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第五章 聞いてない!って言いたいのに
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「……では、各班長はそれぞれの意見をお願いします。えーと、まずは記録班から」
「はい」
楓ちゃんが言うと、まずは関根さんが立ち上がった。
「記録班では、これまで日誌のかたちで残していた花壇などの記録を、来年からはデータ保存も加えていくことを提案します。写真などのデータもプリントせずに必要な物だけそのまま……」
その後に、道具班、広報班、会報班と続いて、問題なく議題は終了した。
無事終わってよかったあ。昨日、走ったかいがあったよ。うんうん。
私は、ほ、と胸をなでおろす。
一応前回の委員会では各班長にまとめるように話は出ていたから、昨日渡したプリントもちゃんと内容がまとまっている。でも、悪いことしちゃったことにはかわりないもの。今度は気をつけよう。確認大事。
「次に、学級で使用する花壇について話し合います。先月全校からとったアンケートの結果ですが、このようになりました」
楓ちゃんに言われて、私は用意していたプリントを配るために立ち上がろうとした。ちゃんと朝、先生に見せてオッケーもらったやつだ。
「あ、私がやるから美優ちゃんはいいよ」
すると、急に隣に座っていた瑠奈ちゃんが小さな声で言って、私の手からプリントを持ち上げる。
「え、でも……」
「いいっていいって。昨日はまかせちゃったからこれくらい」
「そう……?」
戸惑いながらも、私はまた席に座った。瑠奈ちゃんは、手にしたプリントをみんなに配り始める。
「アンケートの結果でーす。はい、どうぞ」
私も手元のプリントを眺める。夕べ遅くまでかかっちゃったけど、間にあって良かった。
にこにことそれを眺めていると、向こうの方から瑠奈ちゃんたちが話しているのが聞こえた。
「谷本さん、大変だったねー。よくまとめてあるじゃない」
「手伝わなくてごめんねー」
それは、四組の委員の人だった。
そっか。前回瑠奈ちゃんがこれをやるって委員会で話がでたから、みんな瑠奈ちゃんがやったと思ってるんだ。
「数が多かったから大変だったよー。でも、委員会に必要なものだもんね。副委員長の仕事だし」
え?
瑠奈ちゃんは四組の人の言葉を否定することなく、次の人へとプリントを渡してる。
その言い方じゃまるでこれ、瑠奈ちゃんが作ったみたいだよ。
みんなにお疲れ、と言われて、瑠奈ちゃんは同じような会話を繰り返している。
でも……これ、やったのは……
今頃きっと、私の背中にもあの黒いもやがにょきにょきと伸びている気がする。
「最後に、中尾先生、お願いします」
すべての議題が終わって、中尾先生が立ち上がる。
「年が明けたらすぐ、児童会長選挙が始まるな。それにあわせて委員会の方も引継ぎを……」
先生の声が遠くで聞こえる。
きっとみんな、あのアンケートは瑠奈ちゃんがやったことだと思っているだろうな。
でも、やってないくせに、なんてここで声を上げるのも変だし……
がんばったのに。颯太だって、遅くまで手伝ってくれたのに。
「次の委員への引継ぎの資料も用意しておけよ。今回のようにぎりぎりで資料の提出をすることのないよう、次回は気をつけるように」
じろり、と確かに中尾先生は私の方を見て言った。その目が怖くて、思わず肩をすくめる。
「はい」
楓ちゃんが言うと、まずは関根さんが立ち上がった。
「記録班では、これまで日誌のかたちで残していた花壇などの記録を、来年からはデータ保存も加えていくことを提案します。写真などのデータもプリントせずに必要な物だけそのまま……」
その後に、道具班、広報班、会報班と続いて、問題なく議題は終了した。
無事終わってよかったあ。昨日、走ったかいがあったよ。うんうん。
私は、ほ、と胸をなでおろす。
一応前回の委員会では各班長にまとめるように話は出ていたから、昨日渡したプリントもちゃんと内容がまとまっている。でも、悪いことしちゃったことにはかわりないもの。今度は気をつけよう。確認大事。
「次に、学級で使用する花壇について話し合います。先月全校からとったアンケートの結果ですが、このようになりました」
楓ちゃんに言われて、私は用意していたプリントを配るために立ち上がろうとした。ちゃんと朝、先生に見せてオッケーもらったやつだ。
「あ、私がやるから美優ちゃんはいいよ」
すると、急に隣に座っていた瑠奈ちゃんが小さな声で言って、私の手からプリントを持ち上げる。
「え、でも……」
「いいっていいって。昨日はまかせちゃったからこれくらい」
「そう……?」
戸惑いながらも、私はまた席に座った。瑠奈ちゃんは、手にしたプリントをみんなに配り始める。
「アンケートの結果でーす。はい、どうぞ」
私も手元のプリントを眺める。夕べ遅くまでかかっちゃったけど、間にあって良かった。
にこにことそれを眺めていると、向こうの方から瑠奈ちゃんたちが話しているのが聞こえた。
「谷本さん、大変だったねー。よくまとめてあるじゃない」
「手伝わなくてごめんねー」
それは、四組の委員の人だった。
そっか。前回瑠奈ちゃんがこれをやるって委員会で話がでたから、みんな瑠奈ちゃんがやったと思ってるんだ。
「数が多かったから大変だったよー。でも、委員会に必要なものだもんね。副委員長の仕事だし」
え?
瑠奈ちゃんは四組の人の言葉を否定することなく、次の人へとプリントを渡してる。
その言い方じゃまるでこれ、瑠奈ちゃんが作ったみたいだよ。
みんなにお疲れ、と言われて、瑠奈ちゃんは同じような会話を繰り返している。
でも……これ、やったのは……
今頃きっと、私の背中にもあの黒いもやがにょきにょきと伸びている気がする。
「最後に、中尾先生、お願いします」
すべての議題が終わって、中尾先生が立ち上がる。
「年が明けたらすぐ、児童会長選挙が始まるな。それにあわせて委員会の方も引継ぎを……」
先生の声が遠くで聞こえる。
きっとみんな、あのアンケートは瑠奈ちゃんがやったことだと思っているだろうな。
でも、やってないくせに、なんてここで声を上げるのも変だし……
がんばったのに。颯太だって、遅くまで手伝ってくれたのに。
「次の委員への引継ぎの資料も用意しておけよ。今回のようにぎりぎりで資料の提出をすることのないよう、次回は気をつけるように」
じろり、と確かに中尾先生は私の方を見て言った。その目が怖くて、思わず肩をすくめる。
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