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第二章 ちょっと怖いけどがんばってみる!
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うちの学校は、各学年が四クラスまである。三階について最初の教室は、六年四組だ。そこが私の目指すクラス。ちょうどそのクラスの前に、何人かの女子が固まって話をしていた。
あ、みっけ。
私は一つ深呼吸をした。
「楓ちゃん……楓ちゃん」
「あれ、美優ちゃん?」
彼女が、園芸委員長の小野田楓ちゃんだ。
「楓ちゃん、ちょっといい?」
「どうしたの?」
「うん、あのさ、楓ちゃんのクラスに、モデルの人いたよね?」
「仁美さんのこと?」
「えっと、名前は知らないけど」
楓ちゃんは、ドアから首を突っ込んでクラスを見回すけれど、その人はいないようだった。
「今はいないけど、今日は登校してきているわよ。ここ一週間くらい、何かの撮影が入ってるとかでいたりいなかったりだけど。トイレにでも行っているのかな。……あ、戻ってきた」
きょろきょろしていた楓ちゃんが、私の後ろの方を見て言った。
振り返ると、数人の女子がこっちへ歩いて来るところだった。
わあ。
一目見てわかった。その真ん中にいる背の高い美人な女の子、きっとあの子だ。他の子もかわいい子ばかりだったけど、全然存在感が違う。
大きくて黒い目。あごもほっそりとしてて、きゅ、と結ばれた唇が白い肌に浮いてきれいなピンク色をしている。
遠くからは時々見たことがあるけど、こんな近くであらためて見るのは初めて。やっぱり、きれいな人だなあ。
うっとりとその人に見とれる私に、楓ちゃんが声をかけた。
「仁美さんに何か用なの?」
「え、ううん、えーっと……友達が『やつきガーデン』に出るって話をしてて、そういえばモデルの人いたな、って思い出したの。そのモデルさんも載ったことってあるの?」
「ああ、『リトルガールズ』でしょ。よくうちの学校の子も出てるよね。仁美さんは載ったことないわよ。あれ、素人を載せるコーナーだから。彼女、プロだもん。」
ちょうどその時、その人たちが私たちの横を通って教室に入っていった。その後ろ姿を見送って、楓ちゃんがこっそりと教えてくれる。
「宮崎仁美さんていうんだけど、彼女は小さい頃からプロのモデルやってるの。美人だよね」
「そうだね」
でも、その髪は、長いけれどふわふわした茶色いくせっ毛だった。パーマなのかもともとなのか、私には区別がつかなかった。なんにしろ、黒髪じゃないから彼女が狙われることはないか。
「でも、最近は、あんまりお仕事してないみたい」
「え?」
「私、三年から彼女と同じクラスなんだけど、去年くらいまではしょっちゅうママが迎えに来て学校が終わったらすぐ仕事って感じで忙しかったのよ。でも、今年に入ってからはそれほどでもないかな。レッスンだとかなんだとかで早退、遅刻はあいかわらず多いけど」
「そうなんだ」
「私、ちょっと苦手だな、宮崎さん」
すると、ちらちらと私たちの話を聞いていた女子が、話に入ってきた。
あ、みっけ。
私は一つ深呼吸をした。
「楓ちゃん……楓ちゃん」
「あれ、美優ちゃん?」
彼女が、園芸委員長の小野田楓ちゃんだ。
「楓ちゃん、ちょっといい?」
「どうしたの?」
「うん、あのさ、楓ちゃんのクラスに、モデルの人いたよね?」
「仁美さんのこと?」
「えっと、名前は知らないけど」
楓ちゃんは、ドアから首を突っ込んでクラスを見回すけれど、その人はいないようだった。
「今はいないけど、今日は登校してきているわよ。ここ一週間くらい、何かの撮影が入ってるとかでいたりいなかったりだけど。トイレにでも行っているのかな。……あ、戻ってきた」
きょろきょろしていた楓ちゃんが、私の後ろの方を見て言った。
振り返ると、数人の女子がこっちへ歩いて来るところだった。
わあ。
一目見てわかった。その真ん中にいる背の高い美人な女の子、きっとあの子だ。他の子もかわいい子ばかりだったけど、全然存在感が違う。
大きくて黒い目。あごもほっそりとしてて、きゅ、と結ばれた唇が白い肌に浮いてきれいなピンク色をしている。
遠くからは時々見たことがあるけど、こんな近くであらためて見るのは初めて。やっぱり、きれいな人だなあ。
うっとりとその人に見とれる私に、楓ちゃんが声をかけた。
「仁美さんに何か用なの?」
「え、ううん、えーっと……友達が『やつきガーデン』に出るって話をしてて、そういえばモデルの人いたな、って思い出したの。そのモデルさんも載ったことってあるの?」
「ああ、『リトルガールズ』でしょ。よくうちの学校の子も出てるよね。仁美さんは載ったことないわよ。あれ、素人を載せるコーナーだから。彼女、プロだもん。」
ちょうどその時、その人たちが私たちの横を通って教室に入っていった。その後ろ姿を見送って、楓ちゃんがこっそりと教えてくれる。
「宮崎仁美さんていうんだけど、彼女は小さい頃からプロのモデルやってるの。美人だよね」
「そうだね」
でも、その髪は、長いけれどふわふわした茶色いくせっ毛だった。パーマなのかもともとなのか、私には区別がつかなかった。なんにしろ、黒髪じゃないから彼女が狙われることはないか。
「でも、最近は、あんまりお仕事してないみたい」
「え?」
「私、三年から彼女と同じクラスなんだけど、去年くらいまではしょっちゅうママが迎えに来て学校が終わったらすぐ仕事って感じで忙しかったのよ。でも、今年に入ってからはそれほどでもないかな。レッスンだとかなんだとかで早退、遅刻はあいかわらず多いけど」
「そうなんだ」
「私、ちょっと苦手だな、宮崎さん」
すると、ちらちらと私たちの話を聞いていた女子が、話に入ってきた。
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