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誕生日会・前編

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*隆二・豹side

「行ってきま~す!」

星那の声が聞こえ玄関の扉が閉まる音がするや否や隆二と豹はキッチンにて材料を取り出し調理を始めた。

「まずはメインの下準備だな…ん?豹、何だそれ?」

冷蔵庫から取り出したステーキ用の肉と一緒に並べられている謎の袋に不思議に思い問いかける。

「サプリメントと薬味の数々です」

「は?」

さも当然のように袋からサプリメントの袋や箱に薬味だと言う謎の粒や粉に思考が止まった。

「隆二さん?」

「…はっ!?あ、危ない…じゃなくて!それは駄目だろっ!」

「え?」

「いやいや、え?じゃなくてそんな物を入れたら不味くなるだろ?」

「いや、でも体にはいいです」

「そうだな…じゃなくてだな!体にはよくても今回の料理には入れるな!せなが気絶するっ!!」

必死になって止めに入るが当の本人は何故?という様に首を傾げていた。

豹の奴、シェアハウス前まではどうやって食生活してたんだ?…いや、考えるのはよそう

想像しただけでまともでは無いと確信し考えるのは止めて今は目の前の料理に集中した。

「…じゃあ、今回はやめておきます」

「お、おう」

良かったぁ…

豹の言葉に胸を撫で下ろすと、豹は台に並べられたステーキ肉を取り出し前もって教えこんだ手順通りに調理を始めた。

もう問題はなさそうだな…このままいけばの話だが

豹の味覚感覚に苦笑いを浮かべつつ自身も調理に取り掛かった。

 *

*蓮side

「ちょっとあんた邪魔よっ!」

「痛っ!何するんすか!?」

「あんたが邪魔なのがいけないのよ」

「そんな理不尽な…蓮さん、助けてくださいよ~!妹さん理不尽過ぎますって!!」

「煩い!お前ら少しは黙って乗せられてろよ」

明と菫を同席にしたのが間違いだった…

理沙の計画の通りに菫と椿とついでに明を向かいに行き車に乗せるや否やどうやら菫と明は相性が悪いらしく三分後には口喧嘩をし始めた。

「椿、頼むから二人を…」

同じく後部座席に乗る椿に声を掛けようとしたがどうやら仕事中のようで携帯に目を離せずにいた。

はぁ…椿が駄目ならもう放置しかないな

内心嫌気をさしながらも渋々二人を放置する事にし無理矢理運転に集中する事にした。

…頼むから早く着いてくれ

この空間から早く脱出したいという一心で蓮は無心で車を走らせたのだった。

 *

ひの・寧々side

「星那先輩!これなんかもどうですか?」

「う~ん…いいんだけど、そろそろショッピングも終わりにしない?」

やばい…!星那先輩が飽きてきている!

ひのと寧々は星那の足止めをすべくショッピングに誘い出していたのだが、元からファッションに無関心な星那は案の定予定より早く飽きていた。

「ひのさん、そろそろまひる先輩も来ますし他に意識を向けさせてはどうでしょうか?」

星那先輩には聞こえない程に声を抑え提案する寧々ちゃんに同じく声を抑えて聞き返す。

「例えばどこに?」

「う~ん…あ!カフェとかで恋バナ的な話をするとかどうですか?」

「恋バナかぁ…私や寧々ちゃんはともかく星那先輩に恋バナなんて無理があるんじゃ…」

「何を言ってるんですか!?居るじゃないですか!豹先輩が!」

「ああ!確かに、豹先輩の話を聞き出すだけでもいい時間稼ぎになるわね!」

寧々ちゃんと一緒に影で親指を立てると暇そうな表情の星那先輩に声を掛ける。

「星那先輩!少し近くのカフェでお話しませんか?」

「うんうん!甘いスイーツでも食べてゆっくりしましょう!」

「いいね!カフェでゆっくりしよっか?」

「”はい!”」

計画通りに星那先輩をカフェへ誘導させると美味しそうなチーズケーキを頼み話を切り出す事にした。

「あの、星那先輩…?」

「ん?なーに?」

カフェオレをすする星那先輩に恐る恐る聞いてみる。

「ずっと聞きたかったのですけど…豹先輩とは一体どういう関係なんですか?」

「ごふっ!?にゃ、にゃんでそんな事を!?」

何故か咳き込みながら聞き返す星那先輩に私と寧々ちゃんはニヤリと口角を上げた。

これはいける!時間稼ぎには抜群だし、初の星那先輩の恋バナなんてレア中のレアだわ!プレミア並にレアすぎる!あんなに男性に興味ゼロの星那先輩が豹先輩にこんな反応をするなんて絶対なに何かあるに違いないわ!!

「えっとですね…星那先輩って普段は男性に興味ゼロなのに豹先輩だけは仲がよろしいというか時折甘い空気出すから何かあるのかなぁ~?って」

「ないない!絶対ないから!!豹とは単なるクラスメイトでバイト仲間でシェアハウスしてるだけだし、全然何もないからね!?ただの友達よ!友達!」

「星那先輩、そんなに否定したら逆に何かあると言っているようなものですよ」

「うっ…」

寧々ちゃんの完璧な指摘に星那先輩が言葉に詰まりすぐ様畳み掛ける。

「星那先輩、知ってました?豹先輩ってああ見えても女子に人気あるんですよ」

「へ?」

「見た目も完璧で頭も良くて運動神経も抜群なんですからモテて当たり前じゃないですか」

「で、でも性格は?性格悪いのにモテるわけ…」

「何言ってるんですか?あの冷たくて寡黙な所がいいんですよ!」

「はぁ?」

「女子はイケメンなら冷たくされても逆に惚れてしまう生き物なんですよ」

「じゃあ、私女子じゃないのかもしれない…」

あからさまに顔を引き攣らせる星那先輩に私と寧々ちゃんは溜息を吐いた。

「はぁ…星那先輩、豹先輩とキスしたんですよね?」

「は…はぁぁぁっ!?な、ななな何でそれを!?」

もう座る事すらしなくなった星那先輩は勢いよくテーブルに両手をつくとわなわなと体を震わせ真っ赤になりながら口をパクパクさせていた。

「理沙先輩から聞きました」

「り、理沙の奴~~~~!!もう許さないっ!今すぐ締める!!」

「あ、ちょっ…!?」

「お、星那!何血相を変えて…」

「まひる先輩~!星那先輩を止めてくださいっ!」

「は?止める?」

メールによってタイミングよくカフェに来たまひる先輩に慌てて声を掛ける。

「まひる、そこどいて!」

「へ?せ、星那っ!?」

あまりにも怒り気味の星那先輩には誰も敵うわけもなくまひる先輩は恐怖で顔を引き攣らせたままその場に固まった。

もうっ!まひる先輩の馬鹿!こうなったら…

「今、理沙先輩の所に行ったらベリーさんがいるんですよっ!!」

「へ…?」

ハタッと止まった星那先輩の足にすかさず追い討ちをかける。

「それでも行くんですか…?」

すると止めていた足を反転させ踵を返すと引き攣り気味の顔で椅子に着席した。

「け、ケーキまだ残ってるから食べなきゃね!」

…星那先輩が純粋で良かった

単純すぎる星那先輩の行動に私を含め二人とも胸を撫で下ろすと再度席に着席し話を再開させる。

「でも…少しは豹先輩の事意識してますよね?星那先輩」

「うっ…そ、それは…」

「ん?何の話だ?豹がどうかしたのか?」

しまった!?まひる先輩には秘密だったんだ!

「痛っ!?」

すかさず、まひる先輩の足を渾身の力で踏みつけると寧々ちゃんと共ににこやかに笑みを向けた。

これ以上何も言わないでください

「ぐっ…」

何も言わせない圧力に負けたのかまひる先輩がこくこくと小さく頷くとすぐ様星那先輩に向き直る。

「それは?それはどうなんですか?」

「っ…や、やっぱり何でもないっ!!」

急激に真っ赤になって顔を逸らす星那先輩に私と寧々ちゃんは見事に撃ち抜かれた。

どうしよう…星那先輩可愛すぎますっ!!!

そして、そう思うのと同時にこんなにも可愛らしい表情をさせる豹先輩に大感謝をしたのだった…

 *

理沙side

午後十六時頃、私はベリーさんと井川さんを連れて蓮さん宅兼星那宅へと到着した。

「それにしても、せなちゃんにこんな可愛らしいお友達がいたなんてね~…せなちゃんも隅に置けないわね!」

「いえいえ、私はそういう感じの関係じゃなくて単純に心友なだけです」

「もうっ!隠さなくてもいいのよ~?せなちゃん可愛いからモテても当然なんだから」

「あははは…だから、違うんですけど…」

ベリーさんって噂通り強烈な人だなぁ…

これ以上何を言っても聞き入れてもらえないだろうと察し口を噤むと玄関前のインターホンを鳴らす。

「既に飾り付けが終わってるといいんですが…」

背後で心配そうにごちる井川さんに内心不安が募るが終わっていると願おう。

ガチャ…

「理沙ちゃん、おかえり!おっと…あとベリーさんも井川さんもいらっしゃい」

「せなちゃんの為に来てあげたわよ~ふふっ」

「お邪魔します」

玄関のドアから出て来た隆二さんに会釈をし中に入ると井川さんの心配とは逆に無事に終わっているようで飾りが部屋の所々に飾られていた。

「ふぁ…良かった!終わってる!!」

「理沙ちゃん達が来る前に何とかギリギリで終わらせる事が出来て良かったよ」

「ギリギリ?」

「実は、最初に蓮達がやるって言って任せてみたんだけど喧嘩始めちゃって散々になったから豹と俺で何とか終わらせたんだよね」

「そ、そうなんですか…お疲れ様です」

蓮さん達の喧嘩で散々って…隆二さんと宮端くんが居てくれて良かった

心底そう思いつつも苦笑いをうかべる目の前の隆二さんに同情するのだった…






 














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