その手をだれかが強くつかんだ。
どんどん水面にひきあげられてゆく。
バシャッ!
水面に上がると、目を真っ赤に泣きはらしたオソロシアの姿があった。
「なんで一人で行っちゃうんだよお!!!!」
オソロシアが怒鳴った。
「うんしょ、うんしょ」
部隊の仲間が一生懸命、オソロシアの足に結ばれた綱をひっぱる。
オレとオソロシアの体はなんとか橋の上に引き上げられた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
オレは、思いっきり息を吸った。
いつもは当たり前と思っていた息を吸う事。そのありがたさを思い知った。
そして、自分一人で何でもできると増長していた自分の愚かしさ、思い上がりも自覚した。
もし、仲間が居なければ、オレはここで死んでいた。
「何やってんだよ!これがドスエの戦い方なんだよ!わかってんのかよ!」
オソロシアが目からポロポロ涙を流しながら叫んだ。
「う、うん、ゴメン」
オレは謝った。
オソロシアに、そしてみんなに。
ネチャネチャに服についた粘着物、
まず、粘着物の上に大量の砂をぶちまけてこれ以上くっ付かないようにする。
その上で粘着版を固定してもらって、そこからはい出す。
粘着物がついた服はタオルで押えながら体に粘着物が付かないようにしてはがす。
服は捨てて、魔法防具は魔法の火炎で粘着物を炭化させてはがした。
戦後、ドスエは、今回の攻撃は軍の行動ではなく、ただの逃亡兵による略奪だど
発表し、犯人を打ち首にして送ってきた。
送って来たのは七人で、調べてみると、すべて服役中の死刑囚だということが分かったが、
ドスエ側は、それはヤマト側の勘違いであると主張して譲らなかった。
明らかに三十人以上いた。
ドスエのやり方は狡猾だった。
オレは、単独行動の責任を取らされ、しばらく独房に監禁されていた。
どんな酷い場所かと思ったが、ナラーの中心地般若寺町にあり、
まるでロシアの巨大寺院みたいな玉ねぎ頭の双塔が立っている赤レンガ作りの刑務所だった。
居心地は悪くないが、風呂一週間に一回なのが参った。
ミルセラや生駒方面軍のみんなが嘆願書を送ってくれたおかげで二週間程度で出所できた。
一応、前科はつかないらしい。よかった。
このような家柄も血筋もない流れ者にここまでしていただいて、本当にありがたいと思った。
「感謝することはない、お前が今まで積み重ねてきたことの結果だ。良くも悪くもな」
ミルセラはそういった。
独房を出て早々、我々はチェリーブロッサムウイルの東にあるタッカークーラーに行かされた。
なんでも、ヤマト軍の岡口五條が敵の妖怪……というより魔人に向かって放った
エネルギー弾を小さな魔人が片手で跳ね返し、それがタッカークーラーに着弾したらしい。
行ってみると直系100メートルくらいの大穴が開いており、周囲はドロドロに溶けている。
オレが独房に入っている間、ずっと焼けただれて真っ赤だったらしい。
あの岡口五條というオッサン、実はすごいオッサンだったんだ。
ピチッ、何かが割れる音がした。
イギャーアアアアアアア!
大穴の黒いガラス質が砕け、そこから6メートルくらいの大ムカデがはい出してくる。
ザン!
オソロシアが真っ二つにした。
「こういうのがいっぱい出てくるんだとよ」
気だるい声でミルセラが言った。
オレが釈放された理由が分かった。
俺たちは、大穴から化け物が出てくるたびに退治していったが、
退治するたびに兵士たちにけが人が出た。
自然回復だけでは間に合わない。
「ヒールのポーションを調達しよう」
ミルセラが言った。
「どこに行くんですか?」
「ちょっと大量に調達しないといけないので、馬車で行こう」
ミルセラがそう言うので、オレはオソロシアに現場を任せて、
黒足猫とアメリカンカール、あとアメショを連れていった。
アメショは馬車の御者。
黒足猫とアメリカンカールは目を離すと何をするかわからないので、連れていった。
ニカイドーという場所にナラーヘルシー神殿というヒーラーの神殿があり、
その西側に四角い池があった。
その池に向かい、ミルセラは酒のツボのコルクをあげ、池に酒を注ぎこんで、一握りの塩を投げ込んだ。
「偉大なる癒しの精霊よ、泉の主よ、我らに加護を与えたまえ!」
そう言うと、最後に麻袋に入ったポイント硬貨を泉に投げ入れた。
すると泉の底から光が起こり、どんどん水面に近づいてくる。
どんな美しい女神様なんだろう。
サッボーン!
音がして裸で腰にバスタオルを巻いた太ったオッサンが水の中から飛び出して来る。
しかも両手を伸ばして「て」文字みたな変な恰好でとびだしてきた。
一緒に「な~ら~へるし~し~んでん」
というテーマソングが流れた。
「何このデブのおっさ……」
アメリカンカールが呟こうといたのをミルセラが必死で口を押えた。
「黙れ!男の神様のハートはガラスの10代なのだ!ちょっとでも変な事いうとテンションさがって
ヒール薬もらえなくなるから」
「ほほほ、よく来たの、今日は何のお願いかえ、ゴヒイキのミルセラちゃんの言うことなら
何でも聞いちゃうぞ」
「助かりますわ、精霊様、実はヒール薬を少し分けていただければ助かるのですが」
「そうか、よいよい、分かったぞ。あ、そうだ、せっかく来てくれたのだ、何か
もてなしをせねばならぬのお」
泉のオッサンは池の中からフナを掴みだし、その内臓を割いて泉の水で洗った。
そのフナを左手に持ち、右手を開くと、そこから炊き立てのご飯があふれ出す。
それをフナのお腹に詰めて、両手でぎゅっと握ると一瞬にして発酵し、なれ鮓が出来た。
なれ鮓とは寿司の原型で、魚の中に発酵したごはんを入れることによって長期保存できる
保存食である。
琵琶湖周辺や奈良ではよく食べられていたが、独特の匂いがあるので、最近では
発酵させず、酢で〆て柿の葉でくるんだ柿の葉寿司が奈良では主流である。
アメリカンカールがなれ鮓に顔を近づける。
「うわっ、これドブのにお……」
ガン!
ミルセラがアメリカンカールを殴り飛ばす。
「はい」
黒足猫が手を出す。
「おお、欲しいか」
泉のオッサンがなれ鮓を手渡す。
黒足猫はもしゃもしゃ食べる。
「美味しいかえ?」
「おいちー」
「ほほほ、そうかそうか」
泉のオッサンは上機嫌になった。
「ではヒーリング薬はいくらでも持っていくがよいぞ」
そう言って、オッサンは気前よく瀬戸物の瓶に入ったヒーリング薬を大量に泉から出してくれた。
それを馬車に乗せて、俺たちはタッカークーラーに向かった。
ちょうどチェリーブロッサムウイルの駅馬車の駅に到着したとき、そこに体が真っ赤に焼けただれた
オソロシアが運びこまれていた。
俺は、ヒーリング薬をオソロシアの体にぶちまけた。
体の火傷がすぐに完治する。
「あー、それ100倍に薄めて使うんだけど」
ミルセラが浮かぬ顔で言った。
しばらくして口と鼻から血を流したシャンティーリーが運ばれてきた。
「何があった!」
「ボンベイが……暴走した……オソロシアが……火に包まれるのを見て逆上して……」
「茶虎は?」
「暴走したボンベイを見て……逃げた……」
「よし、いい判断だ。SSRの手に余る状況だ。そこは逃げてくれて助かった」
「私も……そう思う……」
「それ以上話すな」
オレはヒーリング薬のところまで走っていってシャンティーリーにもヒーリング薬をかけてやった。
オレは馬に乗ってタッカークーラーに向かう。
「うおおおおおおおおおおお!」
大声で叫びながらボンベイが暴れていた。
背中の召喚符が燃え上がっている。
なんだあれは……
辺りには化け物の死体が無数に転がっている。
ブワッ
火トカゲが炎の玉を吐く。
ボンベイはそれを素早く避けると、飛び上がって火トカゲの頭に刀で一撃を加える。
火トカゲの脳髄が飛び散って息絶える。
次から次へと巨大蜘蛛や火トカゲや毒大ムカデが穴から湧いてくる。
「おい、ボンベイ!」
オレがボンベイに声をかけるとボンベイはオレのほうに振り向いた。
目が真っ赤になっている。
「うおおおおおおおおおー!」
オレに向かってくる。
なんだこりゃ。
「おい!待て!俺だ!」
ブウン!
刀の切っ先がとんでくる。
オレは素早くしたに避けた。
完全に殺しにきている。
「悪い!」
ボフン!
オレは平手でボンベイの腹に気を打ち込んだ。
「あふうあ、はうう」
ボンベイは息ができなくなったのか、
しばらくあがいたあとに気絶した。
おれは馬に気絶したボンベイを乗せ、自分も馬に乗って撤退した。
だが、うまく走れない。
後ろから大ムカデが追ってくる。
ヤバい、追いつかれる。
ガシン!
鉄がヘシャゲたような音がした。
黒足猫が金棒で大ムカデの頭を叩き割ったのだ。
後ろからオソロシアとシャンティーリーが駆けつける。
「わるい!オソロシアとシャンティーリーはボンベイを後方に運んでくれ」
「でも、オレは戦いたい。このままじゃ、納得できない!」
「仲間の命が大事なんだ!」
「……わかった」
オソロシアは気絶したボンベイを担いだ。
「私は行く!炎属性の敵には私が必要だ」
「お前は無防備なオソロシアを守ってくれ!」
「うっ、わ、わかった!」
オソロシアとシャンティーリーが撤退していく。
「茶虎を探しにいく」
「あい」
低いテンションで黒足猫が頷く。
「さて、私はオソロシアの護衛でもするかな」
アメリカンカールが帰ろうとする。
「お前も行くんだよ!」
「えー」
アメリカンカールはおびえてはいなさそうだが、明らかに面倒臭そうだった。
しかし、前線に近づくにつれ、大量にまき散らされたモンスターの臓物を見て、明らかに
テンションがあがってきた。
「うっわーい!、たのしー!君は火トカゲの臓物なんだね!」
腹が裂けて外に飛び出しているモンスターの臓物をさらに引きずり出して、それに話しかける
アメリカンカール。
「あそんでないで、ちゃんとついてこい!」
オレは怒鳴る。
「カイェゥ ナロ モラン‼」
アメリカンカールが叫ぶと、死んだモンスターたちの死体がビクンビクンと痙攣しはじめる。
そしておきあがった。
「モラン オンジョレ!」
アメリカンカールが声をかけると、ゾンビとなったモンスターたちは前のほうに突進していった。
「カジャ!カジャ!」
叫びながらアメリカンカールがピョンピョン飛び跳ねる。
そのゾンビたちが突進する方向にはまだ生きているモンスターたちがいて、ゾンビモンスターと
食い合いをはじめた。
その戦いで死んだモンスターはアメリカンカールがゾンビ化するので、どんどん仲間が増えて行った。
「オンジョレ!オンジョレ!』
アメリカンカールはテンションアゲアゲだった。
しばらく周囲を探索していると、
ハッセーという場所の教会の中に茶虎は隠れていた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
ボロボロと涙を流しながら茶虎は叫んだ。
「大丈夫、よく生き残ってくれた。いい判断だ」
オレは、ニッコリ笑った顔を茶虎に見せた後、茶虎をだきしめた。
「大丈夫、大丈夫だからね、さあみんなのところに帰ろう」
「帰れない、私帰れない」
「大丈夫、みんな茶虎の判断が正しいと言っていたよ。優秀な戦士だ。さあ行こう」
「ううう、ううう」
茶虎は泣きべそをかきながらオレに手を引かれて撤退していった。
これでみんな、回収することができた。
一度、仕切り直しだ。
黒足猫はお土産にもらったなれ鮓をムチャムチャ食べていた。
0
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

