社会の落ちこぼれから最強パーティーのリーダーになるお話

佐藤大芽

文字の大きさ
3 / 17
チュートリアル

第1‐2話

しおりを挟む
 どうしよう、トイレの場所聞くのすっかり忘れてた……

 外はすでに暗く、もちろんギルド内もランプを持たないと全く見えないくらいに暗くなっていた。
 俺は迫り来る尿素を必死に耐えながら暗い廊下に出た。
 歩くたびに軋む木製の床。
 ただひたすらにドアを開けてトイレを探す。
 しばらくしてようやくトイレを見つけた。

 助かった……

 俺は取りあえず便座に座ると尿を足ししばらくの間、何も考えずただ座っていた。
 すると、暗闇の廊下から何かがトイレに向かってきているのか床が軋む音がする。

 ナニコレ……幽霊コワイ……アクリョウタイサン……

 軋む音は次第にトイレ前を通り過ぎ奥へと消えていった。

 行ったか……

 俺は恐怖に怯えながらもトイレを出た。

 ん? なんだ……この感触は……

 トイレに出た瞬間柔らかい何かに当たった。
 恐る恐る手に持っていたランプを顔の位置に持ってくる。
 目の前に居たのは色白い肌で白い服を着た女性だった。

「ぎゃああああでぇたああああああ!」

 俺は一目散に部屋へと逃げ帰る。

 はあ、はあ、今のって絶対あれだよな……そうに違いない。

 しかし、柔らかかったなあ……って何考えてるんだ俺、幽霊相手に欲情するってどんだけ欲求不満なんだよ。

 怖いし今日はもう寝よ……

 こうして、チュートリアル一日目が終わった。


 チュートリアル二日目の朝。

 日の昇りが浅いうちに俺は起きた。
 昨日の夜はあんなことがあったけど、不思議とすんなり眠ることができた。

 少しトイレ……

 寝ぼけながら部屋を出てトイレに行った。
 用事を済ませトイレから出ると何かを踏みつける。

 ん? 何だろうこれ……
 白色の毛皮を被った何かだ……

 俺は寝ぼけている眼をこすりその物体を見る。
 気になってその物体をつつくと突然動き出した。
 するとその物体は動き出した。

「うわっ! なんだよこれ……」

 モンスター?

 俺は無神経にそのモンスターらしき白い物体を持ち上げた。

 あれっ? これモンスターじゃないな……なんていうか毛皮じゃなくて毛布っぽいしそれに、体つきが獣というより人間っぽいんだけど……

 白色の毛布を思いっきり引きはがすと腰まで伸びきった銀色の髪に薄い水色の下着をまとった色白の少女が恐怖に怯えた顔でこちらの顔を見てきた。

「なっ⁉ ちょっ、お前なんで?」

 俺の一言で我に返ったのか自分の今の姿を思い出して顔を赤らめた。

「ひっ⁉」

 いきなり毛布から手が伸び俺の頬に強い衝撃が走った。
 一瞬の出来事で理解が追い付かなかったが一つ分かったことがある。それは、俺は生まれて初めて母親以外の女の人の下着姿を見たということだ。
 少女はすぐさま立ち上がり毛布で体を隠しながら廊下の奥へ走って行った。

 今の人って確か昨日の……だよな?

 俺は取りあえず着替えを済ませるため部屋に戻った。
着替えていると部屋がノックされた。

 誰だろ……さっきの子かな……

「はーい、ちょっと待っててください」

 着替えを済ませドアを開けた。

「あ、おはようございます、お早いですね。よく眠れましたか?」

 部屋を出るとすぐ横でギルド役員のお姉さんが笑顔で挨拶してくれた。

 あ~朝一番の笑顔素敵だな~将来はこんな人がお嫁に来てくれないかな……

 そんな呑気なことを考えていると、奥の部屋から女性の叫び声が聞こえてきた。

 な、なんだぁ~?

「な、何ですか⁉」 

 女性役員は驚き奥の部屋に走って向かっていった。取りあえず俺も追いかける。

「どうしましたか⁉」

 女性役員が思いっきりドアを開けると、白い布団を身にまとったまま床に尻もちをついて固まっているさっきの女性がそこにいた。

「あのっ、で、出たんです! 茶色でカサカサ動くあれが!」

 茶色でカサカサ動くってゴキブリだよな……

 俺はゴキブリへの耐性ができていたこともあり、取りあえずゴキブリを逃がしてやることにした。

「ほら、どこにいるんだ? 逃がしてやるから場所を教えてくれ⁉」

 少女に近づくと俺の存在に気づいていなかったのか驚き、いきなりビンタしてきた。
 パァァァン――

「いっ――て~⁉ なんで俺はダメなんだよ⁉」
「な、なんとなく……?」
 なんとなくって……まあ、別に気にしないけど……
「で? 俺がゴキブリを退治してもいいけどどうするよ?」

 少女に聞くと嫌そうな顔しながら半開きになっているクローゼットを指さした。

 クローゼットの中か……

 近くにあった布切れを手に持ってクローゼットを開くとそこにいたのはどう考えてもあり得ないサイズのゴキブリだった。

「ちょっ……こんなにもビックサイズって思わなかったんだけど⁉」

 俺が驚いていると女性役員がその異常なサイズのゴキブリについて説明してくれた。

「それはチキンGですね。つい最近この辺りで繁殖期を終えたばかりの昆虫型モンスターです!」

 チキンGって鳥なのか、ゴキブリなのかハッキリしないな!

「ちなみにチキンGは羽自体はありますが空を飛ぶことはできません。しかしその分、普通のGの約五倍以上の移動速度です。それに加え肉食ですので十分に気を付けてください」

 丁寧なご説明どうもありがとうございます。それで、この布切れで肉食モンスターにどう立ち向かえと?

「あの~何か武器のようなものは無いですかね……もしあるなら貸してはくれませんか?」

 俺がそう言うと女性役員が渡してくれた。

 縄……縄ですか? しかも意外と上等そうな麻縄……

「えっと……何の冗談ですか?」

 戸惑いながら聞くと女性役員は申し訳なさそうな顔をする。

 なんか俺すごく罪悪感残るんですけど……
 しょうがない……布切れと縄だけで頑張ってみるか……

「しゃあ! かかってこいや~!」

 たかがゴキブリだ。何とかなるだろ……

 今思えばこんな甘い考えをしていたのが間違えだったのかもしれない……


「痛い! 痛いって」

 俺は何とかチキンGを倒すことができた。まあ少し危なかったけど……

「それにしてもすごかったですねぇ~あの獰猛なチキンGをあっさり布切れと縄だけで仕留めるなんて」

「今の俺の姿を見てよくあっさりだなんてこと言えますね」

 今の俺の姿とは。
 体のあちこちを噛まれ血だらけになっている無残な姿だ。多少の傷は下着姿の彼女の魔法で治癒してもらったが、限度があり、ぎりぎり治せなかったところは包帯で見えないように隠している。

「そ、その……ごめんなさい。私が不甲斐ないばかりに、傷を負わせてしまって……」

 俺の治癒をしながら申し訳なさそうに礼を言って来た。

 少し怖かったけどこの人が悪いわけでもないからな……

「別にいいよ、気にしてないし。ほら、怪我したところも君のおかげでこの通りだし」

 少し痛みが走ったが今は我慢。

「それなら……良かった」

 俺の言葉を聞いて安心したのか少し笑顔になっていた。

「そうです! 何かお礼をさせてくれませんか?」

 彼女は突然思い出したようにお礼を申し出た。

 お礼って……もう十分もらってる気もするんだけどなあ……

 俺は未だに服を着ていない彼女の肌をチラチラ手で隠しながら見る。
 それを不思議に思ったのか彼女が顔を近づけてくる。

「どうしたんですか? 顔がすごく赤いのですが……」
 彼女のためにも一応言っておくか……
「そのですね……とりあえず服を着てもらっていいですか?」

 この言葉を聞いた瞬間彼女は自分の格好に気づきみるみる顔を赤くして思いっきり俺にビンタを放った。

 やっぱ、そうなりますよね~

「ハッ、ごめんなさい……つい手が出てしまいました」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...