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黄昏
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鈴虫やコオロギの鳴き声が真夏の夜から聞こえる中、ベランダで一人焼酎を飲みながら座っている蓮の姿があった。
「蓮さん…?」
「せなか…」
振り向きもせずただベランダから外を見ている蓮にゆっくりと近づき隣に腰を下ろす。
「何で隆二さんの部屋で飲んでるんですか?自分の部屋で飲めばいいのに…」
「隆二のベランダが一番落ち着くんだよ…それに、自室だと色々思い出すからな」
切なそうに空を仰ぐ蓮に、星那は戸惑いながらも口を開く。
「あの…式典行くんですか?」
「…行くつもりはない」
「そう…ですか…」
私は昔の蓮さんを知らない…何故自分の地位を捨ててまでホストになったのかも、蓮さんの事何も知らないんだ…
そう思うと何て言葉をかけたらいいか分からず俯くと空を仰いでいた蓮さんの方から口を開いた。
「俺は昔、父の敷くレールの上にいた…何も不自由もせず父の言う通りに行動しそうするしか道はないのだと思っていた…まるで操り人形みたいに」
操り人形…
「…似てる」
「ん?何か言ったか?」
「え?いえ、何も…」
私、何か言ったの…?
自分の言った言葉が思い返せず不思議に思いながらも再度続きを話す蓮に向き直る。
「だがそんな俺でも父が有能な上に才能だけは受け継いだみたいで、父と同じくデザインや絵描きの才能はあった。それを見抜いた父は俺に仕事を任せるようになり様々な衣装のデザインや自然をテーマにした絵を描くようになりそれが周りに評価されいつしか父の後継者と呼ばれるようになった」
「あ!もしかしてあの書斎って…」
「ああ…昔、仕事で使ってた部屋だ。当時は弟の椿と一緒に暮してたんだ…」
「なるほど…」
だから、高坂さんは絵の場所も知ってたんだ…
「でもその頃の俺は父の敷いたレールの上を歩くのもデザイナーとして働くのも嫌気をさしていてある時、決断したんだ…今の自分の地位を捨て自分がやりたいように生きようって」
「それがホストの道だったんですか…?」
「まぁな…元から女性は好きだったしその女性達を幸せにしてあげられるホストという仕事がいつしかやってみたいって思うようになって、そんな時に当時ナンバーワンのホスト店だった『花吹雪』のナンバーワンにいた隆二に出会ってすぐにスカウトして一緒に店を立ちあげる事にしたんだ」
「え!?隆二さんって『花吹雪』のナンバーワンホストだったんですか!?それにスカウトって…色々驚きです」
「まぁ…半ば強引だったんだけどな」
隆二さんよくナンバーワンホストの座を捨てて蓮さんについて行く気になれたなぁ…
「店を立ちあげる際に、後継者をデザイナーとしての才はなくても人をまとめあげる才があった弟の椿に託し姿を消すようにホストとなったんだが…あれから五年後また椿と会うことになるなんてな」
ほくそ笑みながら笑う蓮は手に持っている焼酎を少しづつ口に入れた。
「蓮さんの絵…何で蓮さんのお父さんは欲しがってるんですか?」
ふと感じた疑問を問いかける。
「式典にて公表し俺をデザイナーとしてメディアに出すつもりだと聞いた」
「結局は蓮さんのお父さんは蓮さんからホストを辞めさせるつもりなんですね…」
蓮さんのお父さんは何としても蓮さんをデザイナーの道に進ませたいんだ…
どうしたものかと頭を悩ませていると隣に座る蓮さんが溜息混じりふと漏らす。
「はぁ…生まれたとこ間違えたなぁ~…こんな家じゃなくて平凡だけど毎日笑顔溢れてて自由に生きれる家だったらよかったな」
雲から見える満月を見ながらふと呟く蓮の袖を掴む。
「…せな?」
「蓮さんがそんな所で生まれてたら今頃、俺は蓮さんに出会えてないと思います…そんな運命の中で出会えた人もいるんです…それに、俺も含めて隆二さんも豹も蓮さんの味方だし何より俺は…家族だと思ってます」
ゆっくりと蓮を見上げると星那の顔には今にも泣きそうになりながらも必死で涙を溜める姿があった。
「せな…抱き締めてもいいか?」
蓮の言葉に無言で頷くと星那を胸の中に入れ前に座らせると背後から抱き締め頭を左肩に乗せる。
「…せなが居てくれてよかった」
その言葉と同時に腹部に回された腕の力が加わり肩にかかった髪が風で揺れた。
「俺も蓮さんが居てくれてよかったです…!」
クスクスと小さく笑いながら言う星那に重く沈んでいた心が解れていった。
*
星那の笑い声が部屋のドア越しで聞こえながら部屋の前にて一人なんとも言えない気持ちでその声を聞いていた。
「……」
ブー…
すると静まる空間の中で携帯の振動を感じポケットから取り出し着信をオンにするとその場から少し離れ耳に当てる。
「…任務は順調か?」
「ああ…」
「引き続きターゲットの同行を見張れ…時は既に目の前に迫っている」
「…了解」
電話が切れると静かな空間には未だにドア越しに小さく聞こえる星那の笑い声だけが残った…
「蓮さん…?」
「せなか…」
振り向きもせずただベランダから外を見ている蓮にゆっくりと近づき隣に腰を下ろす。
「何で隆二さんの部屋で飲んでるんですか?自分の部屋で飲めばいいのに…」
「隆二のベランダが一番落ち着くんだよ…それに、自室だと色々思い出すからな」
切なそうに空を仰ぐ蓮に、星那は戸惑いながらも口を開く。
「あの…式典行くんですか?」
「…行くつもりはない」
「そう…ですか…」
私は昔の蓮さんを知らない…何故自分の地位を捨ててまでホストになったのかも、蓮さんの事何も知らないんだ…
そう思うと何て言葉をかけたらいいか分からず俯くと空を仰いでいた蓮さんの方から口を開いた。
「俺は昔、父の敷くレールの上にいた…何も不自由もせず父の言う通りに行動しそうするしか道はないのだと思っていた…まるで操り人形みたいに」
操り人形…
「…似てる」
「ん?何か言ったか?」
「え?いえ、何も…」
私、何か言ったの…?
自分の言った言葉が思い返せず不思議に思いながらも再度続きを話す蓮に向き直る。
「だがそんな俺でも父が有能な上に才能だけは受け継いだみたいで、父と同じくデザインや絵描きの才能はあった。それを見抜いた父は俺に仕事を任せるようになり様々な衣装のデザインや自然をテーマにした絵を描くようになりそれが周りに評価されいつしか父の後継者と呼ばれるようになった」
「あ!もしかしてあの書斎って…」
「ああ…昔、仕事で使ってた部屋だ。当時は弟の椿と一緒に暮してたんだ…」
「なるほど…」
だから、高坂さんは絵の場所も知ってたんだ…
「でもその頃の俺は父の敷いたレールの上を歩くのもデザイナーとして働くのも嫌気をさしていてある時、決断したんだ…今の自分の地位を捨て自分がやりたいように生きようって」
「それがホストの道だったんですか…?」
「まぁな…元から女性は好きだったしその女性達を幸せにしてあげられるホストという仕事がいつしかやってみたいって思うようになって、そんな時に当時ナンバーワンのホスト店だった『花吹雪』のナンバーワンにいた隆二に出会ってすぐにスカウトして一緒に店を立ちあげる事にしたんだ」
「え!?隆二さんって『花吹雪』のナンバーワンホストだったんですか!?それにスカウトって…色々驚きです」
「まぁ…半ば強引だったんだけどな」
隆二さんよくナンバーワンホストの座を捨てて蓮さんについて行く気になれたなぁ…
「店を立ちあげる際に、後継者をデザイナーとしての才はなくても人をまとめあげる才があった弟の椿に託し姿を消すようにホストとなったんだが…あれから五年後また椿と会うことになるなんてな」
ほくそ笑みながら笑う蓮は手に持っている焼酎を少しづつ口に入れた。
「蓮さんの絵…何で蓮さんのお父さんは欲しがってるんですか?」
ふと感じた疑問を問いかける。
「式典にて公表し俺をデザイナーとしてメディアに出すつもりだと聞いた」
「結局は蓮さんのお父さんは蓮さんからホストを辞めさせるつもりなんですね…」
蓮さんのお父さんは何としても蓮さんをデザイナーの道に進ませたいんだ…
どうしたものかと頭を悩ませていると隣に座る蓮さんが溜息混じりふと漏らす。
「はぁ…生まれたとこ間違えたなぁ~…こんな家じゃなくて平凡だけど毎日笑顔溢れてて自由に生きれる家だったらよかったな」
雲から見える満月を見ながらふと呟く蓮の袖を掴む。
「…せな?」
「蓮さんがそんな所で生まれてたら今頃、俺は蓮さんに出会えてないと思います…そんな運命の中で出会えた人もいるんです…それに、俺も含めて隆二さんも豹も蓮さんの味方だし何より俺は…家族だと思ってます」
ゆっくりと蓮を見上げると星那の顔には今にも泣きそうになりながらも必死で涙を溜める姿があった。
「せな…抱き締めてもいいか?」
蓮の言葉に無言で頷くと星那を胸の中に入れ前に座らせると背後から抱き締め頭を左肩に乗せる。
「…せなが居てくれてよかった」
その言葉と同時に腹部に回された腕の力が加わり肩にかかった髪が風で揺れた。
「俺も蓮さんが居てくれてよかったです…!」
クスクスと小さく笑いながら言う星那に重く沈んでいた心が解れていった。
*
星那の笑い声が部屋のドア越しで聞こえながら部屋の前にて一人なんとも言えない気持ちでその声を聞いていた。
「……」
ブー…
すると静まる空間の中で携帯の振動を感じポケットから取り出し着信をオンにするとその場から少し離れ耳に当てる。
「…任務は順調か?」
「ああ…」
「引き続きターゲットの同行を見張れ…時は既に目の前に迫っている」
「…了解」
電話が切れると静かな空間には未だにドア越しに小さく聞こえる星那の笑い声だけが残った…
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