男装ホストは未来を見る

Shell

文字の大きさ
72 / 108

幼馴染

しおりを挟む
七月の暑さの中で学校のグランドではサッカー部が太陽の下で汗をかきながらひたすら練習をしていた。

「皆、凄いなぁ…」

放課後、まひるの練習を見にグランド場で一人ベンチに座り見ていると寧々ちゃんの片思い相手である比留間くんと話す先日のクラスマッチで会った太田 龍也くんの姿があった。

え!?太田くんってサッカー部だったの!?

思わぬ所で驚きの真実を知り驚いていると私に気づいた比留間くんが真っ直ぐに近寄って来た。

「…美嶋さん、見てたんだ」

「うん、まひるの練習見に来たの」

「そうなんだ…えっと、今日は寧々ちゃんは?」

少し照れくさそうに質問する比留間くんにニヤニヤ顔で返答する。

「今日はひのちゃんとカラオケ行くっていっていないよ」

「そ、そっか…」

「あ!でも、寧々ちゃんが比留間先輩に会ったら”頑張れ”って言ってたよ?」

「っ…そ、そうなんだ」

嬉しながらも恥ずかしそうに照れる比留間くんに更にニヤニヤ顔が止まらなかった。

この二人どこまで進展してるのか気になるなぁ…今後が楽しみ♪

「あ、比留間くんって太田くんと仲いいの?」

「え?龍也?まぁ、仲いいけど…何で?」

「ちょっと聞きたい事あってさ…」

「う~ん…じゃ、龍也呼んでくるわ」

「うん、ありがとう」

そういうとキック練習をしていた太田くんの方に走って行き何やら話し込んだ末に今度は太田くんが真っ直ぐ走って来た。

「は、えっと…話って何かな?星那さん」

恥ずかしそうに戸惑いながら言う太田くんに前のめりになりながらもおもむろに問いかける。

「実は、井川さんについて教えて欲しくて…」

「万理?何で俺に?」

「だって太田くんと井川さんって幼馴染なんでしょ?だから一番井川さんの事知ってると思って…」

「まぁ、万理とは中学の時からの付き合いだけど幼馴染といえる程の仲は良くないっすよ?」

「でも井川さんの事一番知ってるのは太田くんでしょ?」

「まぁ、それなりに万理の事は分かるけど…」

「じゃあ、井川さんを一番知ってる人として教えてくれないかな?」

「ん~…万理は中学の時は今と違って周りに明るくて友達とよく遊んでるって感じだったんですけど…」

「へ~…今の井川さんと真逆だ」

「中学三年の初めくらいから親が教師ってのもあって高校受験のためにって友達との付き合いを禁止して塾に行かせて勉強だけを考えさせられていつしか周りから距離を置かれるようになって万理自身もどう接していいか分からなくなったって…んで親の期待とは裏腹に高校受験失敗して見放されちまって…」

「そんな事があったんだ…」

人との距離感に親との関係…井川さんが周りを気にするのも仕方ないよね…

「でも高校二年くらいだっけな?バイトでメイドカフェで働くようになって少しだけ自分に自信が持てるようになったって言ってて…だけど最近の万理は少し心配なんですよね…」

「心配?」

「何か年上の男に入れこんでるらしくて、そいつのために金を稼ぐんだって働き詰めで…正直その男に騙されてるんじゃないかって心配で…」

心配そうに俯く太田に笑顔で覗き込む。

「っ…な、なんすかっ!?」

「…太田くんって井川さんの事好きでしょ?」

「なっ…俺が万理を!?な、ない!絶対ないって!俺はその…星那さんの方が」

「私に対しての気持ちは恋愛としての好きじゃなくて憧れとしての好きの間違いとかだったりして?」

「っ…そ、それは」

言い淀む太田くんに図星だと感じ寧々ちゃんの時みたく応援したくなった。

「ふふっ…とにかく今は井川さんの事は私に任せて!」

胸元に右手を当て自信満々に笑顔を向ける。

「えっ…任せてって何するんすか?」

「ひ・み・つ♪でも井川さんを思うなら…私を信じて!」

真剣な顔でそういうと、太田くんは重々しく頷いた。

私が絶対何とかしてみせるっ!

井川さんの辛そうな表情を思い出し太田くんの気持ちも含め尚更そう思う気持ちが強くなった。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...