男装ホストは未来を見る

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戸惑い

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モグモグモグ…

「せな、さっきから何食べてるんだ?」

「バナナチップスです。蓮さんも食べます?」

「おう!ちょうど口惜しいと思ってたんだ…」

蓮さんに向けてバナナチップスを差し出し二人してソファの上で寛いでいた。

ガチャ…

「あ、豹も食べる?バナナチップス」

ダイニングに入って来た豹を見つけバナナチップスを差し出す。

「隆二さんはまだ帰ってないのか?」

バナナチップスを取りながらそう言う豹に、星那と蓮は首を横に振る。

「まだ帰って来てないよ~」

「隆二の奴、店で作ってたものが出来たとか何かで帰るの少し遅れるだそうだ」

「ふ~ん…」

自分から聞いてきたにもかかわらず豹は特に興味なさそうにバナナチップスを口に入れながら星那の隣に腰掛ける。

モグモグモグ…

「蓮さん、花吹雪のカナタさんって知ってますか?」

「ん?花吹雪?ライバル店じゃねーか」

「はい、知り合いが花吹雪のカナタさんにぞっこんで…どういう人なのか気になって」

「まぁ、一応店長としてライバル店や他店舗のホストクラブの情報は入ってくるが…カナタか、確か花吹雪のナンバースリーだったけな?」

「ナンバースリー!?俺と同じだ!」

「だがあまりいい噂は聞かないな…」

「そうなんですか?」

「ホストとしての仕事はしっかりしてるらしいんだが、女性客に貢がせて最後には捨てるか、売るかのあくどい事してるらしい」

「うわっ!最低ですね…」

まりりん…じゃなかった、井川さん大丈夫かな?
もしかしたら騙されてるんじゃ…

「その知り合いっていう奴に忠告はした方がよさそうだな」

「はい、そうします…」

井川に対しての不安が過ぎる中、ダイニングのドアが開いた。

ガチャ…

「ただいま~…ん?お前ら揃ってソファで何やってるんだ?」

隆二の声に豹以外の二人が振り返ると手にダンボールを抱えた隆二の姿があった。

「バナナチップス食べてるんだが…お前、そのダンボールなんだ?」

蓮が疑問に思い問いかけると途端に不敵な笑みで笑う隆二に寒気が走った。

「ふふっ…実はな、明日使おうかと思って用意していたコスプレ衣装が出来てな…」

バタンッ!

「こ、ここコスプレ衣装!?」

驚いてソファから落ちる星那を他所に蓮は楽しそうな声をあげた。

「おう、いいじゃねーか!さすが隆二だな!」

いやいやいや!さすがじゃないよ!コスプレ衣装って事はまたメイド服着せられて接客するんじゃ…

以前の事を思い出し背中がゾッとし両手で体を抱き締め落ちつかせ嫌な記憶を消し去るかのように頭を横に振る。

「星那、さっそく着てみるか?」

「え!?いやでも…」

「ベリーさんも手伝ってくれたんだ、安心して試着してみろ!」

「ベリーが!?絶対嫌な予感しかしないし…どうせメイド服なんですよね?」

「え?当たり前だろ?」

さも当然のようにいう隆二に開いた口が塞がらず呆然としているとその隙にダンボールを取り上げ中を開けメイド服を取り出した蓮がニヤニヤ顔で星那に近づいた。

「ごちゃごちゃ言ってないで試しに着てみろって!な?」

いちごのケーキをモチーフに白黒柄をベースにクリームやいちごの装飾やフリルやレースをふんだんに使ったメイド服を片手に蓮の手が伸ばされた。

「い、いいですっ!遠慮しますから!」

「遠慮する必要ねぇだろうが!どうせ後から着るんだし…」

「だから後からも着ませんって…うわぁ!?」

ドスンッ!

揉みくちゃに抵抗しつつじゃれあう形となっていたら、蓮の指がシャツに触れそうになった時その反動で床に倒れると上に蓮の体が乗り身動きが取れなくなった。

「観念しろ!せな…」

「ちょっ…蓮さんそこまでに…」

「蓮、やり過ぎだ!やめろっ…」

豹と隆二の止める言葉が飛び交いつつも蓮の視線はその言葉を無視し目の前の星那を捉える。
虎の目のような隆二の視線が注がれつい怯む気持ちが体を硬直させつつも何とかして抵抗しようとおずおずと口を開く。

「…や、やめてっ…蓮さ…んっ…!」

「っ…」

星那の潤んだ瞳とか細く否定する声についシャツにかていた手を止め目を奪われているとその隙に豹が星那を引っ張り出し抜け出す。

「もう蓮さんなんか嫌いですっ!!」

星那の怒鳴り声が向けられつつも一時停止状態の蓮には届かず慌ててダイニングを出ていく星那の足音とドアだけが部屋に残った。

 *

「あ…星那は?」

気がつくと目の前にもダイニングにもいない星那に気づき隆二に問いかける。

「蓮を嫌いだと言って出ていったぞ」

「そうか…」

「蓮、あまり面白半分で星那に手を出すのはやめろ」

「そうだな…気をつける」

普段言わない蓮のらしくない言葉にその場にいた隆二と豹は呆然と蓮を見つめる中、蓮自身は先程の星那の態度に戸惑いでいっぱいだった。

何で一瞬動揺なんかしちまったんだ俺…星那は男だぞ?クソッ…!

内心自身に叱咤しながらも頭の中では先程の潤んだ星那の顔が離れずにいた…














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