わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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ぎこちなく

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 昼ということでさすがに酒はない。
 だが、歌と音楽に包まれた広場は笑い声で溢れていた。

「理想の村……じゃない?」
「まだまだこれからですよ」

 山葡萄のジュースが入ったグラスを差し出されて頭を下げつつ受け取る。

「ねぇ……」
「無理です」

 不満げなリューラに言われる前に断っておくと、リューラは少し唇を尖らせた。

「サライド様、それなら丘の上の宿は設備も整っておりますので今夜泊まれるように準備致しましょうか?」

 聞こえたのか、少し離れて立っていたエミリオに言われてバッと顔を向ける。

「や……」
「泊まる!!エミリオ!お願い!」

 止める前にリューラが俺の前に出てエミリオに頼んでしまった。

「はぁっ!?」
「あちらは元々陛下にもお泊まり頂けるように考えられた宿じゃないですか」

 止めようとしても、笑顔でエミリオに言われて慌てる。
 確かにリューラが来た時は……その考えもあったがメインは違う。
 それにリューラのために、なんて気恥ずかしくて顔が熱くなってきた。

「違ぇ!他国の公賓とかが来ても泊まれるように……」
「それなら俺も一度見させてもらいたいねぇ?」

 言っている途中で遮ってニヤりとされて逃げ場がないことを悟る。
 公賓に提供する宿を見ておきたいというのは王としてはおかしくはない。

「いや!でも……まだ整備も途中で大したおもてなしもできないと思いまして」

 リューラは領主の屋敷にある俺とは違う客間に泊まる予定で、予定にはなかったそんな宿に人員も何もない。
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