わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

祝福

5

　真っ白のドレスに身を包んだサフィナが夫人にベールを掛けてもらうと、ブーケを手にしてリオッター公爵と歩いて来る。
　ゆっくりとした足取りだが、お陰で美しい姿を皆に披露できた気がした。
　オリバーの前まで来ると、深くお辞儀をしてその手は公爵からオリバーへと引き継がれる。
　オリバーはサフィナの手を握って支えると、一度参列している皆の方に向いた。
　そして、胸ポケットからリボンを取り出してサフィナが持つブーケに結びつける。

「あいつ……」

　そのままこっちに頭を下げられて俺はパッと顔を背けた。

「やるねぇ」

　笑うリューラは拍手をして、拍手に包まれると二人は手を取って更に歩を進める。

「ほら」

　それを見たリューラに促されて俺もリューラと共に歩いた。
　さっき預かった指輪を差し出すと、オリバーはその指輪をサフィナの指にそっと嵌める。
　サフィナもオリバーの指に指輪を通すと、リューラが証書を二人に差し出した。
　オリバー、サフィナとサインをしたのを確認してリューラもサインをすると、証書を皆に見えるように台に立て掛ける。そして、

「キスじゃない？」

　リューラはコソッと二人に囁いた。
　少し照れたような二人だが、オリバーがベールを上げてサフィナを抱き寄せるとサフィナもオリバーを見つめる。
　二人のキスに歓声があがって、また照れる二人を俺とリューラは並んで見つめた。