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まじロックっすね
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いつの間にか寝ていた。起きるとリュウくんが俺のゲームで遊んでいて、「こんなに強いのに、何でラスボスを倒さないんですか?」と言われ、ひたすらレベル上げをしていたんだと分かった。
「自分でもよく分からないんですが、終わっちゃうのが、たぶん嫌なんだと思います。レベル上げとかクエスト攻略とか、ちょっぴり面倒で退屈ですけど、何かやっちゃうんすよね」
「そうっすか。それで、この封筒の中身って何っすか?ずっと気になっちゃって」
たぶん、話の導入があれで本題がこれだ。俺が寝ている間に、考えてたんだろうか。
「ああ、これは、いつかピアスホールでも開けようと思って、ネットでポチッたニードル達ですね」
封筒を破いて、針のようなものを取り出してみせた。何本セットで買ったのか忘れたけれど、大量に入っていた。それを見て、彼が感嘆の声を漏らす。
「いつかって、いつですか?」
興味津々に目を輝かせて聞いてくる。
「んー、やりましょうか?今この瞬間、リュウくんの目の前で」
期待に応えるように応答した。
「えー、痛そおじゃないっすか」
たぶん怖いもの見たさで聞いてきたんだろうけど、まだ迷っているみたいに目を細めた。
「まあ、腕を切り刻むよりかは——」
「ああーっ、そうなんでしょうけどっ!僕、痛いのとかグロいのとか死ぬとか、ほんと、苦手なんすよ」
俺の声をかき消す絶叫から声のトーンがどんどん下がって、最後は自信なさげに呟いた。
「そうでしょうね。目を逸らしながらも手当てしてくれたの、めっちゃ嬉しかったです」
「知りませんよ、恥ずかしいこと言わないでください」
罰が悪いのか、また目を逸らされた。恩人を、からかいすぎたか。俺のバカ。
「じゃあ、向こう向いててくださいね」
「嫌だ」
と正座してこちらに向き直してくる。断固としてここから動かないという強い決意を感じる。
「え?」
「苦手だからって、目を逸らすのは、違うと思うんすよ」
「どうゆうことですか?」
「苦手だからって、テンテンさんの好きなものから目を逸らすのは、やっぱ違うじゃないですか。だって、理解もしてない奴から何言われても、それは寄り添ってないとゆーか、説得力に欠けるとゆーか。だから、理解した上で口出ししねえと意味ねえじゃんって」
と頭をかいて、むしゃくしゃとしている気分を髪の毛をぐしゃぐしゃにして表現しているようだ。彼は他人の言うことをよく聞ける人だと感じた。自分の倫理観や価値観を押し付けずに、相手の立場を理解しようとする人だと。このような、幼稚園で習うような当たり前なことをできない人は多い。それゆえ、彼が立派な大人に見える。
「そうですね、じゃあ話しますけど、俺は、本当は泣きたいんです。どうしようもなくイライラして、ストレスを感じて、泣きじゃくりたいのに、泣けないから、傷を付けて血を流しちゃうんですよ。それで安心して、やっと泣けるんです。ああ、切っちゃったなあって」
ニードルにワセリンを塗って、鏡を見ながら、開ける場所を確認しながら、片手間に話した。
「泣けないんですか?」
それが不思議そうに聞いてくる。
「はい、涙が枯れて」
「さっきは泣いてたけど」
「ふふっ、俺にとってはおかしいことなんですよ?それに、人前で泣くなんて、よっぽど、んー、安心できたんでしょうね」
虚構を見つめて、無心で針を耳に刺した。ブチブチという耳の肉の細胞が潰れていく音が聞こえる。
「その、『いくよ』とか『刺すよ』とか、ないんすか?」
苦笑して、心の準備ができていなかった、とクレームを言われているみたいだ。これは何かのパフォーマンスか。
「バンジージャンプで、なかなか飛び降りられない人の背中を押したくなるのと同じです」
「あー」
「怖がれば怖がるほど怖くなるので、無鉄砲なくらいが、ちょうど良いんですよ」
「まじロックっすね」
囃し立てるように笑われるが、耳から血をポタポタと脈打ちながら垂らしている奴の、何がロックなのだろうとは疑問に思う。
「自分でもよく分からないんですが、終わっちゃうのが、たぶん嫌なんだと思います。レベル上げとかクエスト攻略とか、ちょっぴり面倒で退屈ですけど、何かやっちゃうんすよね」
「そうっすか。それで、この封筒の中身って何っすか?ずっと気になっちゃって」
たぶん、話の導入があれで本題がこれだ。俺が寝ている間に、考えてたんだろうか。
「ああ、これは、いつかピアスホールでも開けようと思って、ネットでポチッたニードル達ですね」
封筒を破いて、針のようなものを取り出してみせた。何本セットで買ったのか忘れたけれど、大量に入っていた。それを見て、彼が感嘆の声を漏らす。
「いつかって、いつですか?」
興味津々に目を輝かせて聞いてくる。
「んー、やりましょうか?今この瞬間、リュウくんの目の前で」
期待に応えるように応答した。
「えー、痛そおじゃないっすか」
たぶん怖いもの見たさで聞いてきたんだろうけど、まだ迷っているみたいに目を細めた。
「まあ、腕を切り刻むよりかは——」
「ああーっ、そうなんでしょうけどっ!僕、痛いのとかグロいのとか死ぬとか、ほんと、苦手なんすよ」
俺の声をかき消す絶叫から声のトーンがどんどん下がって、最後は自信なさげに呟いた。
「そうでしょうね。目を逸らしながらも手当てしてくれたの、めっちゃ嬉しかったです」
「知りませんよ、恥ずかしいこと言わないでください」
罰が悪いのか、また目を逸らされた。恩人を、からかいすぎたか。俺のバカ。
「じゃあ、向こう向いててくださいね」
「嫌だ」
と正座してこちらに向き直してくる。断固としてここから動かないという強い決意を感じる。
「え?」
「苦手だからって、目を逸らすのは、違うと思うんすよ」
「どうゆうことですか?」
「苦手だからって、テンテンさんの好きなものから目を逸らすのは、やっぱ違うじゃないですか。だって、理解もしてない奴から何言われても、それは寄り添ってないとゆーか、説得力に欠けるとゆーか。だから、理解した上で口出ししねえと意味ねえじゃんって」
と頭をかいて、むしゃくしゃとしている気分を髪の毛をぐしゃぐしゃにして表現しているようだ。彼は他人の言うことをよく聞ける人だと感じた。自分の倫理観や価値観を押し付けずに、相手の立場を理解しようとする人だと。このような、幼稚園で習うような当たり前なことをできない人は多い。それゆえ、彼が立派な大人に見える。
「そうですね、じゃあ話しますけど、俺は、本当は泣きたいんです。どうしようもなくイライラして、ストレスを感じて、泣きじゃくりたいのに、泣けないから、傷を付けて血を流しちゃうんですよ。それで安心して、やっと泣けるんです。ああ、切っちゃったなあって」
ニードルにワセリンを塗って、鏡を見ながら、開ける場所を確認しながら、片手間に話した。
「泣けないんですか?」
それが不思議そうに聞いてくる。
「はい、涙が枯れて」
「さっきは泣いてたけど」
「ふふっ、俺にとってはおかしいことなんですよ?それに、人前で泣くなんて、よっぽど、んー、安心できたんでしょうね」
虚構を見つめて、無心で針を耳に刺した。ブチブチという耳の肉の細胞が潰れていく音が聞こえる。
「その、『いくよ』とか『刺すよ』とか、ないんすか?」
苦笑して、心の準備ができていなかった、とクレームを言われているみたいだ。これは何かのパフォーマンスか。
「バンジージャンプで、なかなか飛び降りられない人の背中を押したくなるのと同じです」
「あー」
「怖がれば怖がるほど怖くなるので、無鉄砲なくらいが、ちょうど良いんですよ」
「まじロックっすね」
囃し立てるように笑われるが、耳から血をポタポタと脈打ちながら垂らしている奴の、何がロックなのだろうとは疑問に思う。
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