舞雪の霊感事件日誌

弓狩ヨゾラ

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第1章「警察官になりました」

12話「ニルヴァーナ」

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【最終章 ニルヴァーナ】
涅槃という意味。ジャイナ教において「魂の解放」を現す概念だ。
小説ではついに犯人の全てと事件の全容が見えてくる。

「やっぱり…水掫涼子の弟、水掫涼。小説の犯人は被害者の弟」

舞雪のノートパソコンには水掫涼子についてのプロフィールがある。そして
彼女が操作すると何かのインタビュー記事が現れた。小説パラダイムシフトの
創作秘話だ。

『被害者のモデルは自分、そして犯人のモデルは弟』

「この最終章ね。今だから何となく分かるんだ…」

小説を置き、目を伏せる。

「霊能力者って周りから見れば普通じゃないでしょ。ニルヴァーナって最終的に
警察に見せつけるんだよ。自殺して。自分たちがあたかも被害者のように」
「俺たちに見せつけるのか。霊能力者は今の世の中では居場所がなく、死ぬしか
ないと言う事を」

時彦の言葉に頷いた。犯人は涼。彼は自分を殺させることで自身の考えが
正しいことを証明するつもりだ。姉まで使って…。



「早かったですね。待ちくたびれちゃいましたよ」

黒いコートを着た涼は銃を構える。銃口は舞雪の額に狙いを定めている。

「姉である涼子さんも巻き込んでその考えの正しさを押し付ける気?それを
真っ向から否定はしない。でも賛同もしない」
「そうでしょうね。貴方たちは可笑しい。なんで周りを憎まない?何故今を
許せるんだ!?」
「苦しんでない人なんていないよ。霊障対策課の職員は全員ね」

彼女が両手を広げた。涼は表情を綻ばせた。

「貴方には勝てませんよ…」

犯人確保。事態収束。
事情聴取の後、彼には懲役二年が下されることになった。
水掫涼子は無事に日常に戻ることが出来た。
彼が事情聴取である言葉を告げた。

「僕よりも苦しんだのに僕よりもポジティブな人っているんだなって。
そのおかげで目が覚めました」

霊能力者を全て殺し、最終的に自分も死ぬことで魂を解放する。
エピローグ。
とある警察官が語った。

『犯人もまた被害者であった。我々警察官は二つの立場の人々の気持ちを
汲まなければならない』

とある犯人は言った。

『苦しいというのは逃げているだけだった。それだけで周りを憎むのは
弱者がすること』

語り部は語る。

『全ての人々には心があり、それぞれ価値観がある。自分の物差しだけで
物事の大きさは正しく測ることは出来ない』

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