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第二章 ちょっと怖いけどがんばってみる!
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「きれいな人だったよ。子供のころからずっとモデルやってて、学校には来たり来なかったりだって。でも今はあんまりお仕事はやってないって、楓ちゃんが言ってた。楓ちゃんの周りの女子は、彼女が気取ってるとかであまり仲よさそうじゃなかったなあ」
笑ったところを見なかったからちょっと冷たい感じはしたけど、それでもすごい美人さんだった。
「そうなのね……」
萌ちゃんは、私の話を聞いてなにやら考え込んでいた。
「低学年での被害は出ていないから、心配なのは、五、六年生の人たちね。その人たちが被害に遭わないようにできれば薄い結界を張っておきたいけれど……私の力じゃ、一度にできるのは二人くらいまでかな。来週になれば、上級の天使様がきてくれるから、それまではこれ以上被害を出さないようにしないと」
「けっかい?」
「ええ。闇の心を持つ人がその力で手出しできないように、ええと、見えない膜でおおって守る、って感じかしら。一番いいのは、これ以上の被害者を出さないように早く該当者を見つけることなんだけど」
「誰が闇の心を持っているのかって、萌ちゃん、わかるの?」
「近くにいれば、見えるのよ。私も注意して学校の中を見ているけど、今のところ見当たらないの。うまく隠しているのか、それとも、私の探し方が悪いのかしら」
「お待たせー!」
そこに、莉子ちゃんたちが戻ってきた。莉子ちゃんたちの班は、六時間目にあった理科の後片付け当番だ。
「お疲れさま」
「あ、美優さん。ちょうどよかった」
「なに、慎君?」
一緒に戻ってきた慎君が、まっすぐに私の方にやってきた。
「中尾先生が、明後日の委員会の資料、心配してたよ。どうなっているのかって」
中尾先生は理科の先生で、私が副委員長を務める園芸委員会の顧問だ。
「あれは瑠奈ちゃんがやっているの。多分、もうできているとは思うけど」
「瑠奈ちゃん?」
「一組の谷本瑠奈さん。知ってる?」
「あー……」
そういえば、あれ、どうなったのかな。手伝わなくても大丈夫だって言うからまかせちゃったけど、集計とか大変だったんじゃないだろうか。
明日、確認してみなきゃ。
すると、慎君はちらりと莉子ちゃんたちの方を見ると、内緒話でもするみたいに私に顔を近づけてきて声をひそめた。
「ねえ、美優さん」
「何?」
「谷本さん、大丈夫?」
「大丈夫……って、何が?」
「副委員長の仕事、一緒にしてるんだよね。彼女の……」
「慎君」
慎君の話の途中で彼を呼ぶ声がして、二人で振り返る。と、教室のドアから安永さんがのぞいていた。
「慎君、終わった? 待ってたのよ」
「なになに、慎之介、デートの約束?」
にやにやしながら言った莉子ちゃんに、慎君は笑いながら答えた。
「違うよ、塾が一緒なんだ」
私は、教室に入ってきた安永さんを見てどきりとする。
そうだ。安永さんも、きれいな長い髪。
笑ったところを見なかったからちょっと冷たい感じはしたけど、それでもすごい美人さんだった。
「そうなのね……」
萌ちゃんは、私の話を聞いてなにやら考え込んでいた。
「低学年での被害は出ていないから、心配なのは、五、六年生の人たちね。その人たちが被害に遭わないようにできれば薄い結界を張っておきたいけれど……私の力じゃ、一度にできるのは二人くらいまでかな。来週になれば、上級の天使様がきてくれるから、それまではこれ以上被害を出さないようにしないと」
「けっかい?」
「ええ。闇の心を持つ人がその力で手出しできないように、ええと、見えない膜でおおって守る、って感じかしら。一番いいのは、これ以上の被害者を出さないように早く該当者を見つけることなんだけど」
「誰が闇の心を持っているのかって、萌ちゃん、わかるの?」
「近くにいれば、見えるのよ。私も注意して学校の中を見ているけど、今のところ見当たらないの。うまく隠しているのか、それとも、私の探し方が悪いのかしら」
「お待たせー!」
そこに、莉子ちゃんたちが戻ってきた。莉子ちゃんたちの班は、六時間目にあった理科の後片付け当番だ。
「お疲れさま」
「あ、美優さん。ちょうどよかった」
「なに、慎君?」
一緒に戻ってきた慎君が、まっすぐに私の方にやってきた。
「中尾先生が、明後日の委員会の資料、心配してたよ。どうなっているのかって」
中尾先生は理科の先生で、私が副委員長を務める園芸委員会の顧問だ。
「あれは瑠奈ちゃんがやっているの。多分、もうできているとは思うけど」
「瑠奈ちゃん?」
「一組の谷本瑠奈さん。知ってる?」
「あー……」
そういえば、あれ、どうなったのかな。手伝わなくても大丈夫だって言うからまかせちゃったけど、集計とか大変だったんじゃないだろうか。
明日、確認してみなきゃ。
すると、慎君はちらりと莉子ちゃんたちの方を見ると、内緒話でもするみたいに私に顔を近づけてきて声をひそめた。
「ねえ、美優さん」
「何?」
「谷本さん、大丈夫?」
「大丈夫……って、何が?」
「副委員長の仕事、一緒にしてるんだよね。彼女の……」
「慎君」
慎君の話の途中で彼を呼ぶ声がして、二人で振り返る。と、教室のドアから安永さんがのぞいていた。
「慎君、終わった? 待ってたのよ」
「なになに、慎之介、デートの約束?」
にやにやしながら言った莉子ちゃんに、慎君は笑いながら答えた。
「違うよ、塾が一緒なんだ」
私は、教室に入ってきた安永さんを見てどきりとする。
そうだ。安永さんも、きれいな長い髪。
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