わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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疲れ

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 ノックをしてロットルがドアを開ける。

「ロットル、お茶ならそこに置いておいてくれ」

 顔も上げずに何やら書いているリューラは真剣な顔でペンを走らせていた。
 ロットルに促されて足を踏み出すとコツッと音が鳴る。
 それに気付いたのか、顔を上げたリューラはすぐにペンを放り出して走ってきた。

「サラっ!!」

 驚くほどの勢いで抱き締められて苦しい。
 パシパシととりあえず届いた太腿を叩いてやると、リューラはやっと少し腕の力を抜いてくれた。

「力入れ過ぎだ!バカっ!」
「だって、嬉しくて」

 そうやって顔を綻ばすのを見て、来てよかったとは思う。
 だが、その目にも薄っすら隈があるのを見つけた。
 手を伸ばしてそれをなぞると、リューラは少し笑って俺の手に手を重ねる。
 そのまま手のひらにキスをされて跳ね上がると、リューラは笑って今度は唇を重ねてきた。

「夢じゃないね」

 言われて頷くと、もう一度強く抱き締められる。

「なので、お茶を淹れますから一度ゆっくり休憩をなさって下さい」

 ロットルが咳払いをすると、リューラはまた抱き着いてきた。

「うー……仕事したくなくなる」

 その言葉にドキッとするが、

「昨日、連合軍はラグランドルへ一気に仕掛けて……今日報告が届く予定なんだ」

 リューラは俺の手を引いてソファーへと移動しながら教えてくれる。

「それなら……」
「うん、うまく収まっていれば後は後処理だけかな?」

 まだ少し緊張が残った顔なのはその報告が届いていないからだ。
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