男装ホストは未来を見る

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謎は膝枕で

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暖かなそよ風が頬を撫で膝の上で寝返りをうつ。

最上階の屋上には生徒が近づく事はほとんどなく休み時間の昼間にはよくお世話になっている場所である。
そして現在、理沙の膝の上にて睡眠中である。

「ん~…」

「ふっ …どんな夢見てるんだろ?」

理沙は愛らしい星那の寝顔を見つつ艶やかな髪を耳にかける。

……これはまた夢?いや、違う…

真夜中の学校内の教室、走る女子生徒、手の中には何かの袋、顔は見えないが女子生徒の見ている先には誰かの告白現場?

フラッシュとカットが繰り返す映像がそこで切れるのと同時に理沙の声が聞こえた。

「…まひる~焼きそばパン~!」

「ほらよ!」

ポンッ

「うっ…」

真昼が投げたらしい焼きそばパンは袋ごと理沙の手の中ではなく眠っていた星那の顔面に直撃した。

「わりぃ、星那!って寝てるか」

「起きてるよ!」

焼きそばパンを投げつけられた事に苛立ちすぐさま理沙の膝から起き上がる。

「悪いって!わざとじゃねぇんだよ!許してくれ!」

この通りと言わんばかりに手を合わせ頭を下げる真昼に一つ溜息をつく。

「はぁ…分かってるからもういいよ」

「よかった!その代わりと言っちゃ何だが星那には特別に林檎ジュース付きでやるからよ!」

「サンキュー」

真昼から林檎ジュースと袋に入っている焼きそばパンを貰い理沙の隣に腰かける。

「ところで、宮端くんはどうしたの?」

理沙は焼きそばパンの袋を開けつつ座ろうとしていた真昼に問う。

「あー、豹は委員の仕事で行けねぇって」

「委員?あいつ委員してたの?」

「あれ?星那知らなかったのか?豹のやつ図書の副委員だぞ」

知らなかった…委員なんかやってるんだな豹のやつ。
でも、豹が委員でいない時にやっと未来が見えるなんて何で急に? 

星那の脳内には今朝の大惨の散乱模様を思い出していた。

何故、あの時の未来は予知出来なかった?

その疑問が浮かんだ時、ある仮説が浮かんだ。

豹がいると未来が見えない…?

まさかとも思うしそんな訳ないとも思い首を小さく振るがいくら振っても一度思ってしまったら中々消えることはなかった。

「星那どうしたの?」

理沙の心配そうな声がかかるが脳内では豹の事が離れなかった。

「…何でもない」
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