わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

デート

2

「そんな警戒しないでよ」

　肩を竦めるリューラを俺は背中を丸めて毛を逆立てた猫のようにフーと睨みつける。

「わかったから……ね？」

　微笑むとリューラはその場で腕を開いた。

「一回ギュッてさせて？そうしたら風呂に入って来るから」

　そんな風に優しく言われて俺は力を抜くと、そろりとリューラに近寄る。
　ちゃんと俺が傍に来るまでそのままで居るリューラ。
　むしろ、ここまで近くに来たんだから手でも引っ張ればいいのに、ただ俺を待っていた。
　無言でその鎖骨辺りに顔を埋めると、やっとリューラが抱き締めてくれる。

「ね、明日……出掛けようか？」

　顔を上げると、リューラはそっと俺の髪を撫でた。

「二人で、行かない？」
「ふ、二人でなんて無理に決まってんだろ」

　咄嗟に言ってしまうとリューラがギューと抱き締めてくる。

「まぁ、護衛くらいはつくだろうけどね」

　俺の肩にくっついて少し声を落とすとリューラが顔を上げた。
　視線が絡んでチュッと軽くキスをされる。

「デートしようよ」

　城から出て二人で歩くなんて絶対に何かを言われるだろうし、どんな目で見られるか心配ではあるが……

「ね？」

　微笑まれて頷いてしまった。

「じゃあ、入ってくるから……冷えないようにベッドで待ってて」

　もう一度そっとキスをされてその後ろ姿を見送る。
　ドキドキと心臓がうるさい。
　それにすぐにキュンとしてしまうのは何なのか！
　この甘さを反芻してしまった俺はベッドに潜り込んで枕に顔を押し付けて喚いた。