ロウの人

ムラサキ

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ロウの人

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この世界の人々は誰もが明るい輝きを持っていました。
みんないっぱい明るく輝いています。

しかし、輝きを持たない人がいました。
その人の体はロウでできていたのです。

ロウの人はみんなのように輝きたいけれど、輝きを持ってしまうと、溶けて無くなってしまいます。また、輝きを持っているみんなに近づけないのです。
ロウの人はその事に悲しみを抱きました。

しかし、その代わりにみんなには無くて自分にはあるものを見つけたのです。

それはみんなの輝きの色と大きさが違って見える事でした。

ロウの人はみんなの個性や感情が分かる人でした。

ある時、ロウの人は輝きが小さくなっている子が座り込んでいるを見つけました。

ロウの人はその子に駆け寄りました。
しかし、その子の輝きに近づけば近づくほどロウの人の体は溶けていきます。

ロウの人は怖くなりましたが、悲しんでいる子を置いて行けず、その場に居続け、話を聞きました。

するとロウの人の溶け始めた体のロウがその子の輝きに一滴落ちました。

たちまちその子の輝きは大きくなりました。

その子はロウの人にありがとうと笑顔で言いました。

その時、ロウの人は「これが僕にできる事だ!」と大喜びしました。

それからもロウの人は輝きが小さくなっている子を見つけては、寄り添ってあげました。

体は溶けていきましたが、その子たちに寄り添っている時はロウの人も輝いていました。

そして、ロウの人はみんなと寄り添い合いながらいつまでも幸せに生きていきました。

おしまい🕯
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