ロマンチック・トラップ

るっぴ

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お出かけ2

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 昼過ぎになったばかりだからなのか、お客さんはまばらで、木製で統一された店内は落ち着いた雰囲気を醸し出している。碧兎は『今日のためにお昼抜いてきたんだ!』と自信満々にケーキを選んでいる。


 「ん!ねぇ蓮都、これ食べてみて!すっごくおいしい!」

 イチゴがふんだんに使われているフルーツケーキを、碧兎は目を輝かせながら僕に勧めてきた。
 
 一口もらうと、フルーツは新鮮で、タルトとフルーツの間に挟んでいるカスタードクリームがとろりとしていて、ほっぺたが落ちてしまいそうだ。

 「、、!、おいしい!」

 そう言って碧兎のほうを見ると、首元にきらりとした何かが見える。

 、、もしかして

 「碧兎、それって、、」

 そう言って首元のほうを指さすと、碧兎は照れたような、それでいてうれしそうな顔になる。
 
 「へへ、、気づいちゃいましたか、、!実はねぇ、、直哉にcollarもらっちゃったんだよね!」

 少し恥ずかし気に、目を細めてそう小声でそう言った。collarをもらうということは、正式にパートナーとして認められるということで、Subにとってはこの上ない幸せだろう。
 
 「あ!そうそう。それで直哉がね!勝手にこのcollarに盗聴機能とかGPS機能とか勝手につけられてさ!」

 怒りを思い出したように、ケーキをパクパク口に放り込みながら、ふたたび直哉さんについての愚痴を初めようとする。喧嘩するほど仲がいいって奴だろうか。こんな風に喧嘩ばかりしていると聞く碧兎も、本当に嫌だったらとっくに別れているはずなのだ。それぐらい、ダイナミクスの相性というのは繊細なもので、それが高ランク同士なら、なおさら。今言っている盗聴とかいうのはDomの独占欲から出てくるものなのだろう。

 (普通に犯罪だけど、、)

 まぁ、本人が警察に突き出してないんだしいっか。と、深く考えないでおいた。
 
 それにしても、このかわいらしい容姿から罵倒の言葉ばかり出てくるのは少しちぐはぐで、苦笑してしまう。

 「大変なんだね...。」

 「大変なんてもんじゃないよ!、、あ~...でも、蓮都の方も大変だねぇ...それ、柊さんからもらったやつでしょ?」

 そう言って碧兎はぼくの手首のほうを指さす。

 「すごい、よくわかったね。」

 「うん..まぁ、ね。それなんて言われて貰ったの?」

 「新作のデザインのブレスレットが完成したから、つけてくれって言われて...。」

 朝、出発する前に、マフラーや手袋とは別にブレスレットをつけてほしいと言われたのを思い出した。もらったブレスレットは少し厚めで、外側に桜のような薄桃色のお花のデザインが施されていて、オシャレでかわいらしい。どちらかというと、僕より碧兎のほうが似合いそうなのだが。

 「..........。」

 「碧兎?」

 貰った時のことを思いなおしていたら、碧兎がなんともいえない表情で固まってしまった。

 「...いや、なんでもない。案外、直哉より柊さんのほうがえげつないのかも。」

 そう言って気まずそうにオレンジジュースをすすった。
 
 (えげつない...?えげつないって、何が?)

 どういうことか聞きなおしたかったが、碧兎の顔が深刻すぎて何となく遠慮しておいた。




 
―――――


 「はー、おいしかったね!」

 「うん、、想像以上においしかった...!」

 食べ過ぎてしまって、ぱんぱんに膨れたお腹をさする。僕がお腹いっぱいになっても、碧兎はずっと食べ続けていて、聞くと甘いものに限って大食いになるらしい。口いっぱいにケーキをほおばる碧兎の姿は、同じ男か疑うほどかわいらしかった。お店を出ると、外は少し夕日がかかっていて、随分長居してしまったみたいだ。
 

 お店で話した結果、碧兎がcollarを貰ったお返しに直哉さんに何か買っていきたいとのことだったので、近くにあったショッピングモールに行くことにした。歩きながら他愛もない話を続ける。

 「そういえばさ、蓮都はどこで柊さんと出会ったの?やっぱプレイバーとか?」

 「うーん、、どこから話せばいいだろ?出会ったというより、拾ってもらったというか?」

 別に同じSubである碧兎に話してもいいのだが、出会いが複雑すぎてどこから説明すればいいのか迷ってしまう。だってプレイバーでDomに追いかけられて死にそうになるところを救ってもらって、そこからパートナーになったとか。なかなか普通の出会い方とは言えないし。
 苦笑いをこぼしながら、次に続ける言葉に悩んでしまう。

 「あー全然話したくなかったらいいからね!蓮都と柊さんって同棲してるんだよね?」

 「えっ、ど、同棲じゃないよ!今は一時的に住んでるだけだから!」

 同棲、その単語に動揺して必死に否定する。鼓動が早く鳴った心臓を落ち着かせようと、胸を抑えた、その時だった。




 「――蓮都?」




 懐かしいほど頭に残る、冷たい声。

 




 

 行こうとしていたショッピングモールは、”彼”の家から、最も近かったということを、僕は忘れてしまっていた。  



 理性よりも先に、本能で危険性を察知した心臓が、どくりと不自然に音を鳴らす。

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