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第六章 大きくなりすぎた心の闇は
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けれど、転んだのは莉子ちゃんだけじゃなかった。莉子ちゃんに腕をつかまれていた私まで、一緒に机のわきに倒れ込んでしまった。
「何すんのよ!」
莉子ちゃんは立ち上がりながら、私も起こしてくれる。
「美優、大丈夫?」
「うん、莉子ちゃんも……」
「おい、いいかげんにしろよ」
それまでまわりも黙って見ていたけど、さすがに颯太が声をかけてきた。
「口げんかくらいならほっとけるけど、ケガさせるようなまねやめろよ。だいたい、恵さん、それで怒ってたんだろ? 自分が同じことして、どうするんだよ」
「だって……莉子さんが悪いのよ。なんで莉子さんはよくて私はだめなのよ」
「莉子だってだめだろ。どっちもどっちだよ。莉子は謝ったんだから、それでもういいだろ? なあ、皐月さん」
さっちゃんは、黙ったままこくりとうなずく。
「何よ……」
恵さんは、き、と颯太を睨んだ。その瞬間、背中にある黒いもやが、ぐわあと大きくなって私は息をのんだ。
恵さん……?
「みんなして莉子さんばっかりかばって……そんな風に甘やかしているから、莉子さんがつけ上げるのよ! 親だっていいかげんだから、簡単に離婚なんてするんでしょ?!」
恵さんが言った一言に、私を含めてクラスのみんなが固まった。
私は、とっさに莉子ちゃんの顔を見る。莉子ちゃんも驚いた顔をしていた。あの話は、クラスの誰にも言ってないのに。
「なに……?」
颯太も、きょとんとした顔をしている。恵さんは、得意げな顔で言った。
「うちのママはPTA会長だから知ってるのよ。あんたんち、ついに親が離婚だってね。今までだって忙しいなんて適当な口実ばかり作って、ろくに学校行事にも参加しなかったじゃない。片親になってまた忙しくなるから、今度のPTA作業だって、都合をつけてほしいなんて図々しく言ってきたわよ。親が親なら、子も子よね。どっちもいいかげん」
がんっっ!!
あっけにとられてた私がその言葉を私が止めようとする前に、莉子ちゃんが机を思い切り叩いた。
「うるさいっ!!」
廊下まで響き渡る声に、恵さんもびくり、と体をこわばらせる。
「うるさいうるさいうるさい! そんなのあんたに関係ないでしょ!! もう、やだやだやだやだやだっ! みんな、大っ嫌い!! 死んじゃえ!!」
そう叫んで、莉子ちゃんは教室を飛び出した。
「莉子ちゃん……!」
「恵さん」
莉子ちゃんを追いかけようとした私の耳に、低く押し殺した声が聞こえた。まだ教室の中にいた沢田先生だ。
「あなた、今どれほどするどいナイフを莉子さんに投げつけたか、わかる?」
振り向いた先には、きつい目つきの沢田先生が立っていた。
うわあ、先生、怒っている。ふざけている男子を怒る時と違って、その声は静かだったけど、だからこそ、先生が心の底から怒っているのがわかった。
恵さんもそう思ったのか、青い顔をして黙って先生を見ていた。
「何すんのよ!」
莉子ちゃんは立ち上がりながら、私も起こしてくれる。
「美優、大丈夫?」
「うん、莉子ちゃんも……」
「おい、いいかげんにしろよ」
それまでまわりも黙って見ていたけど、さすがに颯太が声をかけてきた。
「口げんかくらいならほっとけるけど、ケガさせるようなまねやめろよ。だいたい、恵さん、それで怒ってたんだろ? 自分が同じことして、どうするんだよ」
「だって……莉子さんが悪いのよ。なんで莉子さんはよくて私はだめなのよ」
「莉子だってだめだろ。どっちもどっちだよ。莉子は謝ったんだから、それでもういいだろ? なあ、皐月さん」
さっちゃんは、黙ったままこくりとうなずく。
「何よ……」
恵さんは、き、と颯太を睨んだ。その瞬間、背中にある黒いもやが、ぐわあと大きくなって私は息をのんだ。
恵さん……?
「みんなして莉子さんばっかりかばって……そんな風に甘やかしているから、莉子さんがつけ上げるのよ! 親だっていいかげんだから、簡単に離婚なんてするんでしょ?!」
恵さんが言った一言に、私を含めてクラスのみんなが固まった。
私は、とっさに莉子ちゃんの顔を見る。莉子ちゃんも驚いた顔をしていた。あの話は、クラスの誰にも言ってないのに。
「なに……?」
颯太も、きょとんとした顔をしている。恵さんは、得意げな顔で言った。
「うちのママはPTA会長だから知ってるのよ。あんたんち、ついに親が離婚だってね。今までだって忙しいなんて適当な口実ばかり作って、ろくに学校行事にも参加しなかったじゃない。片親になってまた忙しくなるから、今度のPTA作業だって、都合をつけてほしいなんて図々しく言ってきたわよ。親が親なら、子も子よね。どっちもいいかげん」
がんっっ!!
あっけにとられてた私がその言葉を私が止めようとする前に、莉子ちゃんが机を思い切り叩いた。
「うるさいっ!!」
廊下まで響き渡る声に、恵さんもびくり、と体をこわばらせる。
「うるさいうるさいうるさい! そんなのあんたに関係ないでしょ!! もう、やだやだやだやだやだっ! みんな、大っ嫌い!! 死んじゃえ!!」
そう叫んで、莉子ちゃんは教室を飛び出した。
「莉子ちゃん……!」
「恵さん」
莉子ちゃんを追いかけようとした私の耳に、低く押し殺した声が聞こえた。まだ教室の中にいた沢田先生だ。
「あなた、今どれほどするどいナイフを莉子さんに投げつけたか、わかる?」
振り向いた先には、きつい目つきの沢田先生が立っていた。
うわあ、先生、怒っている。ふざけている男子を怒る時と違って、その声は静かだったけど、だからこそ、先生が心の底から怒っているのがわかった。
恵さんもそう思ったのか、青い顔をして黙って先生を見ていた。
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