私達の物語

歌魅音娘-utamineko-

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拾壱「死にたがりだった私」

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拾壱「死にたがりだった私」

沢山の絵の具きもちを自分のこころに入れて、入れて、箱がいっぱいになって、開いた頃には、その色は一つ一つわからない、でも外には出る。涙は出るし、イライラもする、無性に腹立って、胸がきゅってなるの。
真っ黒の絵の具きもちなみだで流すの。
何回も繰り返すとさ、箱は、漏れやすくなったり、蓋は開きやすくなる。
補修はするんだけどね。
元々の形じゃない。
だから、そこは穴が空きやすくなったりする。
治すのも、ボロボロになるこころを見るのも嫌で、箱を洗う度に、なみだじゃ落ちないほどに染まったり、手は絵の具きもちで染まる。染まったところから、放置すると痛んだり、腐り始めちゃう。こころを治して、私も治すの、疲れたよ。

「死にたいな」

そう言ったおもった

「わたしが変わりになってあげるよ」

そのこころから人形わたしが生まれた。
新しいこころを持って、本物の事を見て、聞いていた人形わたしはいつしか、本物を忘れた。
私も本物を忘れた。

人形は死にたがりだった。
ずっと死にたいって思ってた。
首を絞めて死のうとした。
薬をいっぱい飲んで死のうとした。
自分の壊れた心を癒したかった。
出来なかった、辛かった、苦しかった。
自分を救うには、死ぬしかないって思ってた。
死にたいって、死にたいって、思ってた。
でも、途中からなんで死にたいのか、わからなくなった。
いじめられてたからかな?
自分が嫌いだったからかな?
辛い時に泣けばよかった。喚けばよかった。
なのに、その時は飲み込んで、それがなんでそう思ったのかわからなくなってから泣くの。本物わたしと一緒。

目を覚ました本物わたしは笑ってる。
とある方向を見ながらニコニコしてるの。
そっちにはそとがある。
向こう側ではお母さんが泣いていた。
「死んでほしくないと」
ずっと無視してた言葉。
人形わたしが死にたいからと、いらないと言った言葉。
本物わたし人形わたしに向かって言う。

「あなたはわたし。わたしもあなた。死にたいと思ったから生まれたあなたは本当に死にたい?」

そう聞いてくる。
人形わたしはどうしたいのかな。

「死にたいって思ったから生まれたの、人形わたしは死ぬために生まれたの」

「そうかな?本当にそうなの?じゃぁ、なんであなたは今、生きてるの?」

「邪魔されたから」

「ううん、違うよ、生きたいから、笑いたいからだよ。」

「そんな訳無い!人形わたしは死にたいんだ!」

「違うことはないよ。死ねるチャンスはいくらでもあったよ、認めたくないよね。だって自分の生まれを否定しちゃうから、変わるのは怖い、怖いから逃げたい」

「言わないで」

「ほら逃げる。」

本物あんたに何がわかるの!?」

「わかるよ、私だから、痛いのは怖い、怖いから逃げたい、傷付きたくないから本物わたし人形あなたを作ったの、見たくないから、眠ったの。けど、ずっと痛いの、苦しいの」

本物わたしは泣きそうな顔で笑う。

「傷付きたくないって言うよりもさ、笑いたかったんだよ。死にたいって思わなかったことはないよ、でもね、楽しさから辛さに落ちるのが嫌だからって、楽しさを隠すのはもうやめよう?」

「でも人形わたしは?消えたくないよ、死にたい私が人形わたしなんだよ!?」

「『あなたはわたし、わたしはあなた』だよ。消えるんじゃないよ、一つに戻るだけ、本物も人形もないんだよ、どれもわたしだから、今のあなたはどうしたい?生まれた理由はどうでもいいじゃない」

「生きたい、笑いたいよぅ」

ポロポロとわたしの目から涙が溢れる。

「今は死にたくないよ」

二人は光に包まれて、一人に戻った。もうどちらか、区別する必要はない。

「私はわたし、わたしは私」

もう、箱に詰めるのはやめようかなぁ。
したいことはしたいと言おう!
嫌なことは嫌と言おう!
好きなことは好きと言おう!
まぁ、言っては駄目なときはあるだろうけど、出来るだけ変に我慢しないようにしよう!

わたしはそう思うのたった。



如何だったでしょうか?
これは死にたいと思っていた少女が生きたいと思う物語おはなし
一つ自分を決めてしまうと、それを変えることは前の自分を否定することにもなってしまう。そう言う気持ちがまた、自分の首を締める。何かを決めて、それに向かって突き進むのは良いことでしょうが、物事を決めすぎてしまうと、結果的に首を締める事になってしまうのかもしれません。周りに縛られることはありますが、自分に縛られるのもよくあるのではないでしょうか?周りに縛られてると思っていたら実は自分に縛られてる、なんてこともあるのかもしれませんね。
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