社会の落ちこぼれから最強パーティーのリーダーになるお話

佐藤大芽

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終焉の予兆

第2-6話

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 土竜の穴倉を出ると空は既に暗くなっており、魔法で点いているのか街灯があたたかな光で街道を照らしていた。

「あっちゃ~暗くなっちゃってるね……」

 メイアーは呑気にそう言いながら遅れて店から出てくると、収納魔法で何やら液体の入った小瓶を取り出した。

 なんだろ……

 気になってずっとメイアーを見ていると身を引くように引いた眼で、

「何見てるの……これ、ただの水なんだけど……」
「へ、へえーそうなんだ……」

 なんだ、ただの水か……てっきり特殊なポーションか何かと思ったよ。

「そういえば……」

 メイアーはそれとなく話を変えた。

「ユイト君って確か仕事中だったよね……? なんか、ゴメンね? わたしの我がままを聞いてくれて。これからパーティーメンバーになるわけだしこの貸しはその時返すね。なんなら今夜、か・ら・だ・ででもいいけど?」

 メイアーはからかうようにそういう事を言ったのだが俺は童貞だからか、またはただのノロケだからかなのかは分からないが無意識に想像してしまった。

「ユイト君のその反応……かっわいい~」

 メイアーは目を><にさせながら体をくねくねさせる。

「——っ、そ、それは拒否します! それより、もう遅いし家に帰った方がいいと思うけど」

 俺は恥ずかしさをごまかすためにわざと大声で拒否すると帰る事を提案した。
 すると、さっきまで体をくねくねさせていたメイアーも我に返り俺が立っている逆方向の位置に歩き始めた。

「それじゃ! 私、家こっちだから、明日君のところに行くからね」
「送らなくて大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫! 家近いし」
「そ、そうか……気を付けて帰るんだぞー!」

 メイアーは楽し気に鼻歌を交えながら遠くに消えていった。

 俺もそろそろ広場に戻るか……


「あっ、ユイトさん。遅かったですね! さぞかしあの女性と楽しい時間を過ごしたのでしょうね!」

 広場に戻るとシスティーナが強い口調で拗ねた顔で出迎えてくれた。

 任された仕事任せて一日中いなかったらそりゃ、普通怒るよな……

「ホントすまなかった! 今度、何かさせてくれ! この通りだ!」

 俺はシスティーナに許してもらえるよう必死に何度も頭を下げると、少し申し訳なくなったのか拗ねたような顔だったのがいつの間にか優しい顔に戻っていた。

「ユイトさん……頭を上げてください。私は別に怒っているわけでわないのです。ただ……」

 その言葉を発した瞬間システィーナの顔は少しだが朱色に染まっているようにおもえた。

「ただ……?」

 ゴクリ……

 緊迫の空気の中ただただ緊張が走るだけだった。
 と、その時。こんな状況の中で能天気な中年騎士がガサツな笑い声を発しながらこちらに歩いてきた。

「やあ、ユイト君ではないか! こんなにも可愛いお嬢様を残して他のお嬢さんとお出かけとは。先ほどからお嬢様からあなたへの文句を聞かされ大変でしたぞ」

 アルベルトは優しい声でそう言うとニコニコ笑みを浮かべながらシスティーナの頭をガサツに撫でる。
 すると、システィーナは顔を赤らめ否定しはじめる。

「ちょっと⁉ アルベルト様、それは言わない約束では⁉ ユイトさん違うんです! え、えっと……そ、そうです。これはアルベルト様の作り話なのです!」

 慌てて否定しているシスティーナだけど途中途中ボロが出ている。

「ただ、私は寂しかったわけで、一緒に遊びに行きたかったなんて微塵も思ってませんから!」

 うっ――なにか心に来るものがあるな……

「と、とにかく! 私は何とも思ってませんので……」
「そ、そうか……」

 何とも思ってないって……何とも思ってないって……

 俺が落ち込んでいると、システィーナが話の話題を変えた。

「そ、そいえばちゃんとユイトさんと一緒にいた女性はしっかりとお家までお届けしましたか?」
「いや、家が近かったらしいし、聞いてみたけど断られたよ」

 そう言うと、システィーナはまたもや顔をムスッとさせた。

 え、なんで……?
「ユイトさん、良いですか? 女性を最後までお届けするのが紳士の務めなのです。私はあなたの将来が不安です」

 なんで俺の将来はシスティーナに心配されてるんだろ……
 あ、そうだ……システィーナにあのことを話しておかないと。

「そういえば、システィーナに言っとかないといけないことが――」
「あ、ユイトさん見てください! あの金髪の女性の方とっても綺麗ですよ」

 システィーナに話を遮られてしまった。

 俺はシスティーナが指をさしている方向を見るとそこには金髪碧眼の少し背丈の高いセクシーなお姉さんがいかにも占い師って感じの服を身にまとい騎士団の人と話をしていた。

 うわぁ~あの人綺麗っていうよりも少しエロイな……

 その女性をずっと見ているとこちらの視線に気づいたのか、目が合うと彼女は笑って見せた。

 うわっ、待って、何今の。めっちゃ綺麗なんだけど。

「お? あの方は」

 アルベルトはその女性を見ると俺たちの背中を押して、

「二人ともあの方が私たちが護衛をしていた術師様だぞ」
「あの方が……?」

 システィーナは驚いたように大きく開いた口を手で隠している。
 どことなくそんな気はしていたけど、あんなにも若作りとは……俺はてっきり建国前から生きていた術師様って言うくらいだから老婆だと思っていた。
 そんなやり取りを三人でしていると女性が近づいてきた。

「今日は一日中我々市民のため、お疲れさまでした。今夜はゆっくりとおくつろぎください」

 アルベルトは片膝を地に着け頭を下げると彼女にそういった。
 すると彼女は気さくに、

「いいのよ、別に。わたしは好きでやっているだけだから、あとそんなにかしこまらなくてもいいのに」

 と優しくアルベルトに声をかけている。
 しかし、俺たちにはガサツなくせにこんな時になるとお堅い人にアルベルトはなってしまう。

「いえ、アストロヘイム王国騎士団長としてこの国に使える一騎士として国に忠誠している身、それならばこの国の生きる財産と呼ばれるあなた様にも相応の忠義を尽くさなければなりません。どうかご理解ください」
「そ、そう……」

 彼女はアルベルトのお堅い発言を聞くなり苦い笑みをこぼした。

「あなたたちもわざわざ護衛をしてくれてありがとう」

 彼女は俺たち二人にも律儀にお辞儀をして感謝の言葉をくれた。

「いえ、どうも……」
「あ、あの……」

 システィーナは何やら彼女に聞きたいことがあるのか呼び止めた。

「ん? 何かなお嬢ちゃん」
「えっと……やっぱり、なんでもないです」

システィーナが顔を少し朱色に染めて俯くと彼女は「え? そう?」とでも言いたげな顔でシスティーナを見ていた。

「えっと……じゃあ、私もう行くよ?」

 彼女は広場前に止まっている黒色の装飾の豪華な馬車を指さした。

「あ、はい。呼び止めちゃってごめんなさい!」

 彼女は俺たち二人に手を振って馬車に乗り込むと馬車が走り出すまで手を振り続けてくれた。
 俺たちも馬車が見えなくなるまで手を振り続けた。

「術師様って最初、暗いイメージがしたけど結構気さくな人で良かったね」

 俺がそう言うとシスティーナは浮かない顔で俯いていた。
 俺は心配になり彼女の名前を呼んだ。

「システィーナ?」

 すると、システィーナは我に戻ったのか突然俯いていた顔を前に向け、「そうね」と言い放つと、そそくさ借りていた宿に一人戻って行った。

「どうしたんだろ……」

俺もシスティーナの後を追いかけ借りていた部屋に戻った。
当然部屋は別々である。
その後、帰ってから一度も彼女と言葉を交わすことはなかった。
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