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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
グレイ・ルフナー(60)
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メイソンの身柄はパーティーの翌日の早朝、王家に引き取られたそうだ。
恐らくギャヴィンの仕業に違いない。アルバート第一王子殿下の御威光で仲裁し、恩を売るという事なのだろう。抜け目ない男だ。
引き渡された時のメイソンといえば、服装が変わっており、別人のようにすっかり大人しくなっていたそうだ。
拷問を疑われたそうだけれど、身体的にはそれらしき傷痕は無かったらしい。本人は「女神によって生まれ変わった」と敬虔な修道士のような表情で供述していたそうで……一体何があったんだろう。
結局殿下の仲裁の下、キャンディ伯爵家はドルトン侯爵家とリプトン伯爵家から多大な賠償がなされた。気持ちとしては娘を殺されかけた代償として物足りないのかも知れないが、サイモン様としても殿下の手前、そこで手を打つしかない。
ただ、それでも面白くないと思われたのだろう。僕達には賠償で得られたものを足掛かりに、ドルトン侯爵領に銀行の支店を作って商売を広げる事、そしてリプトン伯爵領の商圏を支配する事を命ぜられたのである。
それは僕としてもやぶさかじゃないけれど……。
「はぁ……来月も怒涛の忙しさになるだろうな」
思わずため息を吐いた。メイソンの奴、何だってこう忙しい時期にこんなことをやらかしてくれたのか。
来月こそは久しぶりにゆっくり出来ると思ったのに。
僕はサイモン様の手紙と閉じると、もう一つの手紙を手に取った。
『私の騎士、グレイ
先日はあわやというところに駆けつけて来てくれてありがとう。とても嬉しかった。本当にあの時は生きた心地がしなかったわ。
お父様の手紙にも書かれてあったでしょうけれど、何とか丸く収まって平穏を取り戻しています。
叩かれた頬も処置が早かった事と、良いお医者様に特製の湿布をして頂いたからか、頬の腫れはすぐに回復してほとんどわからない位よ。
ラベンダー修道院に行く日までに治って本当に良かったわ。修道院長様によれば徳のある偉いお方がもうすぐいらっしゃるそうだから。例の儀式についての確認をしなければいけないわ。
お父様が仰るところの、私達の合同結婚式の最終確認。その日は家族総出で修道院へ行く事になっているの。グレイも忙しいのでしょうけれど、こればかりは時間を作っておいて下さいな。
それが終わったらいよいよお楽しみの感謝祭デートね。毎晩指折り数えているのよ。本当に待ち遠しいわ。
季節外れのタンポポに貴方への想いを託して。
貴方に聖なる愛を捧げる乙女マリーより
追伸 今日は栗を使ったお菓子みたいなパンを焼いてみたの。お口に合えばいいんだけれど。』
マリーの頬が治っているようで僕はほっとした。見た時は本当に痛々しかったから。
それよりも、と思う。タンポポの花言葉の一つが『神託』であり、『徳のある偉いお方』、『例の儀式』、『聖なる』、『乙女』――散りばめられた言葉の節々で、もうすぐ教皇猊下がいらっしゃって、聖女の儀式があるという事が示唆されている。『お父様が仰るところの』は表向きの理由という事だろう。
私的な手紙だけれど、万が一を考えて誰に読まれても大丈夫なように用心深くこんな書き方をしているに違いない。
僕は勿論その儀式に立ち会うつもりだ。聖女ともなれば歴史にも残る晴れ舞台、ましてや婚約者のマリーの一大事、立ち会わない理由はない。時間を無理やり作ってでも行かなくちゃ。
そう思いながらマリーの手紙に添えられていた小さなパンを口に含む。
「美味しい!」
疲れた体に染み渡るような、甘くてふわふわしていたパン。本当にお菓子みたいなパンだ。中に茶色い欠片が混ざった黄色いペーストが挟んである。確かに栗の味がして――僕は好きだな。
お茶ともよく合う。
「さて、もう一頑張りするか」
少し休んで元気が出た僕は、自然に来月も頑張ろうという気持ちになっていた。このパン、アールにもお裾分けしてやるとしよう。
***
調査の結果、フレールの再婚相手として挙がっているのはコドラク・オロという金貸しを営んでいる中年の男らしいという報告が上がって来た。
ルフナー子爵家の居間――僕達兄弟は祖父エディアールと父ブルックと共に報告の分析と対策について相談する。
リプトン伯爵家に手の者を潜り込ませているので、調査は比較的簡単だったとも言える。その男はカーフィ・モカと同じ背格好だとの事なので、もしかすると変装しているのかも知れない。実際にカーフィ・モカの人相絵に付け髭と鬘を書き加えてみると、正にコドラク・オロに酷似していたそうだ。
コドラクはちょうどメイソンが女遊びをして家を空けるようになった頃に外国から移住して来たらしい。フレールの父親に目通りし、気に入られて領地に住む事になり、前リプトン伯爵はこそこそと出かけては会っているとの事。たまに屋敷に招いているそうだ。恐らくフレールとも面識があるのだろう。
引き続き調査を命じた僕達は、男の詳細な来歴を待っている状態だ。
父ブルックはパイプを手に考え込んでいる。
「……その、コドラクという男は恐らくカーフィ・モカだろうとは思うがな」
「だとすれば、流石は『蛇』というべきか。執念深いのう」
「本人だとすれば逃げた後も人をやって情報を得ていたんだろうな。戻って来るタイミングがあまりにも良すぎる」
アールの言葉に祖父と僕は頷く。
「じゃろうな」
「僕もそう思う」
父がドラゴンの溜息のような紫煙を吐いた。
「しかしあくまでも現時点は推測の域を出ない。たまたま背格好がよく似た別人という事もある」
「カーフィであろうがなかろうが、『リボ払い』について見破ったような男であれば結論は同じだよ」
ただ、キャンディ伯爵家にとってはカーフィ・モカは排除すべき相手である。コドラク・オロならば命までは取らないだろうけれど、カーフィ・モカなら話は別だ。
しかし相手はなかなか尻尾を出さない。
「うっかり変装し忘れてくれれば良いんだけど、決定的な証拠がない限りはおいそれと手出しは出来ないよね」
「……俺が動いて直接フレールに聞くか」
「それは最終手段だよ、兄さん。却って警戒されてやりにくくなりそう」
「……前リプトン伯爵があっさり懐に入れたというのが気になるな。相手がカーフィ・モカだとするならば警戒し、また恨んでいそうなものだが」
「いや、そうでもないぞブルック。愛娘のフレールは既に醜聞塗れ、メイソンもあのような男で更に借金を重ねておる。そこへ救世主の如く現れて借金を返す上にフレールを妻にと申し出たならば相手が誰であれ天の助けとばかりに縋ってしまうじゃろうな」
言って祖父はテーブルの上にあった瓶からナツメヤシを取り出して齧った。僕も一つ取る。
「あり得るね」
「やはり特に注視すべきは離婚と再婚の動きだな。カーフィが男爵位を放棄して別人のままフレールと再婚することもあるのだから」
「逆に男爵位にしがみつくなら半年ぐらいで離婚と再婚の動きが出るだろうね。それを超えると爵位は抹消だもの」
庶民として貴族令嬢のフレールと結婚するのはなかなかに面倒な手続きがある。となると、男爵位は放棄しない可能性が高い。
カーフィ・モカはギリギリまで尻尾を出さないだろう。このナツメヤシのように甘くはないのだから。
しかしそれはサイモン様も同じだ。キャンディ伯爵家の手の者は僕達のよりも遥かに腕が良いだろうから、突き止めるのも時間の問題だろう。そしてきっとクジャクのように蛇を殺す。
「一応このことはサイモン様に報告するとして。僕達はドルトン侯爵領やリプトン伯爵領での商売を広げていかなきゃね。銀行も株式も整った訳だし、少し余裕が出て来たから」
サイモン様からの手紙を読んだ後、僕は商売を広げる計画をいくつか考えていた。ただ賠償で得られた事業や不動産、権利が大き過ぎるのが問題で。
「商売を広げるか……カーフィの動きも考えればなるべく急いだ方が良さそうだな。ただ、二つの領地ともなると金銭的に厳しくないか?」
アールも同じ事を考えたらしい。僕は頬杖を突く。
「……そこなんだよね。金銭だけじゃない、人手と教育。幾らうちが大商会だって言っても一気にやるのは限度があるよ。優先順位付けてリプトン伯爵領を重点に集中するしかないかなぁ」
「そうするしかないじゃろうな。急速な商売の拡大は高確率で失敗するのは常識だからのう」
言って祖父が静かにお茶を啜る。クツクツと忍び笑いが聞こえて来た。
「常識――常識なぁ? ただ、生憎俺はそれが通用しない人物を知っている。グレイ、三の姫に相談してみればどうだ?」
もしかすれば突拍子もない考えを出してくるかも知れない――と面白そうに言う父ブルック。
確かに、と思う。訊くだけ訊いてみようかな。
「どうせ来月からしか動けないし、そうしてみるよ」
恐らくギャヴィンの仕業に違いない。アルバート第一王子殿下の御威光で仲裁し、恩を売るという事なのだろう。抜け目ない男だ。
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僕はサイモン様の手紙と閉じると、もう一つの手紙を手に取った。
『私の騎士、グレイ
先日はあわやというところに駆けつけて来てくれてありがとう。とても嬉しかった。本当にあの時は生きた心地がしなかったわ。
お父様の手紙にも書かれてあったでしょうけれど、何とか丸く収まって平穏を取り戻しています。
叩かれた頬も処置が早かった事と、良いお医者様に特製の湿布をして頂いたからか、頬の腫れはすぐに回復してほとんどわからない位よ。
ラベンダー修道院に行く日までに治って本当に良かったわ。修道院長様によれば徳のある偉いお方がもうすぐいらっしゃるそうだから。例の儀式についての確認をしなければいけないわ。
お父様が仰るところの、私達の合同結婚式の最終確認。その日は家族総出で修道院へ行く事になっているの。グレイも忙しいのでしょうけれど、こればかりは時間を作っておいて下さいな。
それが終わったらいよいよお楽しみの感謝祭デートね。毎晩指折り数えているのよ。本当に待ち遠しいわ。
季節外れのタンポポに貴方への想いを託して。
貴方に聖なる愛を捧げる乙女マリーより
追伸 今日は栗を使ったお菓子みたいなパンを焼いてみたの。お口に合えばいいんだけれど。』
マリーの頬が治っているようで僕はほっとした。見た時は本当に痛々しかったから。
それよりも、と思う。タンポポの花言葉の一つが『神託』であり、『徳のある偉いお方』、『例の儀式』、『聖なる』、『乙女』――散りばめられた言葉の節々で、もうすぐ教皇猊下がいらっしゃって、聖女の儀式があるという事が示唆されている。『お父様が仰るところの』は表向きの理由という事だろう。
私的な手紙だけれど、万が一を考えて誰に読まれても大丈夫なように用心深くこんな書き方をしているに違いない。
僕は勿論その儀式に立ち会うつもりだ。聖女ともなれば歴史にも残る晴れ舞台、ましてや婚約者のマリーの一大事、立ち会わない理由はない。時間を無理やり作ってでも行かなくちゃ。
そう思いながらマリーの手紙に添えられていた小さなパンを口に含む。
「美味しい!」
疲れた体に染み渡るような、甘くてふわふわしていたパン。本当にお菓子みたいなパンだ。中に茶色い欠片が混ざった黄色いペーストが挟んである。確かに栗の味がして――僕は好きだな。
お茶ともよく合う。
「さて、もう一頑張りするか」
少し休んで元気が出た僕は、自然に来月も頑張ろうという気持ちになっていた。このパン、アールにもお裾分けしてやるとしよう。
***
調査の結果、フレールの再婚相手として挙がっているのはコドラク・オロという金貸しを営んでいる中年の男らしいという報告が上がって来た。
ルフナー子爵家の居間――僕達兄弟は祖父エディアールと父ブルックと共に報告の分析と対策について相談する。
リプトン伯爵家に手の者を潜り込ませているので、調査は比較的簡単だったとも言える。その男はカーフィ・モカと同じ背格好だとの事なので、もしかすると変装しているのかも知れない。実際にカーフィ・モカの人相絵に付け髭と鬘を書き加えてみると、正にコドラク・オロに酷似していたそうだ。
コドラクはちょうどメイソンが女遊びをして家を空けるようになった頃に外国から移住して来たらしい。フレールの父親に目通りし、気に入られて領地に住む事になり、前リプトン伯爵はこそこそと出かけては会っているとの事。たまに屋敷に招いているそうだ。恐らくフレールとも面識があるのだろう。
引き続き調査を命じた僕達は、男の詳細な来歴を待っている状態だ。
父ブルックはパイプを手に考え込んでいる。
「……その、コドラクという男は恐らくカーフィ・モカだろうとは思うがな」
「だとすれば、流石は『蛇』というべきか。執念深いのう」
「本人だとすれば逃げた後も人をやって情報を得ていたんだろうな。戻って来るタイミングがあまりにも良すぎる」
アールの言葉に祖父と僕は頷く。
「じゃろうな」
「僕もそう思う」
父がドラゴンの溜息のような紫煙を吐いた。
「しかしあくまでも現時点は推測の域を出ない。たまたま背格好がよく似た別人という事もある」
「カーフィであろうがなかろうが、『リボ払い』について見破ったような男であれば結論は同じだよ」
ただ、キャンディ伯爵家にとってはカーフィ・モカは排除すべき相手である。コドラク・オロならば命までは取らないだろうけれど、カーフィ・モカなら話は別だ。
しかし相手はなかなか尻尾を出さない。
「うっかり変装し忘れてくれれば良いんだけど、決定的な証拠がない限りはおいそれと手出しは出来ないよね」
「……俺が動いて直接フレールに聞くか」
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「……前リプトン伯爵があっさり懐に入れたというのが気になるな。相手がカーフィ・モカだとするならば警戒し、また恨んでいそうなものだが」
「いや、そうでもないぞブルック。愛娘のフレールは既に醜聞塗れ、メイソンもあのような男で更に借金を重ねておる。そこへ救世主の如く現れて借金を返す上にフレールを妻にと申し出たならば相手が誰であれ天の助けとばかりに縋ってしまうじゃろうな」
言って祖父はテーブルの上にあった瓶からナツメヤシを取り出して齧った。僕も一つ取る。
「あり得るね」
「やはり特に注視すべきは離婚と再婚の動きだな。カーフィが男爵位を放棄して別人のままフレールと再婚することもあるのだから」
「逆に男爵位にしがみつくなら半年ぐらいで離婚と再婚の動きが出るだろうね。それを超えると爵位は抹消だもの」
庶民として貴族令嬢のフレールと結婚するのはなかなかに面倒な手続きがある。となると、男爵位は放棄しない可能性が高い。
カーフィ・モカはギリギリまで尻尾を出さないだろう。このナツメヤシのように甘くはないのだから。
しかしそれはサイモン様も同じだ。キャンディ伯爵家の手の者は僕達のよりも遥かに腕が良いだろうから、突き止めるのも時間の問題だろう。そしてきっとクジャクのように蛇を殺す。
「一応このことはサイモン様に報告するとして。僕達はドルトン侯爵領やリプトン伯爵領での商売を広げていかなきゃね。銀行も株式も整った訳だし、少し余裕が出て来たから」
サイモン様からの手紙を読んだ後、僕は商売を広げる計画をいくつか考えていた。ただ賠償で得られた事業や不動産、権利が大き過ぎるのが問題で。
「商売を広げるか……カーフィの動きも考えればなるべく急いだ方が良さそうだな。ただ、二つの領地ともなると金銭的に厳しくないか?」
アールも同じ事を考えたらしい。僕は頬杖を突く。
「……そこなんだよね。金銭だけじゃない、人手と教育。幾らうちが大商会だって言っても一気にやるのは限度があるよ。優先順位付けてリプトン伯爵領を重点に集中するしかないかなぁ」
「そうするしかないじゃろうな。急速な商売の拡大は高確率で失敗するのは常識だからのう」
言って祖父が静かにお茶を啜る。クツクツと忍び笑いが聞こえて来た。
「常識――常識なぁ? ただ、生憎俺はそれが通用しない人物を知っている。グレイ、三の姫に相談してみればどうだ?」
もしかすれば突拍子もない考えを出してくるかも知れない――と面白そうに言う父ブルック。
確かに、と思う。訊くだけ訊いてみようかな。
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