わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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寂しい

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 新年を祝って日が経つごとに落ち着かなくなってきた。
 この城でリューラと一緒に過ごすのもあと少し。
 リューラが仕事をするためにロットルと部屋から出て行くのを見送って、俺もリューラの机で書類を広げた。
 内容を確認してサインをして……リューラにも承認してもらうと俺はまたディオーの村に行くことになる。
 ピラッとその書類を手にしてじっと見つめた。
 期間は宿が全て完成予定の約一年。
 たまに休暇を作るし、こっちにも帰ってくる予定ではあるが……この部屋でリューラと長く居すぎたせいか何か落ち着かない。
 顔を上げると目に入るベッド。
 書類を置いて立ち上がると、俺はフラフラとそこに向かった。
 いつもリューラが眠る左側に潜り込む。
 今日はまだベッドメイキングに来て居ないため、そこはふわりとリューラの香りがした。
 枕に顔を埋めてゆっくり息を吸う。
 こうやってしばらくは匂いさえ感じられない、と思うと一気に不安にもなった。
 これまで俺はどうやって仕事をしてきただろう?
 こんな情けない思考……

「クソッ」

 らしくなさ過ぎてイラッとする。
 この長い休暇の間、俺はリューラに甘え過ぎていたのかもしれない。
 リューラの疲れを少しでも癒すつもりでいたのに、ただ俺が依存してしまっていただけではないのか?

「……情けねぇ」

 シーツに突っ伏して俺はギュッと目を閉じた。

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