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最終章 ヘイサラバサラ
嫁入りしたこた、したばってん
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シャハルは庇護の国にあるマルチノ会に帰ってからも、普段は聖名のサワを名乗るようになった。
やがてサワは海外の大学へ進学し、現在は文化相対主義に基づいた文化人類学を修めている最中だった。そのため、彼は大学都市にある学生街のアパルトマンの1室で、イオニア・プラスティラスとエリコ・マルチノの3人で、細々とルームシェア生活を送っていた。
「サワ! ちょっとこれ見てよ。やっぱり出来ちゃってた」
トイレから戻ったイオニアが、サワの前に妊娠検査薬の陽性表示を掲げた。
「よくもうちの娘を!」
知らせを受け、雪けぶる町から着の身着のまますっ飛んで来たイオニアの父、デメトリは、玄関の応対に出たサワの胸倉を掴んでから腹を1発殴った。
「ぐあっ、いや違うって! 話聞いてなかったの?」
とっさに腹筋に力を入れたものの、屈強な漁師の拳は防ぎきれなかったサワは、玄関先にうずくまりながら抗議の声を上げた。
「お前じゃなかったら、何処のどいつだと言うんだ」
「僕は面識無いから、詳しくはイオニに訊いて…」
イオニアから事情を聞き出したデメトリは、サワを引き連れて若者達が多く集まるクラブの中へと入って行った。ここまで車を運転して来たエリコは、同じく車に残ったイオニアへと話し掛けた。
「親父さんは何ていうか、即断即決だな。急にサワと意気投合しだしたと思ったら、もうボーイフレンドをとっ捕まえに来てるんだもんな」
その時既に、サワとデメトリは呑んだくれて他の娘といちゃつくイオニアのボーイフレンド、ヘンリー・サムを探し当て、責任を取れと迫っていた。
「別に良いけどさあ、結婚するなら入信して言祝ぎ受けてくんない?」
サワとデメトリは、ヘンリーから出された結婚の条件がさっぱり分からず、雪けぶる町にある教会の修道輔祭、メトディオスに相談した。
連絡を受けたメトディオスは、たちまち驚愕してイオニアと電話を代わるよう頼み、イオニアが電話口に出ると有無を言わさず結婚に大反対した。彼女がそれに反発すると、デメトリに教会まで連れて来るよう依頼し、イオニアはデメトリに引きずられるようにして一時帰郷した。到着後、イオニアは教会で延々と説得を受けた。
「ママには悪いけど、私シングルマザーにはなりたくないし、ヘンリーがまだ好きだから結婚したい。要するに、入信しなきゃいいんでしょ」
そう言って雪けぶる町からアパルトマンに戻ったイオニアは、荷物を整理してヘンリーと同棲し、その後結婚して休学した。
1年後、復学したイオニアは娘を育てながら無事大学を卒業し、食品工場で働き始めた。すると、既に働いていたヘンリーが仕事を辞めた。彼はどこにも再就職せず、飲んだくれては金を無心し遊び歩く。
「俺のこと、愛してくれてないの? 君が入信しないせいで、俺はどれだけ苦しんだか。いいよな~君は、こうしてイズミルを預かってくれる便利なゲイ友も居るもんな」
「それって僕とエリコの事?」
「当たり前だろ。なあ今度しゃぶってくれよ、サワ」
イズミルを預かりに来たサワは、悪酔いしたヘンリーの最低な発言に顔をしかめた。その隣で、エリコは冷笑しながらジョークを飛ばした。
「オレがやってもいいぜ。その代わりもーっと短くなるけどな」
やがてサワは海外の大学へ進学し、現在は文化相対主義に基づいた文化人類学を修めている最中だった。そのため、彼は大学都市にある学生街のアパルトマンの1室で、イオニア・プラスティラスとエリコ・マルチノの3人で、細々とルームシェア生活を送っていた。
「サワ! ちょっとこれ見てよ。やっぱり出来ちゃってた」
トイレから戻ったイオニアが、サワの前に妊娠検査薬の陽性表示を掲げた。
「よくもうちの娘を!」
知らせを受け、雪けぶる町から着の身着のまますっ飛んで来たイオニアの父、デメトリは、玄関の応対に出たサワの胸倉を掴んでから腹を1発殴った。
「ぐあっ、いや違うって! 話聞いてなかったの?」
とっさに腹筋に力を入れたものの、屈強な漁師の拳は防ぎきれなかったサワは、玄関先にうずくまりながら抗議の声を上げた。
「お前じゃなかったら、何処のどいつだと言うんだ」
「僕は面識無いから、詳しくはイオニに訊いて…」
イオニアから事情を聞き出したデメトリは、サワを引き連れて若者達が多く集まるクラブの中へと入って行った。ここまで車を運転して来たエリコは、同じく車に残ったイオニアへと話し掛けた。
「親父さんは何ていうか、即断即決だな。急にサワと意気投合しだしたと思ったら、もうボーイフレンドをとっ捕まえに来てるんだもんな」
その時既に、サワとデメトリは呑んだくれて他の娘といちゃつくイオニアのボーイフレンド、ヘンリー・サムを探し当て、責任を取れと迫っていた。
「別に良いけどさあ、結婚するなら入信して言祝ぎ受けてくんない?」
サワとデメトリは、ヘンリーから出された結婚の条件がさっぱり分からず、雪けぶる町にある教会の修道輔祭、メトディオスに相談した。
連絡を受けたメトディオスは、たちまち驚愕してイオニアと電話を代わるよう頼み、イオニアが電話口に出ると有無を言わさず結婚に大反対した。彼女がそれに反発すると、デメトリに教会まで連れて来るよう依頼し、イオニアはデメトリに引きずられるようにして一時帰郷した。到着後、イオニアは教会で延々と説得を受けた。
「ママには悪いけど、私シングルマザーにはなりたくないし、ヘンリーがまだ好きだから結婚したい。要するに、入信しなきゃいいんでしょ」
そう言って雪けぶる町からアパルトマンに戻ったイオニアは、荷物を整理してヘンリーと同棲し、その後結婚して休学した。
1年後、復学したイオニアは娘を育てながら無事大学を卒業し、食品工場で働き始めた。すると、既に働いていたヘンリーが仕事を辞めた。彼はどこにも再就職せず、飲んだくれては金を無心し遊び歩く。
「俺のこと、愛してくれてないの? 君が入信しないせいで、俺はどれだけ苦しんだか。いいよな~君は、こうしてイズミルを預かってくれる便利なゲイ友も居るもんな」
「それって僕とエリコの事?」
「当たり前だろ。なあ今度しゃぶってくれよ、サワ」
イズミルを預かりに来たサワは、悪酔いしたヘンリーの最低な発言に顔をしかめた。その隣で、エリコは冷笑しながらジョークを飛ばした。
「オレがやってもいいぜ。その代わりもーっと短くなるけどな」
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