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凍える心
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collarを外したあの日から、やけにcollarをつけているsubの人が目に留まるようになった。
まだ未練が捨てきれないからなのか、無意識に目で追ってしまう。
抑制剤をもらいに病院に行ったとき医師からは、誰かにplayをしてもらえと言われた。抑制剤を服用し続けるとしてもずっと同じ強さのものでは効き目が無くなっていき、強いものに変えると副作用が強く出るようになるらしい。つまりは悪循環というわけだ。
本当は誰彼構わずplayするのなんて嫌だった。
でも、そうしないと最悪subは死んでしまう。
仕方なく、ネットで調べて一番上に出てきたプレイバーに通い始めた。ほんとはもうちょっと詳しく調べるべきなのだろうけど、達也と別れてしまった僕は自暴自棄になっていなのかもしれない。通い始めた、と言っても頭痛と副作用で限界になった時だけ嫌々そのプレイバーに足を運んだ。
―――――――――
達也と別れたあの日から一年たち、また冬がやってきた。なんでも今年は去年よりもっと寒くなるそうで、雪が降る日もあるらしい。実際に今日は朝から雪が降っていて、地面が見えないくらいには積もっていた。
プレイバーに通い、見ず知らずの他人にcommandを受けるのに抵抗があった僕は心身共に擦り切れていて、限界状態だった。それでも最後にplayしてもらってからすでに一か月が過ぎていて、そろそろ行かないと大学生活に支障が出てきてしまう。今日も友人に顔が真っ青だと言われてしまった。もちろんプレイバーには僕の望む通りのplayをしてくれる人などいなかった。暴力をふるう人や鞭で打ちつけてくる人、アフターケアがないのだって普通になっていく。Domの相手は僕を痛めつけるだけ痛めつけといて、自分が満足したらすぐにやめてしまう。
それでも僕のsubの本能は満たされてしまっていた。心とは反対に。
こうも寒いと行く気すらなくなってしまう。重いため息をつきながら、プレイバーに行く道をたどる。
「おにぃさ~ん、大丈夫~?」
甘ったるい声をかけられ、振り向くといかにもdomって感じのピアスをつけた男が立っていた。
「フラフラじゃ~ん。ちょっとそこのホテルで休憩しない?」
「、、、playしてくれるなら。」
今日はもうこの人でいいや。
部屋に入るとガチャリ、と音を立てて鍵が閉められる。
「おにいさん、何か苦手なplayとかある?」
男はそう聞いてきた。この人はバーにいるDomよりかは多少マシかもしれない。
「、、殴られたりするのは、苦手です。」
「そっか~!」
「、、、?」
男は何故か嬉しそうだった。その瞬間、男は手を大きく振りかざして、勢いよく僕の頬をぶった。
「、、、うっ」
痛みに耐えながら、立っていられなくてその場に座りこんだ。あまりの痛みに生理的ななみだが出てくる。
「俺、頑張ってるsubの姿を見るのが好きなんだよね~。」
男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべている。
(やばい、、かも、)
逃げなければ、瞬時にそう思った。考えるよりも先に足が動いていて、鍵を開けて外に出た。
後ろから男の叫ぶ声が聞こえる。ぜぇぜぇと息を切らして死ぬ気で走って、なんとか街中のホテル街を抜け路地裏に隠れた。
突然、ぐわんとめまいがして視界がゆがんだ。疲労がたまった体はバランスをとることも難しくて雪の上に倒れた。
(、、僕、ここでしぬのかなぁ、、)
すでに体温のない体に雪が染み込み、さらに冷え切っていく。手先が凍えていて、もう動かすことすら叶わない。ひゅーひゅーと浅い息を繰り返し視界が白く曇る。
「は、、はは、、」
頬の上をぬるい雫が伝った。もう笑うしかない。すべて自業自得なんだ。達也にplayをせがんだことも、subのくせに高望みしたのも、全部、全部、、、。
、、、、それでも、
「ぁいされたかった、、」
小さく小さくつぶやいた。雪にうずもれて、その声を聴くものなどもう誰一人としていない。
―――だんだん目の前が暗くなっていって、眠くもないのに襲ってくる睡魔と体中取り巻く倦怠感に耐えられず、僕は目を閉じた。
まだ未練が捨てきれないからなのか、無意識に目で追ってしまう。
抑制剤をもらいに病院に行ったとき医師からは、誰かにplayをしてもらえと言われた。抑制剤を服用し続けるとしてもずっと同じ強さのものでは効き目が無くなっていき、強いものに変えると副作用が強く出るようになるらしい。つまりは悪循環というわけだ。
本当は誰彼構わずplayするのなんて嫌だった。
でも、そうしないと最悪subは死んでしまう。
仕方なく、ネットで調べて一番上に出てきたプレイバーに通い始めた。ほんとはもうちょっと詳しく調べるべきなのだろうけど、達也と別れてしまった僕は自暴自棄になっていなのかもしれない。通い始めた、と言っても頭痛と副作用で限界になった時だけ嫌々そのプレイバーに足を運んだ。
―――――――――
達也と別れたあの日から一年たち、また冬がやってきた。なんでも今年は去年よりもっと寒くなるそうで、雪が降る日もあるらしい。実際に今日は朝から雪が降っていて、地面が見えないくらいには積もっていた。
プレイバーに通い、見ず知らずの他人にcommandを受けるのに抵抗があった僕は心身共に擦り切れていて、限界状態だった。それでも最後にplayしてもらってからすでに一か月が過ぎていて、そろそろ行かないと大学生活に支障が出てきてしまう。今日も友人に顔が真っ青だと言われてしまった。もちろんプレイバーには僕の望む通りのplayをしてくれる人などいなかった。暴力をふるう人や鞭で打ちつけてくる人、アフターケアがないのだって普通になっていく。Domの相手は僕を痛めつけるだけ痛めつけといて、自分が満足したらすぐにやめてしまう。
それでも僕のsubの本能は満たされてしまっていた。心とは反対に。
こうも寒いと行く気すらなくなってしまう。重いため息をつきながら、プレイバーに行く道をたどる。
「おにぃさ~ん、大丈夫~?」
甘ったるい声をかけられ、振り向くといかにもdomって感じのピアスをつけた男が立っていた。
「フラフラじゃ~ん。ちょっとそこのホテルで休憩しない?」
「、、、playしてくれるなら。」
今日はもうこの人でいいや。
部屋に入るとガチャリ、と音を立てて鍵が閉められる。
「おにいさん、何か苦手なplayとかある?」
男はそう聞いてきた。この人はバーにいるDomよりかは多少マシかもしれない。
「、、殴られたりするのは、苦手です。」
「そっか~!」
「、、、?」
男は何故か嬉しそうだった。その瞬間、男は手を大きく振りかざして、勢いよく僕の頬をぶった。
「、、、うっ」
痛みに耐えながら、立っていられなくてその場に座りこんだ。あまりの痛みに生理的ななみだが出てくる。
「俺、頑張ってるsubの姿を見るのが好きなんだよね~。」
男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべている。
(やばい、、かも、)
逃げなければ、瞬時にそう思った。考えるよりも先に足が動いていて、鍵を開けて外に出た。
後ろから男の叫ぶ声が聞こえる。ぜぇぜぇと息を切らして死ぬ気で走って、なんとか街中のホテル街を抜け路地裏に隠れた。
突然、ぐわんとめまいがして視界がゆがんだ。疲労がたまった体はバランスをとることも難しくて雪の上に倒れた。
(、、僕、ここでしぬのかなぁ、、)
すでに体温のない体に雪が染み込み、さらに冷え切っていく。手先が凍えていて、もう動かすことすら叶わない。ひゅーひゅーと浅い息を繰り返し視界が白く曇る。
「は、、はは、、」
頬の上をぬるい雫が伝った。もう笑うしかない。すべて自業自得なんだ。達也にplayをせがんだことも、subのくせに高望みしたのも、全部、全部、、、。
、、、、それでも、
「ぁいされたかった、、」
小さく小さくつぶやいた。雪にうずもれて、その声を聴くものなどもう誰一人としていない。
―――だんだん目の前が暗くなっていって、眠くもないのに襲ってくる睡魔と体中取り巻く倦怠感に耐えられず、僕は目を閉じた。
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