31 / 108
少女を追って
しおりを挟む
息が…腕が…
恐怖と一緒に抱き締める豹の腕の力と耳元にかかる吐息に神経が麻痺しそうになる。
「…誰もいないな」
声と共に足音が遠ざかっていくとゆっくりと豹の胸の中から解放された。
「ぷはぁ…警備員いたんだね」
懐中電灯の光が教室に当てられた時点で足音の主は警備員だと分かった。
「ま、学校だから一人ぐらいいてもおかしくないだろ」
「そうだね、警備員に見つからないように次行こ…」
顔を見せないまま教室を出ようとすると起き上がった豹に声をかけられ足が止まる。
「おい、宿題を取りに来たんじゃなかったのか?」
ギクッ
もうここまで来たら宿題取りに来たなんて押して言えるわけないしなぁ…ん~…
「えっと…本当はその…そう!朝起きた消しゴムが消えたって話あるじゃない?また盗難とかなるかもって思って、それの犯人を探したくて…!」
くっ…思いついた限りに適当に言ったけど、やっぱ苦しいかな?
恐る恐る豹の顔色を伺うと肩を落としため息をつく。
「はぁ…もう何でもいいから終わらせて帰るぞ」
「えっ…いいの?」
「何が?」
「その、最後まで付き合ってくれるのいいのかなぁと思って…」
「めんどくさいしダルいし、何でもいいから早く終わらせたいだけ」
「そう…だよね…」
そんな豹らしい理由だが、最後まで付き合ってくれるという事に嬉しい気持ちになった。
「…ありがとう」
小さく言ったお礼の言葉は多分豹には聞こえていないと思うけど、逆にそれならいいなと思った。
*
次に比留間くんのクラスに入り比留間くんの席を探す。
「…あ、見つけた!」
机内を片っ端から探していると比留間と書かれた一冊の教科書を見つけその席が比留間くんのものだと気づいた。
「でも、何も取られてはなさそう…」
「骨折り損か?」
「多分…」
特に得られる情報がなく仕方なく教室を出ようとすると、ふとまひるの席が目に入った。
まひるの机内ってちょっと気になるかも…
好奇心でまひるの机内を覗くと分厚い一冊の保険の教科書にもう一冊なにか挟まっていた。
何だろう…?
何気なく開くと中には水着姿の女性が載っているアダルト雑誌があった。
よし、見なかった事にしよ…。
無言で閉じ直し元に戻そうとすると、その様子を疑問に思ったのか豹の手が教科書を取り上げた。
「ちょっ…」
「何だ、ただのえろ本か」
「わざわざ声に出していわんでいい!」
ドスッ!
真顔でそういう豹の足をとっさに蹴るとその拍子に持っていた教科書が落ち雑誌が露わになった。
「いてぇ…そんなもん男なら皆持ってるもんなんだから声に出すぐらい気にする事ねぇだろ」
「一応女子の前で言うのは間違ってるでしょ!」
そう反論しつつ特に動揺することも無く教科書を元に戻す。
「女子って…普通の女子なら男のえろ本なんかみたら動揺するもんじゃないか?」
「日頃ホストのバイトしてたらそこら辺に当たり前にアダルト雑誌なんてゴロゴロあるし、皆普通に堂々と読んでるの見てたら嫌でも動揺しなくなるよ」
「あー、確かに…」
豹は休憩室や更衣室の状況を思い出したのか納得というように頷く。
そりゃあ、働き始めの頃はそういうの動揺しまくりだったけど三年も働いてれば嫌でも慣れるよね…あはは
ドンッ!
だんだんと普通の女子でなくなっていっている事に今更ながら心の中で乾いた笑いを浮かべていると勢いよくドアが閉まる音がし振り返ると女子生徒と思われる影が廊下の窓を横切った。
「豹!その子追いかけてっ!」
ガタッ!
慌てたせいで机が少しずれたが今は気にしてる時間もなく急いで横切った女子生徒の影を追いかける。
恐怖と一緒に抱き締める豹の腕の力と耳元にかかる吐息に神経が麻痺しそうになる。
「…誰もいないな」
声と共に足音が遠ざかっていくとゆっくりと豹の胸の中から解放された。
「ぷはぁ…警備員いたんだね」
懐中電灯の光が教室に当てられた時点で足音の主は警備員だと分かった。
「ま、学校だから一人ぐらいいてもおかしくないだろ」
「そうだね、警備員に見つからないように次行こ…」
顔を見せないまま教室を出ようとすると起き上がった豹に声をかけられ足が止まる。
「おい、宿題を取りに来たんじゃなかったのか?」
ギクッ
もうここまで来たら宿題取りに来たなんて押して言えるわけないしなぁ…ん~…
「えっと…本当はその…そう!朝起きた消しゴムが消えたって話あるじゃない?また盗難とかなるかもって思って、それの犯人を探したくて…!」
くっ…思いついた限りに適当に言ったけど、やっぱ苦しいかな?
恐る恐る豹の顔色を伺うと肩を落としため息をつく。
「はぁ…もう何でもいいから終わらせて帰るぞ」
「えっ…いいの?」
「何が?」
「その、最後まで付き合ってくれるのいいのかなぁと思って…」
「めんどくさいしダルいし、何でもいいから早く終わらせたいだけ」
「そう…だよね…」
そんな豹らしい理由だが、最後まで付き合ってくれるという事に嬉しい気持ちになった。
「…ありがとう」
小さく言ったお礼の言葉は多分豹には聞こえていないと思うけど、逆にそれならいいなと思った。
*
次に比留間くんのクラスに入り比留間くんの席を探す。
「…あ、見つけた!」
机内を片っ端から探していると比留間と書かれた一冊の教科書を見つけその席が比留間くんのものだと気づいた。
「でも、何も取られてはなさそう…」
「骨折り損か?」
「多分…」
特に得られる情報がなく仕方なく教室を出ようとすると、ふとまひるの席が目に入った。
まひるの机内ってちょっと気になるかも…
好奇心でまひるの机内を覗くと分厚い一冊の保険の教科書にもう一冊なにか挟まっていた。
何だろう…?
何気なく開くと中には水着姿の女性が載っているアダルト雑誌があった。
よし、見なかった事にしよ…。
無言で閉じ直し元に戻そうとすると、その様子を疑問に思ったのか豹の手が教科書を取り上げた。
「ちょっ…」
「何だ、ただのえろ本か」
「わざわざ声に出していわんでいい!」
ドスッ!
真顔でそういう豹の足をとっさに蹴るとその拍子に持っていた教科書が落ち雑誌が露わになった。
「いてぇ…そんなもん男なら皆持ってるもんなんだから声に出すぐらい気にする事ねぇだろ」
「一応女子の前で言うのは間違ってるでしょ!」
そう反論しつつ特に動揺することも無く教科書を元に戻す。
「女子って…普通の女子なら男のえろ本なんかみたら動揺するもんじゃないか?」
「日頃ホストのバイトしてたらそこら辺に当たり前にアダルト雑誌なんてゴロゴロあるし、皆普通に堂々と読んでるの見てたら嫌でも動揺しなくなるよ」
「あー、確かに…」
豹は休憩室や更衣室の状況を思い出したのか納得というように頷く。
そりゃあ、働き始めの頃はそういうの動揺しまくりだったけど三年も働いてれば嫌でも慣れるよね…あはは
ドンッ!
だんだんと普通の女子でなくなっていっている事に今更ながら心の中で乾いた笑いを浮かべていると勢いよくドアが閉まる音がし振り返ると女子生徒と思われる影が廊下の窓を横切った。
「豹!その子追いかけてっ!」
ガタッ!
慌てたせいで机が少しずれたが今は気にしてる時間もなく急いで横切った女子生徒の影を追いかける。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる