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第一章 今、天使って言った?
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「実はそうなの。その闇を持った子が、この学校にいることがわかったから」
「子供なの?」
「闇の波長からして、間違いないと思う。子供の波長は、大人よりずっとシンプルだから。でも、うまく隠れているみたいで、どうしてもその子が見つけられないのよ。その間にも、髪を切る事件は続いているのに」
萌ちゃんが、表情を引き締める。それは、いつものふわふわした萌ちゃんじゃない。
「髪を切ることに何の意味があるのか……もしかしたら今回の件は、妬みや欲がからんでるんじゃないかな、って気がする。早くその子を見つけ出して、次の被害者を出すことだけは防がなくちゃ」
「そうなんだ」
人の髪を勝手に切っちゃうなんて、ひどい。一体、どんな子がそんなことをしているんだろう。
……でも。
心に闇を作るって、どんな気持ちなのかな。きっと、楽しくはないよね。その子、ちゃんと、笑えているのかな。……辛く、ないかな。
そう考えたら、胸が、きゅ、と痛くなった。
「私にもっと力があったらすぐにでも見つけられるのに……」
悔しそうに、萌ちゃんが言った。
「見つけるって、どうするの?」
「大きい闇になれば私にも見ることができるようになるの。でも小さいうちは、見えにくくて……実際に近くに寄ってみればある程度判断できるから、それらしき人を探しているのよ。すぐわかる場合もあるし、なかなか目星がつかない場合もあるわ」
「難しいんだね」
「そうね。本当は今回みたいにすでに被害が出ている場合は、もう少し上の天使様がいらっしゃる案件なんだけど、天界も人手不足でね。どなたかのお手があくまで、ということで、とりあえず私が調査に来たの」
萌ちゃんが仕事に疲れたサラリーマンみたいなことを言い出したので、私はつい、笑ってしまった。けどそんな場合じゃないと思いなおして、あわてて私も、表情を引き締める。
「早くみつかるといいね」
「そうね。今は記憶を調整することばかりに体力を使ってむだに倒れちゃうから、なかなか調査も進まなくて。だめだなあ、私」
「え?」
子供らしくないため息をついた萌ちゃんは、は、と我に返ったように口元を手で隠した。
「もしかして、萌ちゃんが先週倒れたのって、その力を使ったせいなの?」
「ん……実は、そう。恥ずかしいわね。与えられた仕事すら、満足にできないなんて」
萌ちゃんが泣きそうな顔で言った。萌ちゃんのそんな顔は、初めて見る。
「ううん、そんなことないよ。だって、誰も事件のこと気づかずに普通に学校に来てるもの。それって、萌ちゃんの力のおかげでしょ? すごいよ! 萌ちゃんは、こっそりとみんなを守っているんだね」
私が言うと萌ちゃんは目を丸くしてから、くしゃりと笑った。
「ありがと。美優ちゃんがそう言ってくれると、私も元気になれるわ」
疲れたような顔の萌ちゃんが、私の言葉で元気になってくれるのは嬉しい。
もっともっと元気になってくれたら、もっと嬉しい。
「そうだわ」
ふと、萌ちゃんが思いついたように言う。
「美優ちゃん、よかったら私のお手伝いしてくれないかしら?」
「お手伝い?」
「ええ。ねたみを持った子を探すお手伝い。そんな難しいことじゃないわ」
「私が?! 無理無理無理無理! 絶対できないよ!」
私がぶんぶんと首を振ると、萌ちゃんは芝生に手をついて身を乗り出した。
「子供なの?」
「闇の波長からして、間違いないと思う。子供の波長は、大人よりずっとシンプルだから。でも、うまく隠れているみたいで、どうしてもその子が見つけられないのよ。その間にも、髪を切る事件は続いているのに」
萌ちゃんが、表情を引き締める。それは、いつものふわふわした萌ちゃんじゃない。
「髪を切ることに何の意味があるのか……もしかしたら今回の件は、妬みや欲がからんでるんじゃないかな、って気がする。早くその子を見つけ出して、次の被害者を出すことだけは防がなくちゃ」
「そうなんだ」
人の髪を勝手に切っちゃうなんて、ひどい。一体、どんな子がそんなことをしているんだろう。
……でも。
心に闇を作るって、どんな気持ちなのかな。きっと、楽しくはないよね。その子、ちゃんと、笑えているのかな。……辛く、ないかな。
そう考えたら、胸が、きゅ、と痛くなった。
「私にもっと力があったらすぐにでも見つけられるのに……」
悔しそうに、萌ちゃんが言った。
「見つけるって、どうするの?」
「大きい闇になれば私にも見ることができるようになるの。でも小さいうちは、見えにくくて……実際に近くに寄ってみればある程度判断できるから、それらしき人を探しているのよ。すぐわかる場合もあるし、なかなか目星がつかない場合もあるわ」
「難しいんだね」
「そうね。本当は今回みたいにすでに被害が出ている場合は、もう少し上の天使様がいらっしゃる案件なんだけど、天界も人手不足でね。どなたかのお手があくまで、ということで、とりあえず私が調査に来たの」
萌ちゃんが仕事に疲れたサラリーマンみたいなことを言い出したので、私はつい、笑ってしまった。けどそんな場合じゃないと思いなおして、あわてて私も、表情を引き締める。
「早くみつかるといいね」
「そうね。今は記憶を調整することばかりに体力を使ってむだに倒れちゃうから、なかなか調査も進まなくて。だめだなあ、私」
「え?」
子供らしくないため息をついた萌ちゃんは、は、と我に返ったように口元を手で隠した。
「もしかして、萌ちゃんが先週倒れたのって、その力を使ったせいなの?」
「ん……実は、そう。恥ずかしいわね。与えられた仕事すら、満足にできないなんて」
萌ちゃんが泣きそうな顔で言った。萌ちゃんのそんな顔は、初めて見る。
「ううん、そんなことないよ。だって、誰も事件のこと気づかずに普通に学校に来てるもの。それって、萌ちゃんの力のおかげでしょ? すごいよ! 萌ちゃんは、こっそりとみんなを守っているんだね」
私が言うと萌ちゃんは目を丸くしてから、くしゃりと笑った。
「ありがと。美優ちゃんがそう言ってくれると、私も元気になれるわ」
疲れたような顔の萌ちゃんが、私の言葉で元気になってくれるのは嬉しい。
もっともっと元気になってくれたら、もっと嬉しい。
「そうだわ」
ふと、萌ちゃんが思いついたように言う。
「美優ちゃん、よかったら私のお手伝いしてくれないかしら?」
「お手伝い?」
「ええ。ねたみを持った子を探すお手伝い。そんな難しいことじゃないわ」
「私が?! 無理無理無理無理! 絶対できないよ!」
私がぶんぶんと首を振ると、萌ちゃんは芝生に手をついて身を乗り出した。
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