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第六話 尋問2
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「それで、今どこにいるか見当もつかない?」
「うん、実はおいら、インドラ様に文句言ったんだ。
そんなひどい事するなんて約束が違うって…、そしたら…」
「そしたら?」
「追い出された。実は今、行く所がないんだ」
「そうか…、なるほどな」
小角はあきれ返って、怒るのも忘れてため息をついた。何て奴だ。
「すごく彼らしいよ、まあ、今に始まった事じゃない」
「あんた、インドラ様を知ってるの?」
「まあな」
「ふうう…」
そばかす鼠は肩を落として深いため息をついた。
「その、高僧とやらはどこにいるんだ?」
「どっか、山の中のお寺」
「いつ来るとか知らないか?」
「それは…、知らないけど」
鼠はずるそうな薄笑いを浮かべて、小角を見た。
「いつ妖魔をおびき出すかは知ってる」
「ふうん…いつだ?」
「教えたら一緒に連れて行ってくれる?」
「行ってどうするんだ?」
「おいらのせいだからさ、少し責任感じてるんだ」
「少しじゃなく、全面的におまえの責任だよ」
「だって、おいら、この街で行く所もなかったんだよ。
インドラ様は引き取って仕事もくれたんだ」
「薬の売人の仕事か?」
「うん。そうだけど…? なんかまずい?」
鼠は全然後ろめたさを感じていないらしい。
「まさか、合法的って思ってたりするのかな?」
「えっ、ああ…、パトロールに見つからないようにしろっては言われた。
売上取られるからって」
「だめだ、こりゃ」
罪悪感がなければ反省もないし、やめるという事もあり得ない。
彼にとってはただの仕事なのだから。
「お前、麻薬をやってる奴が、ひどい中毒になったらどうなるか、知ってるか?」
「うん、時々襲われる事とかあるから」
「なるほど…、それなりにハードな生活なんだな」
「うん。時々殺される売人もいるよ」
「ううーん…」
悪い事をする奴は、それなりにリスクを負っているのである。
その事な十分にわかっているようだった。
「パトロールに見つかると、売り上げ取られるんじゃなくて、捕まって牢屋に入れられるんだよ」
「えっ、おいらムショ入りになるのかあ?」
「うーん…、お前今薬持ってるか?」
「ないよ、商売の時だけ預かって、終わったら返すんだ」
「なら今日は入らないな、現行犯か証拠品がないと立証できないからな」
「ああ、よかった」
鼠は明るい笑顔になって言った。笑うと結構少年らしいかおになって、感じもわるくない。
「お前、そんなヤバイ仕事よせよ」
「パトロール星野にも言われた。でも、ほかにできる事なんかないよ」
「ずっと売人?」
「ううん、精製工場手伝う事もある」
「そうか、産地の出身か?」
「ラオス」
「ああ、あのへんの山の中は芥子畑だらけなんだってな」
「そう、皆麻薬作ってる」
「それじゃあ、中毒の末期患者も見てるんだな?」
「うん、歳よりは大抵そうだよ。血管に沿って注射の跡がずらっとあって、紫色に腫れ上がってる。
体中腐り出しちゃう奴もいる。だから、おいらは絶対やらねえ事にしてる」
「で、お前、星野をそういうふうにしたいのか?」
「そんなわけねえだろう、おいらだって、助けられた恩くらい感じてるよ」
鼠はむきになって言った。
「それじゃあなんで、星野を疲れさせるような事ばかりしたんだ?」
「だって…」
鼠は赤くなって下を向いた。意地になると、何も言いそうにない。
「なあ、このまま放っておいて、星野とその恋人を、へんな親父に捕まえさせて、遠くに売り飛ばすのか?」
「え? 恋人って?」
「星野を餌にしておびき出す妖魔というのは、彼の恋人で星野をかばって死んだんだってさ」
「そうなの?」
「そうだ。絶対人間を殺したりしない。人間の味方なんだよ」
「…………」
「本当だ、俺達は何回も救われているんだ。
彼女が知らせてくれなかったら、今頃この街は全滅していたかも知れないって事が何度かあった。
彼女がいなくなったら、この街は危ないな。
狙われているんだ」
「だって、妖魔は皆悪い奴だって…」
「まあお前はあんな怖い目にあったんだから、信じられないのはしかたないけどなあ。
インドラだって、助けられた事あるんだぜ」
「そうなの? でも、インドラ様はパトロール星野はすぐ逃がしてくれるって言ったんだよ」
「星野を逃がしたら、パトロールを誘拐した事がわかって、インドラがムショ入りになっちゃうからなあ。
それはしないと思うよ。
このままだと、星野は殺されるか、遠くの王様かなんかに売り飛ばされるだろうな」
「そ…そんな事、ない…よ!」
「さあ、俺はインドラならそうすると思うね。
現にお前だって、用が済んだらさっさとお払い箱になったじゃないか。
自分の言う事聞かなかったり、都合の悪い相手には、徹底的に冷たいぞあいつ」
「………………」
「おまえだって逆らったから宿無しなんだろう?」
「うっ……」
鼠の目じりに、涙の粒が浮かんだ。
「お前、腹減ってるんじゃないか、飯食うか?」
「うん………」
「じゃあどっかで食べ物買って来用、食堂なんかだと、シェルチャン家の奴に見つかってまずいだろ。
俺達と一緒だからな」
◇
「…………」
鼠は泣いているようだった。
泣きながらパトロールプルバの買って来てくれた焼きいもと肉を挟んだ何をむしゃむしゃ食べた。
よほど腹がへっていたらしい。
「次の満月の真夜中だって。
インドラ様が話してるの偶然聞いちゃったんだ」
「満月の真夜中に、星野を使って笑さんをおびき出すんだな」
「そう、場所は十字路の木だって。それ、どこ?」
「ああ、そりゃ多分、ポカラ廃市だよ」
プルバが口をはさんだ。
小角も噂に聞いた事がある。
「ポカラのまんなかの、川べりにある十字路のそばに生えている大木だろう。
カトマンズにもあれほど大きいのはない。
いつごろからか、十字路の木と言えばあれの事をさすようになったんだ」
ポカラとは、小角達が済んでいるシテイカトマンズから西へ100キロあまりの所にある。
湖のそばにある、ネパール第二の盆地の街だ。
五十年ばかり前に人が絶えたので、今は定期的な市の立つ日だけ人が集まる。
カトマンズやインド、西のパキスタンなどから人が来る。
「一は月に一度、城の半月第三日だ。
それ以外はほぼ無人だろうな。定住者は居ない」
カトマンズ生まれのプルバが、視線に答えて言った。
「ふーん、そこなら誰にも知られず妖魔を捕まえられると思ってるわけだ」
この小角様が聞いたからには、邪魔せずに置くものか、と顔に書いてある。
「パトロール、おいらも行く、連れて行ってよ」
「だめだめ、大人の世界の事」
「だって、パトロール星野が捕まったのは、おいらのせいなんだよう」
少年の肝がんはきっぱりと無視された。
子供は危険にさらさないというのが小角のポリシーである。
同時に子供は保護されるべき、というのもポリシーだった。
だから鼠は施設等には預けられずに、小角の部屋に泊まり込む事になった。
「お前を送り返す隊商が見つかるまでだぞ。
それまでおとなしくしててくれよ。悪い事するなよ。
売人なんかするなよ」
「うん、わかってるよ」
鼠は今夜泊まる所が出来たので、ご機嫌だった。
さらに自分が借りるベッドが星野の者だと分かると、もっとハイになった。
「すまん、ジャッカル、こいつを食堂に案内して、俺の食券から食事できるようにしてやってくれ。
それから、生活に困らないように、教えてやってくれ」
くえーっつ。
ジャッカルが返事する前に脇に抱えたホロホロ鳥が鳴いて返事をした。
ホロホロ鳥は黒字に城の水玉の愛嬌アル姿のわりには凶暴な鳥だ。
飼い主に近づこうとした鼠を嘴でつついて怖気させた。
小角は彼を同じ移民宿舎の子供たちとドクターにゆだねる。
それから星野の私物もまとめて整理してロッカーに入れ、鼠の泊まる所を作ってもらった。
大勢に囲まれた鼠が賑やかに姿を消すと、大急ぎでパトロール局に戻る。
跡から聞いた話によれば、ホロホロ鳥が鼠の見張りにつけられ、
起きている間中と寝ている時もずっと、鼠についてまわったという事だ。
◇
「ジジャ、ポカラの地図をくれ。
それから、近くの僧院で、妖魔を虜にする秘術の噂を聞いたことがないか?」
「宗教関係なら、ラマ寺から来たパトロールが麻薬課に何人かいるから、紹介するよ。
彼ら、自分の宗派以外の事にもすごく詳しいから」
タカリ族の相棒は、余分な事を一切聞かず、必要な事だけをしてくれた。
「それで、今どこにいるか見当もつかない?」
「うん、実はおいら、インドラ様に文句言ったんだ。
そんなひどい事するなんて約束が違うって…、そしたら…」
「そしたら?」
「追い出された。実は今、行く所がないんだ」
「そうか…、なるほどな」
小角はあきれ返って、怒るのも忘れてため息をついた。何て奴だ。
「すごく彼らしいよ、まあ、今に始まった事じゃない」
「あんた、インドラ様を知ってるの?」
「まあな」
「ふうう…」
そばかす鼠は肩を落として深いため息をついた。
「その、高僧とやらはどこにいるんだ?」
「どっか、山の中のお寺」
「いつ来るとか知らないか?」
「それは…、知らないけど」
鼠はずるそうな薄笑いを浮かべて、小角を見た。
「いつ妖魔をおびき出すかは知ってる」
「ふうん…いつだ?」
「教えたら一緒に連れて行ってくれる?」
「行ってどうするんだ?」
「おいらのせいだからさ、少し責任感じてるんだ」
「少しじゃなく、全面的におまえの責任だよ」
「だって、おいら、この街で行く所もなかったんだよ。
インドラ様は引き取って仕事もくれたんだ」
「薬の売人の仕事か?」
「うん。そうだけど…? なんかまずい?」
鼠は全然後ろめたさを感じていないらしい。
「まさか、合法的って思ってたりするのかな?」
「えっ、ああ…、パトロールに見つからないようにしろっては言われた。
売上取られるからって」
「だめだ、こりゃ」
罪悪感がなければ反省もないし、やめるという事もあり得ない。
彼にとってはただの仕事なのだから。
「お前、麻薬をやってる奴が、ひどい中毒になったらどうなるか、知ってるか?」
「うん、時々襲われる事とかあるから」
「なるほど…、それなりにハードな生活なんだな」
「うん。時々殺される売人もいるよ」
「ううーん…」
悪い事をする奴は、それなりにリスクを負っているのである。
その事な十分にわかっているようだった。
「パトロールに見つかると、売り上げ取られるんじゃなくて、捕まって牢屋に入れられるんだよ」
「えっ、おいらムショ入りになるのかあ?」
「うーん…、お前今薬持ってるか?」
「ないよ、商売の時だけ預かって、終わったら返すんだ」
「なら今日は入らないな、現行犯か証拠品がないと立証できないからな」
「ああ、よかった」
鼠は明るい笑顔になって言った。笑うと結構少年らしいかおになって、感じもわるくない。
「お前、そんなヤバイ仕事よせよ」
「パトロール星野にも言われた。でも、ほかにできる事なんかないよ」
「ずっと売人?」
「ううん、精製工場手伝う事もある」
「そうか、産地の出身か?」
「ラオス」
「ああ、あのへんの山の中は芥子畑だらけなんだってな」
「そう、皆麻薬作ってる」
「それじゃあ、中毒の末期患者も見てるんだな?」
「うん、歳よりは大抵そうだよ。血管に沿って注射の跡がずらっとあって、紫色に腫れ上がってる。
体中腐り出しちゃう奴もいる。だから、おいらは絶対やらねえ事にしてる」
「で、お前、星野をそういうふうにしたいのか?」
「そんなわけねえだろう、おいらだって、助けられた恩くらい感じてるよ」
鼠はむきになって言った。
「それじゃあなんで、星野を疲れさせるような事ばかりしたんだ?」
「だって…」
鼠は赤くなって下を向いた。意地になると、何も言いそうにない。
「なあ、このまま放っておいて、星野とその恋人を、へんな親父に捕まえさせて、遠くに売り飛ばすのか?」
「え? 恋人って?」
「星野を餌にしておびき出す妖魔というのは、彼の恋人で星野をかばって死んだんだってさ」
「そうなの?」
「そうだ。絶対人間を殺したりしない。人間の味方なんだよ」
「…………」
「本当だ、俺達は何回も救われているんだ。
彼女が知らせてくれなかったら、今頃この街は全滅していたかも知れないって事が何度かあった。
彼女がいなくなったら、この街は危ないな。
狙われているんだ」
「だって、妖魔は皆悪い奴だって…」
「まあお前はあんな怖い目にあったんだから、信じられないのはしかたないけどなあ。
インドラだって、助けられた事あるんだぜ」
「そうなの? でも、インドラ様はパトロール星野はすぐ逃がしてくれるって言ったんだよ」
「星野を逃がしたら、パトロールを誘拐した事がわかって、インドラがムショ入りになっちゃうからなあ。
それはしないと思うよ。
このままだと、星野は殺されるか、遠くの王様かなんかに売り飛ばされるだろうな」
「そ…そんな事、ない…よ!」
「さあ、俺はインドラならそうすると思うね。
現にお前だって、用が済んだらさっさとお払い箱になったじゃないか。
自分の言う事聞かなかったり、都合の悪い相手には、徹底的に冷たいぞあいつ」
「………………」
「おまえだって逆らったから宿無しなんだろう?」
「うっ……」
鼠の目じりに、涙の粒が浮かんだ。
「お前、腹減ってるんじゃないか、飯食うか?」
「うん………」
「じゃあどっかで食べ物買って来用、食堂なんかだと、シェルチャン家の奴に見つかってまずいだろ。
俺達と一緒だからな」
◇
「…………」
鼠は泣いているようだった。
泣きながらパトロールプルバの買って来てくれた焼きいもと肉を挟んだ何をむしゃむしゃ食べた。
よほど腹がへっていたらしい。
「次の満月の真夜中だって。
インドラ様が話してるの偶然聞いちゃったんだ」
「満月の真夜中に、星野を使って笑さんをおびき出すんだな」
「そう、場所は十字路の木だって。それ、どこ?」
「ああ、そりゃ多分、ポカラ廃市だよ」
プルバが口をはさんだ。
小角も噂に聞いた事がある。
「ポカラのまんなかの、川べりにある十字路のそばに生えている大木だろう。
カトマンズにもあれほど大きいのはない。
いつごろからか、十字路の木と言えばあれの事をさすようになったんだ」
ポカラとは、小角達が済んでいるシテイカトマンズから西へ100キロあまりの所にある。
湖のそばにある、ネパール第二の盆地の街だ。
五十年ばかり前に人が絶えたので、今は定期的な市の立つ日だけ人が集まる。
カトマンズやインド、西のパキスタンなどから人が来る。
「一は月に一度、城の半月第三日だ。
それ以外はほぼ無人だろうな。定住者は居ない」
カトマンズ生まれのプルバが、視線に答えて言った。
「ふーん、そこなら誰にも知られず妖魔を捕まえられると思ってるわけだ」
この小角様が聞いたからには、邪魔せずに置くものか、と顔に書いてある。
「パトロール、おいらも行く、連れて行ってよ」
「だめだめ、大人の世界の事」
「だって、パトロール星野が捕まったのは、おいらのせいなんだよう」
少年の肝がんはきっぱりと無視された。
子供は危険にさらさないというのが小角のポリシーである。
同時に子供は保護されるべき、というのもポリシーだった。
だから鼠は施設等には預けられずに、小角の部屋に泊まり込む事になった。
「お前を送り返す隊商が見つかるまでだぞ。
それまでおとなしくしててくれよ。悪い事するなよ。
売人なんかするなよ」
「うん、わかってるよ」
鼠は今夜泊まる所が出来たので、ご機嫌だった。
さらに自分が借りるベッドが星野の者だと分かると、もっとハイになった。
「すまん、ジャッカル、こいつを食堂に案内して、俺の食券から食事できるようにしてやってくれ。
それから、生活に困らないように、教えてやってくれ」
くえーっつ。
ジャッカルが返事する前に脇に抱えたホロホロ鳥が鳴いて返事をした。
ホロホロ鳥は黒字に城の水玉の愛嬌アル姿のわりには凶暴な鳥だ。
飼い主に近づこうとした鼠を嘴でつついて怖気させた。
小角は彼を同じ移民宿舎の子供たちとドクターにゆだねる。
それから星野の私物もまとめて整理してロッカーに入れ、鼠の泊まる所を作ってもらった。
大勢に囲まれた鼠が賑やかに姿を消すと、大急ぎでパトロール局に戻る。
跡から聞いた話によれば、ホロホロ鳥が鼠の見張りにつけられ、
起きている間中と寝ている時もずっと、鼠についてまわったという事だ。
◇
「ジジャ、ポカラの地図をくれ。
それから、近くの僧院で、妖魔を虜にする秘術の噂を聞いたことがないか?」
「宗教関係なら、ラマ寺から来たパトロールが麻薬課に何人かいるから、紹介するよ。
彼ら、自分の宗派以外の事にもすごく詳しいから」
タカリ族の相棒は、余分な事を一切聞かず、必要な事だけをしてくれた。
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