79 / 108
出会いの場所は図書館で…
しおりを挟む
真夏の猛暑の炎天下の下を歩くのは絶望的に嫌だと言う心理とエアコンもつけられない状況で扇風機のみで部屋に籠るかという選択に少しは炎天下の下を歩く羽目になるがその先で待つタダ当然のエアコン付き静かな図書館を思うと後者ではなく前者を選ぶ事にした。
だからといって有意義な時間を過ごせるかといったら間違いで、図書館に行くと隆二さんに言ったら既に宿題を終わらせた豹を見習って図書館で宿題を終わらせるようにと言われエアコンの中でだらけるのではなく真面目に宿題に励んでいた。
「はぁ…ここ二時間休み無しでもう集中力切れ」
テーブルの上に広げられたノートにうつ伏せになりながら小さく唸る。
「…よし!本巡りしよ!」
息抜きと称して宿題を一時中断しリュックに押し入れ立ち上がると面白そうな本を探すため図書館内を歩く。
ん~…面白そうな本…面白そうな本…
「…あ!これ新刊の『クロネコ秘書』だ!」
少し高い位置にある本に手を伸ばすと背後から誰かの手が伸び取ろうとした本を取られる。
「あ…」
「…これどうぞ」
男性の声に振り返ると本を手にしたグレーのスーツ姿の眼鏡をかけた黒い短髪の男性がいた。
「あ、えっと…いいんですか?」
「手を伸ばしてたのを助けようとしただけなので…」
そう言われ本を受け取ると男性は眼鏡を押し上げ再度口を開く。
「そのシリーズ好きなんですか?」
「はい!クロネコの秘書の仕事がかっこよくてストーリーが精密で気に入ってて…こういった物語ものって妙にワクワクするんですよね」
「分かります!私もクロネコシリーズ全てご愛読してまして兄弟の活躍秘話が気に入ってるんです!仕事上、様々なかしこまった本も読まないといけないのですが…物語ものが一番読んでいて楽しいです」
「ですよね!その他にも…あ、すみません!話し込んでしまって…」
「いえ、私から声をかけたので謝る必要はないですよ…それよりもっとお話を願いたいのですが…只今、お暇でしょうか?」
「あ、えっと…」
宿題まだ残ってるけど少しくらいならいいか…
「暇です!」
「良かった…えっとここでは何ですから場所移しましょうか?」
「あ、はい!」
何だろう?この人の笑顔って誰かに似ているような…
不意に笑う男性に知り合いの誰かと重なり不思議に思いつつも誘導されるがままに少し離れた窓際のテーブル席にて腰を下ろす。
「えっとまず自己紹介ですよね…私は 高坂椿といいます。仕事は、あるデザイナーの秘書をしています」
「あ、えっと…私は美嶋 星那といいます。高校三年生です」
「学生さんでしたか…すみません、少し大人っぽくみえたので」
「あははっ…よく言われます」
申し訳なさそうに謝る高坂さんに苦笑いしつつ先程言っていた秘書という言葉が気になった。
「高坂さんこそ、デザイナーの秘書さんって凄いですね!休みとか中々取れないんじゃないですか?」
「まぁ…社長というか父が凄い人なのでそれなりに忙しいのですが、三日後に父主催の式典があってその前に休みをと今日だけ休みが取れたので大好きな本を読みに図書館にと…」
「なるほど…式典も気になるんですが高坂さんのお父さんっていったいどういう人なんですか?」
「全国の美術館をいくつも所有するオーナーであり、自身もデザイナーとして世界で活躍する 高坂道天という人です」
「高坂 道天…?聞いた事あるようなないような…?」
「一応有名な人なので名前ぐらいは聞き覚えはあると思います」
「う~ん…でもそんな凄い人がお父さんなんて凄いですね!」
「まぁ…偉大な父を持つと子供への重圧は凄いですけどね」
少し苦しそうに言う高坂の顔を見ながらそれ程の重圧の中この人は生きてるのだと感じた。
「あ、えっと…そんな凄いお父さんの式典ってどういう事をするんですか?」
「後継者の表明式です」
「後継者?それって…」
「私です…本当は兄がやるはずの役目なのですが、その兄が自ら辞退して姿を消したので代わりに私が後を継ぐことになったんです」
「そうなんですか…ん?ご兄弟がいらっしゃるんですか?」
「三個上の兄が一人と一個上の姉が一人います」
「へ~…お姉さんまでいるんですかぁ…」
「姉は後継者にはなれないので父がいくつも所有する美術館の管理として館長をしています」
「お姉さんも凄いなんて…何だか私とは身分違いな気がしてきました」
「ははっ…そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ?私もこうやって公共の図書館に来る普通の人なので」
「そうですね…高坂さんは高坂ですもんね!」
笑顔でそういうと一瞬驚いた顔をした高坂は釣られるように小さく笑顔を零した。
「ふふっ…美嶋さんは変わってますね」
「そうですか?私も暑いからって図書館に宿題をしに来る普通の高校生ですよ」
「あ、だからですか…頬に鉛筆の跡があるのは」
「へ?鉛筆の跡?」
あ!そういえばうつ伏せになった時、下にノートひいてたんだっけ?
慌てて頬を摩っていると高坂さんの左手が頬に伸び親指で拭う。
「少し動かないで…」
「っ…」
至近距離で覗き込みながら拭う高坂さんの顔は眼鏡越しでも分かるほどのイケメンであり息をするのも忘れるくらい見惚れてしまった。
「…よし、取れた」
そう言うと頬に触れていた手や至近距離にいた体を離すと小さく笑った。
あ、やっぱりこの顔知ってる…
いつも見慣れたような高坂の笑顔に呆然と見つめていると、高坂の口から不意に図星をつくような事を口にした。
「ところで、宿題は終わったんですか?」
「え?宿題?…あ!まだ終わってなかったんだった!やばいっ!早く終わらせなきゃ…!」
慌ててリュックから無理矢理押し込めた宿題を取り出しテーブルに広げる。
「よかったらですが…手伝いましょうか?宿題ですのでアドバイスぐらいしかできませんが…」
ドンッ!
「是非!お願いしますっ!」
振り向きざまにテーブルに肘を打ち付けるも高坂の神のような言葉に瞳を輝かせながら拝むように手を握った。
「ははっ…任せてください」
神だ!神が舞い降りたァァァ!!
これで早く宿題が終わると思うと嬉しさでいっぱいになりながらも、この後予想とは違った高坂のスパルタ指導のせいで地獄を見るのだった。
だからといって有意義な時間を過ごせるかといったら間違いで、図書館に行くと隆二さんに言ったら既に宿題を終わらせた豹を見習って図書館で宿題を終わらせるようにと言われエアコンの中でだらけるのではなく真面目に宿題に励んでいた。
「はぁ…ここ二時間休み無しでもう集中力切れ」
テーブルの上に広げられたノートにうつ伏せになりながら小さく唸る。
「…よし!本巡りしよ!」
息抜きと称して宿題を一時中断しリュックに押し入れ立ち上がると面白そうな本を探すため図書館内を歩く。
ん~…面白そうな本…面白そうな本…
「…あ!これ新刊の『クロネコ秘書』だ!」
少し高い位置にある本に手を伸ばすと背後から誰かの手が伸び取ろうとした本を取られる。
「あ…」
「…これどうぞ」
男性の声に振り返ると本を手にしたグレーのスーツ姿の眼鏡をかけた黒い短髪の男性がいた。
「あ、えっと…いいんですか?」
「手を伸ばしてたのを助けようとしただけなので…」
そう言われ本を受け取ると男性は眼鏡を押し上げ再度口を開く。
「そのシリーズ好きなんですか?」
「はい!クロネコの秘書の仕事がかっこよくてストーリーが精密で気に入ってて…こういった物語ものって妙にワクワクするんですよね」
「分かります!私もクロネコシリーズ全てご愛読してまして兄弟の活躍秘話が気に入ってるんです!仕事上、様々なかしこまった本も読まないといけないのですが…物語ものが一番読んでいて楽しいです」
「ですよね!その他にも…あ、すみません!話し込んでしまって…」
「いえ、私から声をかけたので謝る必要はないですよ…それよりもっとお話を願いたいのですが…只今、お暇でしょうか?」
「あ、えっと…」
宿題まだ残ってるけど少しくらいならいいか…
「暇です!」
「良かった…えっとここでは何ですから場所移しましょうか?」
「あ、はい!」
何だろう?この人の笑顔って誰かに似ているような…
不意に笑う男性に知り合いの誰かと重なり不思議に思いつつも誘導されるがままに少し離れた窓際のテーブル席にて腰を下ろす。
「えっとまず自己紹介ですよね…私は 高坂椿といいます。仕事は、あるデザイナーの秘書をしています」
「あ、えっと…私は美嶋 星那といいます。高校三年生です」
「学生さんでしたか…すみません、少し大人っぽくみえたので」
「あははっ…よく言われます」
申し訳なさそうに謝る高坂さんに苦笑いしつつ先程言っていた秘書という言葉が気になった。
「高坂さんこそ、デザイナーの秘書さんって凄いですね!休みとか中々取れないんじゃないですか?」
「まぁ…社長というか父が凄い人なのでそれなりに忙しいのですが、三日後に父主催の式典があってその前に休みをと今日だけ休みが取れたので大好きな本を読みに図書館にと…」
「なるほど…式典も気になるんですが高坂さんのお父さんっていったいどういう人なんですか?」
「全国の美術館をいくつも所有するオーナーであり、自身もデザイナーとして世界で活躍する 高坂道天という人です」
「高坂 道天…?聞いた事あるようなないような…?」
「一応有名な人なので名前ぐらいは聞き覚えはあると思います」
「う~ん…でもそんな凄い人がお父さんなんて凄いですね!」
「まぁ…偉大な父を持つと子供への重圧は凄いですけどね」
少し苦しそうに言う高坂の顔を見ながらそれ程の重圧の中この人は生きてるのだと感じた。
「あ、えっと…そんな凄いお父さんの式典ってどういう事をするんですか?」
「後継者の表明式です」
「後継者?それって…」
「私です…本当は兄がやるはずの役目なのですが、その兄が自ら辞退して姿を消したので代わりに私が後を継ぐことになったんです」
「そうなんですか…ん?ご兄弟がいらっしゃるんですか?」
「三個上の兄が一人と一個上の姉が一人います」
「へ~…お姉さんまでいるんですかぁ…」
「姉は後継者にはなれないので父がいくつも所有する美術館の管理として館長をしています」
「お姉さんも凄いなんて…何だか私とは身分違いな気がしてきました」
「ははっ…そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ?私もこうやって公共の図書館に来る普通の人なので」
「そうですね…高坂さんは高坂ですもんね!」
笑顔でそういうと一瞬驚いた顔をした高坂は釣られるように小さく笑顔を零した。
「ふふっ…美嶋さんは変わってますね」
「そうですか?私も暑いからって図書館に宿題をしに来る普通の高校生ですよ」
「あ、だからですか…頬に鉛筆の跡があるのは」
「へ?鉛筆の跡?」
あ!そういえばうつ伏せになった時、下にノートひいてたんだっけ?
慌てて頬を摩っていると高坂さんの左手が頬に伸び親指で拭う。
「少し動かないで…」
「っ…」
至近距離で覗き込みながら拭う高坂さんの顔は眼鏡越しでも分かるほどのイケメンであり息をするのも忘れるくらい見惚れてしまった。
「…よし、取れた」
そう言うと頬に触れていた手や至近距離にいた体を離すと小さく笑った。
あ、やっぱりこの顔知ってる…
いつも見慣れたような高坂の笑顔に呆然と見つめていると、高坂の口から不意に図星をつくような事を口にした。
「ところで、宿題は終わったんですか?」
「え?宿題?…あ!まだ終わってなかったんだった!やばいっ!早く終わらせなきゃ…!」
慌ててリュックから無理矢理押し込めた宿題を取り出しテーブルに広げる。
「よかったらですが…手伝いましょうか?宿題ですのでアドバイスぐらいしかできませんが…」
ドンッ!
「是非!お願いしますっ!」
振り向きざまにテーブルに肘を打ち付けるも高坂の神のような言葉に瞳を輝かせながら拝むように手を握った。
「ははっ…任せてください」
神だ!神が舞い降りたァァァ!!
これで早く宿題が終わると思うと嬉しさでいっぱいになりながらも、この後予想とは違った高坂のスパルタ指導のせいで地獄を見るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる