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第1章 出会い
修羅場
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ということがあって、俺は数分かけて、皆を説得した。全員、俺のことを知らなかった。ふざけんな。
ちなみにロザリアに訊かなかったのは、俺に隠れて見えなかったそうだ。ふん、チビめ(俺も160ちょっとしかない)。
で、ロザリアのランクを説明すると、討伐部隊への参加は却下となった。まぁ、この流れは当然だろうな。俺がそっちの立場でもそうする。
だが、俺はロザリアの参加を説得してみせた。確かにロザリアはEランクだが、それは登録したばかりだからだ。実力だけでいったら、B……もしかしたら、Aランクと同等のものと考えている。最上級魔法をぽんぽんと連続で撃てる者は少ない。
そんな彼女がいるだけで、パーティーの負担は大きく減るだろう。それに、残りのメンバーを見るに、二人が近接職で、もう一人が治癒だった。パーティーとしても、もう一人くらい後衛が欲しかったので、ロザリアがいれば解決すると言ったのだ。
最初は却下されると思っていたのだが、途中から例の受付嬢も説得に加わってくれて、ロザリアもレッドドラゴン討伐に参加することができた。ギルド長を説得できるって……この人何者?
まぁ、やっと話を進めることができると思ったのだが、そう、うまくはいかなかった。なぜなら、俺以外にレッドドラゴンを討伐した経験がなかったのだ。だから、誰も作戦らしい作戦を立てることができなかった。
いや、俺が言おうと思えばいけるんだけどな……コイツら、俺のこと子供だからといって、話に入ろうとした時点で馬鹿にしていた。主に目線が。
だが、ロザリアのことは蔑ろにしていなかった。それどころか、ロザリアの意見をしっかりと聞き入れている。くっ! 所詮は顔か! 魔法ぶっ放したろか?
しかし、意外にも、ロザリアの作戦はレッドドラゴンに対して、非常に有効なものであった。レッドドラゴンの習性をうまく視野に入れている。もしかすると、ロザリアはドラゴンを相手に取ったことがあるのかもしれない。これは期待が持てる。
「じゃあ組み合わせだけど、私とアベルは遠距離だから分かれるわ。そこの二人も近距離だから、分かれて私たちのどっちかについて。治癒師のあんたはアベルの方が強いから、アベルの部隊にいて」
ロザリアはテキパキと俺たちを分けていく。ギルドのルールは知らないくせに、部隊のことは知ってたんだな。そもそも、脳筋の魔族が部隊を作ること自体が初耳だ。
ちなみに部隊というのは、少数のグループに分かれて、違う方面から攻めていく戦法のことだ。今回は五人なので、二人一組と三人一組の二チームに分かれて攻めるわけだ。
レッドドラゴンは基本、集団で固まっていると、ブレスを吐いて一掃してくるが、離れていると、個別に相手するといった習性を持っている。
なぜブレスを吐いてこないか知らないが、俺の予想だと、ブレスを吐くのにも制限があるとみている。だから、無駄撃ちをしたくないのではないのかと思う。
「それでは、分かれるとしますか。僕はロザリアちゃんの方に行きますから、君は向こうに行ってください」
「何を言っているんだ? ロザリアちゃんのペアは俺だろう? お前が向こうに行けよ」
「はぁ? 君こそ何を言っている。君みたいなゴツい奴が一緒だったら、ロザリアちゃんが怖がるだろ? だったら、僕が適任だ」
「お前みたいな貧弱な野郎は向こうのガキと一緒にいろよ。お似合いだぜ」
これからレッドドラゴンと戦うというのに、ロザリア争奪戦が行われていた。ロザリア人気だなぁ。魔族なのに。ロザリアが魔族だと知ったら、コイツらはどんな反応をするのだろう。手のひらクルックルかな?
ロザリアも満更ではなさそうだ。口では落ち着いてといっているが、顔はこちらが恥ずかしくなるほどに若気ている。調子乗んな。
そしてゴリマッチョ。俺のこと馬鹿にしやがったな。ガリ、お前もそんなに嫌そうな顔すんな。魔法ぶっ放すぞ。
「ほんと、男って馬鹿ね」
治癒師、それは同感だ。男っていう生き物は馬鹿ばっかりだ……俺以外。もっと言ってやれ。ついでに調子に乗っているロザリアにも。
「はぁ? 何言ってんだ、このクソ女。鏡見てから言えよ」
「本当、その通りですね」
「はぁッ!? 舐めてんの!? あんたたち、ぶっ飛ばしてやろうか!?」
「おう、やれるもんならやってみろよ」
「いくら、あなたがAランクと言っても、所詮は治癒師。戦闘では僕たちに勝てませんよ」
「言ったわね! 殺ってやろうじゃない! 歯ぁ食いしばりなさい!」
……レッドドラゴンを倒しに行くんですよね? それとロザリア、この状況を楽しむな。人間同士が争うのが、そんなに面白いか。俺は面白い。いいぞ、もっとやれ。
ちなみにロザリアに訊かなかったのは、俺に隠れて見えなかったそうだ。ふん、チビめ(俺も160ちょっとしかない)。
で、ロザリアのランクを説明すると、討伐部隊への参加は却下となった。まぁ、この流れは当然だろうな。俺がそっちの立場でもそうする。
だが、俺はロザリアの参加を説得してみせた。確かにロザリアはEランクだが、それは登録したばかりだからだ。実力だけでいったら、B……もしかしたら、Aランクと同等のものと考えている。最上級魔法をぽんぽんと連続で撃てる者は少ない。
そんな彼女がいるだけで、パーティーの負担は大きく減るだろう。それに、残りのメンバーを見るに、二人が近接職で、もう一人が治癒だった。パーティーとしても、もう一人くらい後衛が欲しかったので、ロザリアがいれば解決すると言ったのだ。
最初は却下されると思っていたのだが、途中から例の受付嬢も説得に加わってくれて、ロザリアもレッドドラゴン討伐に参加することができた。ギルド長を説得できるって……この人何者?
まぁ、やっと話を進めることができると思ったのだが、そう、うまくはいかなかった。なぜなら、俺以外にレッドドラゴンを討伐した経験がなかったのだ。だから、誰も作戦らしい作戦を立てることができなかった。
いや、俺が言おうと思えばいけるんだけどな……コイツら、俺のこと子供だからといって、話に入ろうとした時点で馬鹿にしていた。主に目線が。
だが、ロザリアのことは蔑ろにしていなかった。それどころか、ロザリアの意見をしっかりと聞き入れている。くっ! 所詮は顔か! 魔法ぶっ放したろか?
しかし、意外にも、ロザリアの作戦はレッドドラゴンに対して、非常に有効なものであった。レッドドラゴンの習性をうまく視野に入れている。もしかすると、ロザリアはドラゴンを相手に取ったことがあるのかもしれない。これは期待が持てる。
「じゃあ組み合わせだけど、私とアベルは遠距離だから分かれるわ。そこの二人も近距離だから、分かれて私たちのどっちかについて。治癒師のあんたはアベルの方が強いから、アベルの部隊にいて」
ロザリアはテキパキと俺たちを分けていく。ギルドのルールは知らないくせに、部隊のことは知ってたんだな。そもそも、脳筋の魔族が部隊を作ること自体が初耳だ。
ちなみに部隊というのは、少数のグループに分かれて、違う方面から攻めていく戦法のことだ。今回は五人なので、二人一組と三人一組の二チームに分かれて攻めるわけだ。
レッドドラゴンは基本、集団で固まっていると、ブレスを吐いて一掃してくるが、離れていると、個別に相手するといった習性を持っている。
なぜブレスを吐いてこないか知らないが、俺の予想だと、ブレスを吐くのにも制限があるとみている。だから、無駄撃ちをしたくないのではないのかと思う。
「それでは、分かれるとしますか。僕はロザリアちゃんの方に行きますから、君は向こうに行ってください」
「何を言っているんだ? ロザリアちゃんのペアは俺だろう? お前が向こうに行けよ」
「はぁ? 君こそ何を言っている。君みたいなゴツい奴が一緒だったら、ロザリアちゃんが怖がるだろ? だったら、僕が適任だ」
「お前みたいな貧弱な野郎は向こうのガキと一緒にいろよ。お似合いだぜ」
これからレッドドラゴンと戦うというのに、ロザリア争奪戦が行われていた。ロザリア人気だなぁ。魔族なのに。ロザリアが魔族だと知ったら、コイツらはどんな反応をするのだろう。手のひらクルックルかな?
ロザリアも満更ではなさそうだ。口では落ち着いてといっているが、顔はこちらが恥ずかしくなるほどに若気ている。調子乗んな。
そしてゴリマッチョ。俺のこと馬鹿にしやがったな。ガリ、お前もそんなに嫌そうな顔すんな。魔法ぶっ放すぞ。
「ほんと、男って馬鹿ね」
治癒師、それは同感だ。男っていう生き物は馬鹿ばっかりだ……俺以外。もっと言ってやれ。ついでに調子に乗っているロザリアにも。
「はぁ? 何言ってんだ、このクソ女。鏡見てから言えよ」
「本当、その通りですね」
「はぁッ!? 舐めてんの!? あんたたち、ぶっ飛ばしてやろうか!?」
「おう、やれるもんならやってみろよ」
「いくら、あなたがAランクと言っても、所詮は治癒師。戦闘では僕たちに勝てませんよ」
「言ったわね! 殺ってやろうじゃない! 歯ぁ食いしばりなさい!」
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