男装ホストは未来を見る

変わらない日常と変わる日常

「…サラシに…カツラっと」

自室以外での元の女の姿でいないように、朝起きてまず男の姿になり部屋を出る。

ガチャ

「誰もいないよね…？」

ただ今朝の5時半という時間帯に出てすぐの二階の廊下を見渡すと奥の方で倒れている蓮の姿があった。

「蓮さん！？」

「……。」

反応のない蓮に慌てて体を揺らすが変わらなかった。

「ど、どうしよう…あ！隆二さん！」

慌てて一階の階段を駆け下り一階の隆二さんの部屋に向かった。

ドンッ

「うわっ！」

階段を降りるとすぐ目の前にいた隆二にぶつかり、その反動で床に倒れる。

「大丈夫か？」

驚きながらも差し出された隆二さんの手を掴み起き上がる。

「す、すみません…」

「そんなに慌ててどうしたんだ？」

「あ！そ、それが大変なんです！蓮さんが廊下に倒れてて揺らしてもびくともしなくて！」

「またか…」

「え？ま、また…？」

「心配するな、ただの二日酔いで寝てるだけだ」

「はぁ！？」

 ＊

ドンッ！

「痛っ！二日酔いの男に急に何すんだ」

星那は床に寝ている蓮の腹部に蹴りをいれると真顔で言い放つ。

「自業自得です。下で隆二さんが朝食作って待ってるので酔いが冷めたら来てください」

そういうと座り込んでいる蓮を置き去りに一階へと降りていった。

「あいつ隆二にだんだん似てきたんじゃねーか？」

隆二と似たような事をいう星那にこれからは迷惑かける行動はやめようと思った。

 ＊

朝食を食べ見つからないように裏口から家を出ていき学校に向かう交差点付近にて、今日は一人でいるひのちゃんを見つけた。

今日は明はいないんだな…ん？

ふと目に止まったのはすぐ近くの電柱の影に身を潜めてひのちゃんを見つめる明の姿だった。

明のやつ、やっぱりいたんだ…

親馬鹿ならず兄馬鹿の明にひのちゃんの同情もありつつも、兄にそこまで心配し大切に思われるひのちゃんが少し羨ましいと思った。