わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

おかしい

6

　久々に急ぎの仕事もなくて一日空いた俺は薄手のシャツを着て緩めのパンツを履くとそのまま剣を持って部屋を出た。

「お出かけですか？」

　すぐにリックが気付いて声を掛けてきて無言で剣を見せる。

「それならお送りしましょう」

　頷くと、すぐにリックは胸ポケットから鍵を取り出した。

「鍛錬場でよろしいですか？」

　城に近付くとリューラに会うかもしれない。
　今はまだ気持ちも落ち着かなくて、あんなことがあった後でもあるしできるなら会いたくない。
　でも、体を動かしてこのモヤモヤした気持ちをスッキリさせたかった。
　窓の外を眺めつつため息を吐く。

「お疲れですか？大丈夫ですか？そんな時に剣なんて使って」

　運転しながらリックに言われその後ろ姿を睨んだ。

「手加減できずにぶっ殺すかもって？」
「そんな言葉はよろしくありません」

　ガタガタと車体が揺れて城の前の石畳に差し掛かるとゆっくりスピードが落ちる。
　城は一旦通り過ぎて鍛錬場の入り口まで来ると、俺は車から降りた。

「サライド様、こちらをお持ち下さい」

　渡されるタオルと瓶を手にしつつ、少し邪魔でそっと置いていきたくなる。
　剣を腰にさして歩いていくと、すぐに男たちが稽古をする声と剣のぶつかる音が聞こえてきた。

「サライド様!!」

　俺を見つけて駆け寄ってきた男の一人に邪魔な瓶とタオルを放り投げる。

「相手しろ」

　一緒に来て頭を下げていた男の肩を叩くと、男はビクッと肩を揺らした。