異世界から戻ったら再会した幼馴染から溺愛される話〜君の想いが届くまで〜

一優璃 /Ninomae Yuuri

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第三章

戸惑い

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 目を覚ますと、家の中で微かな物音がした。
ぐっすり眠れたから昨日よりもだるさが抜けて、熱も体感的には下がったみたいだ。
それより問題は物音の方だ。

ーーー誰かいたっけ?

ゆっくり起き上がって足音を立てないように階段を降り、恐る恐るキッチンを覗く。
トントンと包丁とまな板が触れ合う音、味噌汁の匂い。

 ――あ、有馬。
そういえば昨日バイト先から送ってきてくれたんだ。

僕に気づいた有馬は近づいて、顔を覗き込んできた。

 「起きたか。あ、ちょっと待て」

 そう言って額に手を当てられ、それからはっとしたように言う。

 「熱、測ってねぇな」

 体温計を持ってきて、無言で脇に差し込まれる。

「なんで、まだいてくれてるの。普通夜だったら帰るでしょ」

「俺がいたかったから」

「そんなに家事がしたかったの?」

「うん、手伝いがしたかったかな」

「変わってるな」

「月島はさ、困ったらいつでも呼んでいいんだよ、俺のこと」

有馬の真剣な表情にどう受け取ればいいのかわからなくなる。

ーーー困ったらって、便利なものだらけのこの世界で困ることってそんなにないけどな
 
測り終えると数値を確認して、ほっと息を吐いた。

 「熱は下がったみたいだな。でも、まだ病み上がりだから、無理しないで。今日はゆっくりしてて」

 有無を言わせない口調で、布団をかけ直される。
 そのままキッチンへ戻っていく背中を見送りながら、ぼんやり考えた。

 ――有馬って、こんなに世話好きだったんだ

しばらくして朝食が運ばれてくる。
まだだるさの残る身体で、もそもそと箸を動かす間にも、
有馬は洗濯機を回し、掃除機をかけ、手際よく家の中を整えていった。

僕一人だったら、体調のこともあって家事はほとんどサボっていた。
洗濯物は溜まり、床には埃が残ったままだったはずだ。

その様子を眺めながら、僕は言葉にできない違和感と、
妙な安心感を同時に覚えた。

 すべて終えると、有馬は時計を確認して靴を履く。

 「じゃ、仕事行ってくる。何かあったら連絡して」

いつのまにか交換してしまった連絡先。
扉が閉まる直前、僕は何も考えずに口を開いた。

 「……いってらっしゃい」

 一瞬、有馬がこちらを振り返った気がした。









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