わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

★嫉妬

1

「せめて今日は帰さない」

　完全にむくれたリューラはムーッとしながら俺をまた抱き締めてきた。

「はぁ!?フッザけんなっ!!疲れてんだよ！帰るっつの！」

　その胸を押して顔を背ける。
　その首元にチュッとキスをされて跳ね上がった。

「ふいっっ!!てっめぇ！何しやがるっ!!」

　思い切っり睨んでやったのに、リューラはにっこりと笑う。

「へぇ……首筋弱いんだ？」
「はぁっ!?」

　ニヤついているその顔をぶん殴ってやりたい。
　下から拳を突き上げたが、普通に塞がれてまた微笑まれた。

「笑うなっ！」
「えー？笑ってないよぉっ！」
「笑ってんだろーがっ!!」

　グッと首元に垂れているその少し長めの髪を握る。
　金色の柔らかい髪はちょっと繊細な気がして引っ張ってやりたいのは堪らえた。

「あれ？離してくれるの？」

　手を離した俺にリューラはコテンと首を倒す。
　光を浴びてキラキラ輝くその髪は昔から俺の理想だ。

「髪？」

　やっと俺を離してスルリと自分の髪に触れるリューラ。
　そして、こっちを向くとそのまま手を伸ばしてきた。

「サラのこの髪、綺麗だけどね？」
「綺麗なわけねぇだろ！」

　触れられたその手を弾いてやる。

「白銀と金で相性バッチリだと思わない？」

　なのにリューラは毛先の長い髪を俺の髪に絡めてきた。

「はぁ？」

　髪に相性なんてあるもんか！
　老人か病弱だった母と同じこの白い髪は俺は嫌でしかない。