男装ホストは未来を見る

Shell

文字の大きさ
62 / 108

ハイスペック

しおりを挟む
お昼ご飯休憩を済ませ試合が再開されると五組は男女揃っての同時試合となり互いに応援は出来ず目の前の試合に集中する事になった。

「井川さん、頑張って決勝行こうね!」

「ええ、美嶋さんと平戸さんがいれば大丈夫ですわ」

「何言ってるの?井川さんの的確な指示もなかったら勝てないよ!井川さんや皆一人一人がいて勝てるんだよ?私や理沙だけじゃダメ!」

「私は美嶋さんや平戸さんみたいに周りに信頼なんてされてない…逆に嫌われてるわ。だから私がいても…」

「そんな事ない!井川さんが何でそんなふうに思うのかは分からないけど、井川さんの的確な指示のおかげで皆動けるんだよ?嫌いなんて思わないよ!」

「ありがとう美嶋さん…」

笑顔で頷く井川の肩を優しく叩き励ますとタイミング良く試合開始の合図が鳴った。

ブー!

「準決勝を初めます…」

試合は井川の的確な指示や理沙の威圧感が混ざるプレーと星那の素早いパス回しやシュートのおかげで次々と点を入れ敵チームを圧倒した。

「星那!あと一本だよ!」

「うん、分かってる!井川さんこっちパス!」

囲まれている井川に声をかけ手を伸ばすとそれに気づいた井川がジャンプしボールを投げそれを受け取るとすぐ様敵チームのゴールに走る。

「星那!一旦私にパスして!」

横から三人止めに入って来た敵チームの人達が目に入りゴール付近にいる理沙に向かってボールを投げた。

「理沙っ!」

ボールを受け取った理沙は星那から視線を逸らしすかさず止めに入って来た敵チームの人達にフェイクを効かせていた。

「ふっ…私がゴールしなきゃどうするのよ!」

その言葉に踵を返しゴールしようとジャンプするとそれを阻止しようとディフェンスをしていた三人の敵チームの人達までもがジャンプしたのを見てニヤリと口元をあげた理沙は空中でボールをいつの間にゴール付近にいた星那に投げた。

「なっ!?」

「ばーか!私がシュートするわけないじゃん!いつだってナンバーワンは星那よ!」

理沙のボールを受け取り、理沙が敵チームを引き付けてる隙にジャンプしブザーが鳴るとのと同時にシュートを入れ決勝進出を勝ち取った。

「勝者五組!」

「オォォォ!!」

五組女子が勝利で盛り上がる理沙や井川を含め星那達は隣で戦う男子の試合に駆け寄った。

「うわぁ…完全に宮端くんが点取ってるって感じだね…」

「でもパスを送るその他の男子は宮端くんに頼りまくりでパス回しが雑ですわ…」

理沙と井川の言葉を聞きながら豹にパスを回す男子達に視線を向けると半ば雑にボールを回す男子達が目に入った。

「これじゃ豹が取りにくいよね…」

そう言葉を漏らすと目の前で囲まれている豹の姿が目に入った。

「豹!パス!」

ボールを手に持っていたまひるが囲まれている豹を目にしつつもパスしようと豹目掛けてボールを投げた。

「馬鹿っ!俺に回すな!」

それに怒鳴る豹だったがボールは真っ直ぐに豹目掛けて来ておりそのボール目掛けて豹を囲む敵チームの一人がジャンプをしボールに指をかすめるとボールは向きを変え豹頭上を飛び越えすぐ側にいた星那の方に向かった。

「星那!危ないっ!」

理沙の声は間に合わず、すかさず瞼を閉じるとぶつかると思えたボールは来ず不思議に思い瞼を開けるとすぐ目の前に豹がボールを片手の指で華麗に回しキャッチしていた。

「豹…?」

「危ないから下がってろ…」

「う、うん…」

豹の言葉におずおずと頷きその場から少し離れる。

「悪い!豹!」

まひるの謝る声が飛び交い見事にそれをスルーしキャッチしたボールを目が追いつかないほどの速さでゴールに入れその場にいた全員が呆然とした。

「速すぎて見えなかった…もしかしてずっと本気じゃなかったのかな?」

理沙の言葉に同じく呆然と豹を見つめると次々と見えない速さでゴールを決める豹に試合は圧倒的過ぎるほどの点差で圧勝したのだった。
その後、女子も含め男女共々決勝に行き勝利に収め試合は五組の完全優勝となった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...