男装ホストは未来を見る

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猫耳

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猫語の練習の末、指名が入り中に入ると指名した客というのが…

「豹、何でまた来たのよ!」

「また来るって前に言ったろ?」

「そりゃあそうだけど…」

前に来た時の数々の最悪な状況を思い浮かべ内心の邪険な態度が表にまで醸し出す。

「せなちゃん!いくら知り合いだからってお客様に対してその態度は駄目よ!」

「うっ…は、はい」

まりりんさんに嗜まれ邪険な態度を無理矢理追い払い笑顔!笑顔!と業務用の笑顔を作る。

「今日はお一人ですか?ご主人様にゃん♪」

「ぷっ…」

あからさまに態度の違う事に思わず吹き出す豹を目の前に今すぐぶん殴りたい気持ちが湧き上がっていた。

こんにゃろう…!

「今日はどのようなサービスがお好みかにゃん?」

「ふふっ…じゃあ、期間限定トランプ命令にゃんにゃんゲームってやつで」

「かしこまりましたにゃん♪ご一緒に冷たい飲み物なんかどうかにゃん?」

「じゃあ、アイスコーヒーで…」

「かしこまりましたにゃん♪只今お待ちくださいにゃん♪」

「ふふふっ…」

後ろで豹の笑い声が聞こえるものの仕事!仕事!と割り切りスルーしカウンターにてアイスコーヒーを作りトランプを取り出しお盆に乗せ豹のいるテーブルへと戻る。

「お待たせしましたにゃん♪アイスコーヒーだにゃん♪」

テーブルにアイスコーヒーを置きゲームの内容を説明する。
期間限定トランプ命令にゃんにゃんゲームとは神経衰弱で同じカードを当てるとその分相手に命令が出来ると言うものだった。
お客様からの指名は基本メイドに犯罪行為他・マナー違反以外の命令は何でもありでメイドからの命令は内容は店内募金となっている。

「…が以上の説明だにゃん♪ご理解頂けたかにゃん?」

「なるほど…つまり相手より多くのカードを揃えたらその分命令が出来るってわけか」

「そうだにゃん♪だ~け~ど…星那が勝ったらここに募金だにゃん♪」

テーブルの上にそれぞれ一つ置いているハート型のピンクの募金箱を取り首に下げる。

「分かった」

「トランプを並べるにゃん♪」

トランプカードを取り出しシャッフルすると裏返しのままテーブルの上に並べていく。

ふふっ…このゲームで負けたことなんてないんだから!絶対勝てる…!

「…並べ終わったにゃん♪めくる順番を決めるにゃよ~…最初はグー!ジャンケン…ポン!」

結果、ジャンケンは豹が勝ち先行となると最初は誰だって当たるはずがないと思っていたのに対し豹は当然のようにハートのキングのペアを捲り当てた。

「なっ…!?」

普通は最初なんか分からないはず…何で一回目で!?

「こんなの子供騙しだ」

「何で分かったのかにゃん?」

「お前の持ってきたカードは見たところ新しい新品のカード…んでそれを十回シャッフルしたら元の位置から組み分けられそれを頭の中でどれがどこに移動したのか考える。そしてお前が一枚一枚並べていく位置も把握すれば場所なんか分かりやすい…」

「そ、そっか…」

いや、妙に納得したけど話はそう単純じゃないはず…位置を把握するだけでも至難の業なのに元のカードの位置からシャッフルされたカードが何処にあるかなんて相当の洞察力や記憶力がなければ出来ないわ…本当に豹って何者なの?

豹の顔を呆然と見つめていると豹は急かすように本題を切り出した。

「んで、命令していいんだよな?メイドさん?」

「なっ…」

豹の凄さに圧倒されて忘れてた!そうだ、負けたら命令されるんだった…

内心どんな命令が来るのかと動揺や冷や汗が隠せないでいるとニヤリと口元をあげた豹が口を開いた。

「じゃあ…一周まわって可愛くにゃんにゃん」

「うっ…」

まだこれくらいなら…

意をけして一周まわると豹に向かって両手をにゃんにゃんポーズを取る。

「にゃんにゃんにゃ~ん♪」

うっ…豹の前だとかなり恥ずさがやばいっ!

真っ赤になりながら必死にやる星那に満足したような顔をし再度次の試合へと向き直るが次々と豹に取られその後も命令され続けたのだった。
内容は、猫語は必須で色々な言葉を言わされたり猫耳や尻尾を触られながら鳴いたりと犯罪行為やルール違反は犯していないものの恥ずかしさだけで言えば今までで一番である。
そして現在は…

「ちょっ…近いにゃんっ…!」

抱き締められたまま豹の膝の上で座る事三分間の命令を受けていた。

抱き締めるがっしりとした腕と素肌の太股が膝の上に触れ耳元では髪の毛と一緒に豹の低音な声がくすぐられ体中真っ赤になりながら身動きしようとするが三分間がルールの命令に離してくれる素振りはなかった。

「まだ二分だ…あと一分間我慢しろ」

「っ…」

耳元で言わないでぇ…!

耳元から伝わる声にたじろぎするががっしりと固定された腕により阻止される。

トンッ

すると不意に剥き出しの肩に頭を乗せられ頭がすぐ左横に向けられた。

髪の毛がくすぐったいし…豹の匂いがするっ!

嫌でもくすぐられるミントの香りに思わず瞼を閉じるとタイミング良く三分を知らせるアラームが鳴った。

ブーブー

「あ、アラームなりましたにゃんっ!」

すぐ様緩んだ腕を払い除け脱兎のごとく抜け出す。

「はぁ…はぁ…最後の勝負だにゃん♪」

テーブルの上には四枚のカードが並び次が最後となる。

最後ぐらい取りたい…!

これまで一枚も取れずじまいの星那の頭の中には完全に勝つ!という二文字しかなかった。
真剣にカードに手をかけどれを捲るか悩んだ末、意を決して捲るとスペードの八とダイヤの九で揃わなかった。
この瞬間、勝負は豹の完全勝利となり最後の命令が下される事となった。

「星那…顔かせ」

滅多に言われる事のない名前呼びにドギマギしながらもゆっくりと顔を近づける。

チュッ…

「っ~~~~~!!」

すると頬に柔らかい感触が伝わり直ぐにそれが豹の唇だと気づいた。

「これで終わりだな?」

「い、意味わかんない…にゃ、にゃん!?」

何で頬にき、ききききす!?

びっくりしすぎて自分でも何言ってるか分からない状態になっていると豹はいつも通りの平然とした顔でお会計を済ませにレジに向かっていた。

「ま、待って…にゃん!」

慌ててレジまで向かうと何やらベリーさんと話し込んでいる様子に不思議に思っていると話が終わったのかそのまま帰って行った。

「ベリーさん、何を話してたんですか?」

「ん~?内緒♪」

めちゃくちゃ気になる…

「それより、豹くんはせなちゃんと一緒にいる時だけあんな表情を見せるのね…何か萌えるわ!」

「あんな表情?豹はいつも何考えてるか分からない表情ですよ?」

「あら?せなちゃんは鈍感なのね!まぁ、せなちゃん可愛いいしそのまま気づかないのも萌えアップだわ!」

もう何が何だか分かりません…

疑問しか浮かばないベリーの意味不明な言葉に頭を悩ませるのだった…














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