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第15話
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問題は如何ともしがたい、あまりにも違いすぎる戦力差だ。 人を相手にしても、吸血鬼を相手にしても、どちらにせよ挟撃になってしまう。
こちらの人数がすくないのだから、戦うなんてこともほとんど出来ずに負けることは間違いない。
遠くに逃げる。 なんてことを考えるけど、どこまで遠くに……他国に行くには海を渡らないとならないけれど、日中外に出れないアレンさんが小舟で海を渡れるはずもない。
逃げられない。 ……いっそ、山の中とかなら……僕に必要なご飯とか水はアレンさんと協力したら手に入るだろうし、僕の血があれば、アレンさんも大丈夫だ。
あとは、アレンさんを見つけて説得したら……きっと、死ななくて済む。 一緒にいれる。 悲しいことを言わせなくて、済むはずだ。
近くの森は……と考えるけれど、この辺りは開発されて動物が減っているので難しいだろう。
何にせよ、近くではないけれどそんな森は幾らでもある。 会って説得出来たらいいのだ。
立ち上がって、女の人を探す。 あの人なら知っているかもしれないし、何にせよ聞くしかない。 そう思って廊下を歩いて部屋を開けて閉めてと探していき、お茶を飲んでる女の人を見つける。
「あのっ」
「ん、アレンくんの場所なら知らないよ」
「えっ……」
出鼻を挫かれて、思わず口ごもる。
「そりゃ、君から離れるために私へ預けたんだし、私経由で居場所がバレたら意味ないじゃん」
「……でも、以前から親交があったなら、おおよその見当とか……」
「いや、わざわざ深入りしないよ、お客さんになんて」
当てが外れた。
とりあえず、動かなくてはだめだ。 街を歩かないことには土地勘もないのでどうしようもないと考えて、歩くついでに高い場所に行こうと思う。
「……少し、外歩いてきますね」
「んー、ここら辺は治安いいけど、一応路地とか、人気のないところにはいかないようにね? 早めに帰ってきなよ」
「……分かりました」
女の我が身は不便なものだ。 そんなことを思いながら外に出て、キョロキョロと見回す。 見た目は普通の一軒家のようなので、場所を忘れないようにしっかりと覚えないとダメだ。 道や家を頭に入れたあと、とりあえず土地勘のために大きい道を歩いてみることにする。
もしかしたら近くに、と考えるけれど道幅は広く、家と家にも隙間があって暗い道が続いている場所はない。 以前、アレンさんの言っていた吸血鬼のいやすい環境とは景観が離れている。
ここにはいない。 建物の密集した地域となると、ここより幾分か治安が悪そうな場所になるようだ。 とりあえず、そちらが本命ではあるけれど、先に行くべきなのは、ここら辺で一番遠くを見れそうな、教会の鐘のところだろうか。
あそこなら、近くの地理を一望出来そうだ。 今日はそこまで行こうと脚を運び、頼み込んで登らせてもらう。
高いと言えどしれているので街を一望とはいかないけれど、近くの地理は少し分かる。 お礼と巡拝だけして、教会を去ると少し日が傾いてきた。 早足で女の人の家にまで戻ると、ご飯が用意されていた。
「食費ももらってるから、気にしなくていいよ」
「……ご馳走になります」
また、探さないといけないけれど、夜の間は寝ることしか出来ない。 彼が辛く寂しい思いをしていると思うと泣きそうになるけれど、必死に涙を抑えて眠る。
こちらの人数がすくないのだから、戦うなんてこともほとんど出来ずに負けることは間違いない。
遠くに逃げる。 なんてことを考えるけど、どこまで遠くに……他国に行くには海を渡らないとならないけれど、日中外に出れないアレンさんが小舟で海を渡れるはずもない。
逃げられない。 ……いっそ、山の中とかなら……僕に必要なご飯とか水はアレンさんと協力したら手に入るだろうし、僕の血があれば、アレンさんも大丈夫だ。
あとは、アレンさんを見つけて説得したら……きっと、死ななくて済む。 一緒にいれる。 悲しいことを言わせなくて、済むはずだ。
近くの森は……と考えるけれど、この辺りは開発されて動物が減っているので難しいだろう。
何にせよ、近くではないけれどそんな森は幾らでもある。 会って説得出来たらいいのだ。
立ち上がって、女の人を探す。 あの人なら知っているかもしれないし、何にせよ聞くしかない。 そう思って廊下を歩いて部屋を開けて閉めてと探していき、お茶を飲んでる女の人を見つける。
「あのっ」
「ん、アレンくんの場所なら知らないよ」
「えっ……」
出鼻を挫かれて、思わず口ごもる。
「そりゃ、君から離れるために私へ預けたんだし、私経由で居場所がバレたら意味ないじゃん」
「……でも、以前から親交があったなら、おおよその見当とか……」
「いや、わざわざ深入りしないよ、お客さんになんて」
当てが外れた。
とりあえず、動かなくてはだめだ。 街を歩かないことには土地勘もないのでどうしようもないと考えて、歩くついでに高い場所に行こうと思う。
「……少し、外歩いてきますね」
「んー、ここら辺は治安いいけど、一応路地とか、人気のないところにはいかないようにね? 早めに帰ってきなよ」
「……分かりました」
女の我が身は不便なものだ。 そんなことを思いながら外に出て、キョロキョロと見回す。 見た目は普通の一軒家のようなので、場所を忘れないようにしっかりと覚えないとダメだ。 道や家を頭に入れたあと、とりあえず土地勘のために大きい道を歩いてみることにする。
もしかしたら近くに、と考えるけれど道幅は広く、家と家にも隙間があって暗い道が続いている場所はない。 以前、アレンさんの言っていた吸血鬼のいやすい環境とは景観が離れている。
ここにはいない。 建物の密集した地域となると、ここより幾分か治安が悪そうな場所になるようだ。 とりあえず、そちらが本命ではあるけれど、先に行くべきなのは、ここら辺で一番遠くを見れそうな、教会の鐘のところだろうか。
あそこなら、近くの地理を一望出来そうだ。 今日はそこまで行こうと脚を運び、頼み込んで登らせてもらう。
高いと言えどしれているので街を一望とはいかないけれど、近くの地理は少し分かる。 お礼と巡拝だけして、教会を去ると少し日が傾いてきた。 早足で女の人の家にまで戻ると、ご飯が用意されていた。
「食費ももらってるから、気にしなくていいよ」
「……ご馳走になります」
また、探さないといけないけれど、夜の間は寝ることしか出来ない。 彼が辛く寂しい思いをしていると思うと泣きそうになるけれど、必死に涙を抑えて眠る。
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