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彼女たちが知らない彼
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「……はぁ、今日もダメだったか」
そう言いながらため息をつくのは、いつもクリスティーナにアプローチをかけているアルベルト本人である。しかし、今はいつものように堂々とした彼の姿ではなかった。
(やはり本当のことを言うか? いや、しかし……)
アルベルト自身、どうしてクリスティーナとの関係が進展しない理由くらいわかっている。それこそ、クリスティーナがアルベルトに会うたびに言っていることである。アルベルトがクリスティーナを好きな理由を答えれば済む話なのだが――
「流石に言えないよな……」
「何が言えないんだ?」
「……ッ!? ってお前か、ガイア」
突然、声をかけられて警戒態勢を取るアルベルトだが、相手が自分の知っている人物だったので、警戒心を解く。
実はアルベルトとガイアは幼なじみであったりする。昔から一緒に遊んでおり、今でも親友とも言える関係だ。そうでなければ、平民でなおかつ学園でも後輩のガイアが敬語も使わずに話しかけるなんてことは不敬にあたる。
もちろん、人前では他人の振りをするが、二人だけとなるとこうして本性を現す。このことはクリスティーナはもちろん、恋人のマリアでさえ知らない関係であった。
「まだ手こずっているようだな」
何が、とは言わない。それはアルベルト自身がよくわかっていることだ。
「しっかしまあ、容姿端麗、成績優秀。そしてさらには運動神経抜群となんでも出来るお前が一人の女すら落とせないなんてなぁ」
「なっ!?」
ガイアの物言いに思わずアルベルトは声を漏らす。しかし、ガイアの猛攻は止まらない。
「お前だったら女も選び放題なのに、よりにもよってクリスティーナとはな……アイツのどこがよかったんだ?」
「……お前に彼女の良さがわかるはずもない」
「そりゃぁそうだろ? だって俺はマリア一筋だからな」
憎らしげにアルベルトが答えるが、ガイアはあっさりと認める。彼女一筋だと。そういえば、アルベルトもガイアが何度もマリアにアプローチして現在の関係になっていることを知っている。
「……お前は」
「ん?」
「お前はどんな気持ちで彼女に迫ったのだ?」
「彼女ってマリアのことか?」
無言――それは肯定の意味であった。ガイアは少し考え――
「俺も諦めかけたことはあったさ。それこそ、本当にこの恋は実るのかって。もしかしたら、違う子の方がいいんじゃないかって思ったときもあった。けどな、やっぱり俺はマリアのことが好きだったから、何度ダメでも成功するまでしたよ。それである出来事がきっかけで付き合うことが出来て今に至るというわけだ」
「ちなみにある出来事とは?」
「それはマリアとの思い出にしたいから親友のお前でも秘密だ」
まあ、諦めなければいずれ機会があるだろうとガイアははぐらかす。これ以上、言っても答えてはくれないだろうとアルベルトもガイアに尋ねるのをやめる。
「それよりも、魔法大会。お前も出るんだろ?」
「当たり前だ。クリスティーナ嬢にいいところを見せたいからな」
「そうか……」
(そんなことするより、本心を言った方が確実だと思うがなぁ……)
意地としても本心を話さないアルベルトにガイアはイラつきを感じたが、初めての恋と言うことも考えると当然のことなのかもなと自分を納得させる。もしかしたら、本当に言えない理由なのかもしれない。
(後悔だけはしてほしくないな……)
クリスティーナにいいところを見せられることを楽しみにしているアルベルトを見て、ガイアはそう思うのであった。
そう言いながらため息をつくのは、いつもクリスティーナにアプローチをかけているアルベルト本人である。しかし、今はいつものように堂々とした彼の姿ではなかった。
(やはり本当のことを言うか? いや、しかし……)
アルベルト自身、どうしてクリスティーナとの関係が進展しない理由くらいわかっている。それこそ、クリスティーナがアルベルトに会うたびに言っていることである。アルベルトがクリスティーナを好きな理由を答えれば済む話なのだが――
「流石に言えないよな……」
「何が言えないんだ?」
「……ッ!? ってお前か、ガイア」
突然、声をかけられて警戒態勢を取るアルベルトだが、相手が自分の知っている人物だったので、警戒心を解く。
実はアルベルトとガイアは幼なじみであったりする。昔から一緒に遊んでおり、今でも親友とも言える関係だ。そうでなければ、平民でなおかつ学園でも後輩のガイアが敬語も使わずに話しかけるなんてことは不敬にあたる。
もちろん、人前では他人の振りをするが、二人だけとなるとこうして本性を現す。このことはクリスティーナはもちろん、恋人のマリアでさえ知らない関係であった。
「まだ手こずっているようだな」
何が、とは言わない。それはアルベルト自身がよくわかっていることだ。
「しっかしまあ、容姿端麗、成績優秀。そしてさらには運動神経抜群となんでも出来るお前が一人の女すら落とせないなんてなぁ」
「なっ!?」
ガイアの物言いに思わずアルベルトは声を漏らす。しかし、ガイアの猛攻は止まらない。
「お前だったら女も選び放題なのに、よりにもよってクリスティーナとはな……アイツのどこがよかったんだ?」
「……お前に彼女の良さがわかるはずもない」
「そりゃぁそうだろ? だって俺はマリア一筋だからな」
憎らしげにアルベルトが答えるが、ガイアはあっさりと認める。彼女一筋だと。そういえば、アルベルトもガイアが何度もマリアにアプローチして現在の関係になっていることを知っている。
「……お前は」
「ん?」
「お前はどんな気持ちで彼女に迫ったのだ?」
「彼女ってマリアのことか?」
無言――それは肯定の意味であった。ガイアは少し考え――
「俺も諦めかけたことはあったさ。それこそ、本当にこの恋は実るのかって。もしかしたら、違う子の方がいいんじゃないかって思ったときもあった。けどな、やっぱり俺はマリアのことが好きだったから、何度ダメでも成功するまでしたよ。それである出来事がきっかけで付き合うことが出来て今に至るというわけだ」
「ちなみにある出来事とは?」
「それはマリアとの思い出にしたいから親友のお前でも秘密だ」
まあ、諦めなければいずれ機会があるだろうとガイアははぐらかす。これ以上、言っても答えてはくれないだろうとアルベルトもガイアに尋ねるのをやめる。
「それよりも、魔法大会。お前も出るんだろ?」
「当たり前だ。クリスティーナ嬢にいいところを見せたいからな」
「そうか……」
(そんなことするより、本心を言った方が確実だと思うがなぁ……)
意地としても本心を話さないアルベルトにガイアはイラつきを感じたが、初めての恋と言うことも考えると当然のことなのかもなと自分を納得させる。もしかしたら、本当に言えない理由なのかもしれない。
(後悔だけはしてほしくないな……)
クリスティーナにいいところを見せられることを楽しみにしているアルベルトを見て、ガイアはそう思うのであった。
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