なぜ私に? この国の王子様が子爵令嬢の私に告白してくるのだが?

はる

文字の大きさ
7 / 11

彼女たちが知らない彼

しおりを挟む
 「……はぁ、今日もダメだったか」

 そう言いながらため息をつくのは、いつもクリスティーナにアプローチをかけているアルベルト本人である。しかし、今はいつものように堂々とした彼の姿ではなかった。

 (やはり本当のことを言うか? いや、しかし……)

 アルベルト自身、どうしてクリスティーナとの関係が進展しない理由くらいわかっている。それこそ、クリスティーナがアルベルトに会うたびに言っていることである。アルベルトがクリスティーナを好きな理由を答えれば済む話なのだが――

 「流石に言えないよな……」

 「何が言えないんだ?」

 「……ッ!? ってお前か、

 突然、声をかけられて警戒態勢を取るアルベルトだが、相手が自分の知っている人物だったので、警戒心を解く。

 実はアルベルトとガイアは幼なじみであったりする。昔から一緒に遊んでおり、今でも親友とも言える関係だ。そうでなければ、平民でなおかつ学園でも後輩のガイアが敬語も使わずに話しかけるなんてことは不敬にあたる。
 もちろん、人前では他人の振りをするが、二人だけとなるとこうして本性を現す。このことはクリスティーナはもちろん、恋人のマリアでさえ知らない関係であった。

 「まだ手こずっているようだな」

 何が、とは言わない。それはアルベルト自身がよくわかっていることだ。

 「しっかしまあ、容姿端麗、成績優秀。そしてさらには運動神経抜群となんでも出来るお前が一人の女すら落とせないなんてなぁ」

 「なっ!?」

 ガイアの物言いに思わずアルベルトは声を漏らす。しかし、ガイアの猛攻は止まらない。

 「お前だったら女も選び放題なのに、よりにもよってクリスティーナとはな……アイツのどこがよかったんだ?」

 「……お前に彼女の良さがわかるはずもない」

 「そりゃぁそうだろ? だって俺はマリア一筋だからな」

 憎らしげにアルベルトが答えるが、ガイアはあっさりと認める。彼女一筋だと。そういえば、アルベルトもガイアが何度もマリアにアプローチして現在の関係になっていることを知っている。

 「……お前は」

 「ん?」

 「お前はどんな気持ちで彼女に迫ったのだ?」

 「彼女ってマリアのことか?」

 無言――それは肯定の意味であった。ガイアは少し考え――

 「俺も諦めかけたことはあったさ。それこそ、本当にこの恋は実るのかって。もしかしたら、違う子の方がいいんじゃないかって思ったときもあった。けどな、やっぱり俺はマリアのことが好きだったから、何度ダメでも成功するまでしたよ。それである出来事がきっかけで付き合うことが出来て今に至るというわけだ」

 「ちなみにある出来事とは?」

 「それはマリアとの思い出にしたいから親友のお前でも秘密だ」

 まあ、諦めなければいずれ機会があるだろうとガイアははぐらかす。これ以上、言っても答えてはくれないだろうとアルベルトもガイアに尋ねるのをやめる。

 「それよりも、魔法大会。お前も出るんだろ?」

 「当たり前だ。クリスティーナ嬢にいいところを見せたいからな」

 「そうか……」

 (そんなことするより、本心を言った方が確実だと思うがなぁ……)

 意地としても本心を話さないアルベルトにガイアはイラつきを感じたが、初めての恋と言うことも考えると当然のことなのかもなと自分を納得させる。もしかしたら、本当に言えない理由なのかもしれない。

 (後悔だけはしてほしくないな……)

 クリスティーナにいいところを見せられることを楽しみにしているアルベルトを見て、ガイアはそう思うのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

ブサイク令嬢は、眼鏡を外せば国一番の美女でして。

みこと。
恋愛
伯爵家のひとり娘、アルドンサ・リブレは"人の死期"がわかる。 死が近づいた人間の体が、色あせて見えるからだ。 母に気味悪がれた彼女は、「眼鏡をかけていれば見えない」と主張し、大きな眼鏡を外さなくなった。 無骨な眼鏡で"ブサ令嬢"と蔑まれるアルドンサだが、そんな彼女にも憧れの人がいた。 王女の婚約者、公爵家次男のファビアン公子である。彼に助けられて以降、想いを密かに閉じ込めて、ただ姿が見れるだけで満足していたある日、ファビアンの全身が薄く見え? 「ファビアン様に死期が迫ってる!」 王女に新しい恋人が出来たため、ファビアンとの仲が危ぶまれる昨今。まさか王女に断罪される? それとも失恋を嘆いて命を絶つ? 慌てるアルドンサだったが、さらに彼女の目は、とんでもないものをとらえてしまう──。 不思議な力に悩まされてきた令嬢が、初恋相手と結ばれるハッピーエンドな物語。 幸せな結末を、ぜひご確認ください!! (※本編はヒロイン視点、全5話完結) (※番外編は第6話から、他のキャラ視点でお届けします) ※この作品は「小説家になろう」様でも掲載しています。第6~12話は「なろう」様では『浅はかな王女の末路』、第13~15話『「わたくしは身勝手な第一王女なの」〜ざまぁ後王女の見た景色〜』、第16~17話『氷砂糖の王女様』というタイトルです。

処理中です...