溺愛Domの優しいコマンド

野外活動

4

「……今までのパートナー……と言っても二人だけですが」

　しばらくの沈黙の後、躊躇うように口を開いた先生。

「僕は重いらしくて……いつも嫌がられてしまうんです」

　ため息と共に溢した笑みがヒドく弱々しい。

「先生もやっぱり……嫌、ですよね」

　俺は握っていた手に力を込めるとそのまま引いて先生を抱き締めた。

「え？」
「違うんです。正直俺は色々雑で、部屋なんて見たらきっとびっくりされるくらいで……飯だって気にしないとカップ麺かエナジードリンクで済ませるから先生がたまに買ってきて気にしてくれるのも、今だってちょっと嬉しかったんです」

　顔を見て言うのは照れ臭くて、抱き締めたまま見られないようにして言う。
　先生はそっと俺の胸を押すとゆっくりと離れてこっちを見た。
　パッと反らすとスルリと手を撫でられる。

「僕の世話は度を超してますよ？」
「恥ずかしいけど……嫌ではないです」

　赤いとわかるほど顔が熱くて、先生の方は見られない。でも、

「“Lookこっち見て”」

　いつもの落ち着いた声でコマンドを言われてそろりと目を向ける。

「いいんですか？」

　微笑んだ先生はゆっくりと両手を広げた。
　俺は少し躊躇ってからその胸に飛び込んでギュッと縋りつく。

「でも、恥ずかしいんですからね！」
「はい」

　嬉しそうな先生の声。
　優しく頭を撫でてくれるその手が好きだ。