舞雪の霊感事件日誌

弓狩ヨゾラ

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第1章「警察官になりました」

7話「向日葵を眺めて」

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夏休み期間。
夕暮れ時にふら付くセーラー服に身を包んだ少女は裸足。
年相応と言えば相応な明るい少女をこちらで保護した。
彼女の名前を飛世とびせリコ。彼女は魂の無い人形。
その事実を職員が知ったのは飛世邸に来てからだった。

「これ、全部…リコちゃん?」

裏庭にはゴロゴロと転がっている飛世リコに似せた人形。
そして皮肉にも愛していた娘を模したリコに殺された
呪術師、飛世十四郎。

「あの娘を一人でふら付かせるのも不安で仕方ない。ってことで
行った行った」

十四郎の書斎から舞雪を含めて数人の職員を城戸巌は追い出した。
特に舞雪だけは彼は真実を教えたくなかった。

「飛世リコはあんな姿をしているがこの呪術師を一人殺してる。
もうありゃあ人間じゃねえ。だから処分だ」

人体錬成などしてはならない。人の理として生まれたら、必ず死が
訪れる。死者蘇生は禁忌。どんなに恋焦がれても、どんなに愛していても
どんなに大切にしていても生き物である限り死が訪れる。


リコは舞雪の隣で顔を真っ赤にして俯いていた。

「ごめんなさい…お兄ちゃん何て呼んじゃった…凄く背が高かったから」
「ううん、大丈夫だよ。そんなの気にしないからさ」
「ホントに?」
「悪気が無いのは分かってるからね」
「良かった~!」

リコはすぐに笑顔を取り戻した。年相応の明るい性格。天真爛漫な
少女は見た目こそ恐らく15歳ぐらいだが言動がどうも幼児に近い。

「これは向日葵。夏の花だよ」

リコが眺める花は向日葵だった。

「不思議。このお花、ずっと上を向いてるよ?」
「このお花はまだ若い花だよ。若い花は太陽を追うように花が動くの」
「へぇ!お姉ちゃん、お花に詳しいんだね!」

その後も10分ぐらいはリコから「このお花は?」と何度も聞かれて
答えてばかりだった。

「おーい、リコちゃん」
「あ、お兄ちゃんたちだ!」
「時彦さん。何かしていたんですか?」

神結かみゆい時彦は舞雪の言葉に頷いた。

「ちょっと資料整理の手伝いをな。で、兎澤はずっとリコちゃんと
遊んでたのか?外で」
「はい。そうですよ」

時彦は上を見た。今日も太陽は変わらずこちらを照らしていた。

「暑いだろ」
「暑いです。資料整理を手伝おうとしたら、追い払われちゃって」

「親切心から言ったのに」と拗ねる舞雪に対して苦笑するが彼は
どうして舞雪だけ手伝わせないのか理由を知っている。だがそれは
自分の心の中に留めておく。

「最年少だからな。一番遊び相手に良いだろう」
「え!?お姉さん、お兄ちゃんたちの中で一番年下なの!?」

話を聞いていたリコが驚いた。

「そんなに年上に見えた?」
「だってだって、凄く物知りだったんだもん!」

物知り=年長者。あながち間違いでは無いがその場合のほとんどが
人生経験豊富故の賜物だ。若いけど博識、それは誰よりも沢山
勉強をしてきた証拠だろう。

「えぇー?もう帰っちゃうの?もっとお姉ちゃんたちと遊びたい!」
「大丈夫だよ。また明日、一緒に遊ぼうね。リコちゃん」

その約束は後何日、守ることが出来るだろうか。


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